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中山記念が別定戦のG2での初勝利だと、未来はかなり明るい!?
文/編集部

これが13番人気にすぎない馬の勝ち方なのか!? トーセンクラウンの5馬身差の圧勝は、そんな風に呆気に取られてしまうほど、鮮やかな直線での弾け方だった。

勝ち時計は1分51秒7。これは例年に比べてかなり遅いが、中山記念が不良馬場で開催されたのは、過去20年さかのぼっても一度もないため、過去の勝ち時計と単純比較することは、それほど意味があることでもないだろう。

記録的な面で目を引くのは着差。これも馬場の面から、単純比較はあまり意味がないかもしれないが、過去20年さかのぼっても、5馬身差は06年のバランスオブゲームと並んでトップタイの着差となる(※ちなみに06年も雨で重馬場での開催だった)。

中山記念は今年が第84回という、伝統ある別定のG2。「3歳以上&4歳以上の別定戦のG2」というのは基本的に、斤量面などの関係から、実績馬の出走割合が多くなり、敷居の高いレースとなる場合が多い。そういう意識があったからこそなおさら、冒頭のような「これが13番人気、しかも重賞未勝利の馬の勝ち方なのか!?」という思いにつながったのだ。

改めて、過去10年の中山記念の勝ち馬を振り返ってみた。トーセンクラウンに似たようなタイプは、果たしているのだろうか。過去10年の勝ち馬で、延べ10頭のうち実に8頭もが「過去に別定戦のG2を勝ったことがある」という戦績の上での勝利だった。「実績のある馬が勝つべくして勝っている」という感じだろう。

そして、そんな敷居の高さに加え、中山芝1800mは適性的な特殊性も高いのか、中山記念は「リピート好走」が多いことでも有名なレースだ。カンパニー(08&09年)、ローエングリン(03&07年)、バランスオブゲーム(05&06年)と、ここ10年で3頭もが2勝ずつを挙げている。

こういった偏りのある傾向は、馬券的には「狙いを定めやすい」とも考えられ、今年も似たタイプに注目したいところだったのだが、「過去に別定戦のG2を勝ったことがある馬」は、もう2年以上も勝利から遠ざかっているキングストレイルダンスインザモアの2頭しか見当たらなかった。敷居の高いレースだけあって、「2年以上も未勝利」という馬の復活勝利は、過去20年さかのぼっても例がない。

こういったケースでは、代わりになる存在として「G1で③着以内の好走があり」というタイプの浮上パターンが多いのだが、今年はそのタイプも登録段階でゴスホークケンだけしかいなくて、しかも結果的にゴスホークケンの出走はなかった。

つまり今年は、例年とはかなり趣の違うメンバー構成。そのため、レース前の段階から「中山記念が別定戦のG2における初勝利」となる馬が現れる可能性は、決して低くなさそうだなとは予想できたし、それは現実のものとなった。

では、「中山記念が別定戦のG2における初勝利」というパターンについてだが、95年ぐらいまでさかのぼってそのタイプの戦績を見ると、驚くほど明るい未来の共通点が見て取れる。95~09年に該当馬は7頭いたが、それらが中山記念を勝った後、同年にどんな実績を主に挙げていたかを見ると、以下のようになっていた。

●95年フジヤマケンザン→香港国際C(国際G2)を勝利。
●96年サクラローレル→天皇賞・春、有馬記念とG1を2勝。
●97年キングオブダイヤ→同年は未勝利。
●98年サイレンススズカ→G1の宝塚記念を制覇。
●99年キングヘイロー→マイルCS②着→スプリンターズS③着と、G1で連続の馬券圏内。
●02年トウカイポイント→G1のマイルCSを制覇。
●03年ローエングリン→仏G1のムーラン・ド・ロンシャン賞で②着。安田記念と香港マイル(国際G1)でも③着。

要するに、同年のその後で特筆すべき戦績がなかったのは、97年のキングオブダイヤだけで、他には海外も含めて、G1で馬券圏内に入った馬が目白押しなのだ。中山記念での勝利をキッカケにして、これだけの馬たちが飛躍を遂げている。

トーセンクラウンは、良馬場だった過去6回の重賞挑戦時に④⑧⑱⑬⑱③着。馬券圏内は、昨年11月の福島記念での③着しかなかった。この戦績からは、「今回は不良馬場で時計がかかったことが、好走の大きな要因じゃないだろうか」と見られても仕方がない面はあるだろう。確かに、そういった面もないとは言えない。

しかし、そうはいっても勝ったのは別定戦のG2の中山記念なのだ。例えば、先ほど名前が挙がった馬たちで言うと、02年のトウカイポイントも8番人気という低評価の中で重賞初勝利を挙げていたが、それがフロックではないことを証明するかのように、その年にG1(マイルCS)を制覇した。

その意味で、トーセンクラウンもフロック視はしない方がいいように思う。血統的にもオペラハウス×ダンシングブレーヴと言えば、G1を4勝したメイショウサムソンと同じ。そう言えば、メイショウサムソンが3歳春に皐月賞→ダービーの二冠制覇をする前、初めて重賞を勝ったのが中山芝1800mのスプリングSだった。

「メイショウサムソンのように、これからきっとG1も含めて勝ちまくるぞ」などど、大風呂敷を広げた言い方をするつもりはないが、メイショウサムソンのスプリングS、そして先述の「中山記念が別定戦のG2における初勝利」という先輩たちのように、今回の勝利が何か大きなキッカケになって不思議なさそうな、期待のふくらむ圧勝劇だったように思う。