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小島先生に「栗東効果」について伺いました
2010.5.27

先週は、我が尾関厩舎は良いところがない週となってしまいましたが、その中でもエフテーストライクが新潟のセンチョク(駿風S)でなんとビリとなってしまいました。

状態も良かったですし、田辺からも新潟のセンチョクは合いそうという話が出ていたので、楽しみにしていたのです。

それが最下位ですからね、いやぁ、ショック。ストライクは中山1200m、あの坂がある舞台がいちばん良いということなのでしょう。

先週はオークスがあり、ブルーミングアレーは残念でした(7着)。競馬は1頭で走っているわけではありませんので仕方がない、それも含めて競馬ということなのでしょうが、あの不利は悔やまれてなりません。小島先生も上の方(松岡騎手)も身近な存在ですので、一層悔しく感じました。

でも、火曜日に角馬場で先生とまたお会いしたら、『競馬だから仕方がないよ』とサバサバした表情で話されていました。

ということで、今週は小島先生との対談が最終回を迎えます。それではどうぞ。

[西塚信人調教助手(以下、西)]小島先生は(管理馬を)よく栗東に滞在させますよね。でも、先生は美浦にいるわけですよ。手元に置きたくなるものではないですか?

[小島茂之調教師(以下、小)]俺が見ていたって強くならないけど、栗東へ行くことで、強くなるからね(笑)。

[西]僕は行ったことがないのですが、栗東へ行くことで成果が出ていますよね。

[小](成果が)出ていない馬もいますよ。それはそれで、こういう言い方をしたら怒られるかもしれませんが、我々の経験として活きています。ただ、ウチのスタッフたちはほとんど行っているので、どういうタイプが合うかというのも分かり始めていますよ。ベルウッドローツェもその1頭で、みんなが「この馬は良いはずだ」と言っていたんです。

[西]この前の対談で、池上さん(池上昌和調教助手)とその話になったのですが、(桜花賞での)ギンザボナンザの栗東滞在については、あくまで輸送のリスクを軽減することが目的とおっしゃっていました。先生もそういう意識があるのでしょうか?

[小]桜花賞ということなら、100%持っていきますよ。絶対に栗東でしょう。これまでに桜花賞を勝った関東馬もいますし、好走した関東馬もいます。そのなかで、美浦から直接、直前に輸送して競馬をした馬たちというのは、ほとんどがその後に苦戦しているんですよ。それに対して、栗東から競馬をした馬というのは、そうではないのです。

[西]そうですね。

[小]桜花賞がいちばん顕著ではありますが、輸送ということで言えば、秋の天皇賞、ジャパンC、そして有馬記念という3つを、関西から来てというのは少ないですよね。そういう部分というのはありますよ。

[西]桜花賞について言えば、その昔は関東馬たちの多くは、阪神に滞在していたと言いますよね。

[小]そうですよ。ある意味、当たり前のことであって、極端な言い方をすれば、ドバイやヨーロッパといった海外へ、10日間で競馬をしに行かないということと同じですよ。


[西]それ以外で、栗東の魅力というのはどこですか?

[小]逍遥馬道ですね。

[西]それほど凄いですか? 美浦にもありますけど…。

[小]美浦のいちばんきつい部分があるよね。あれがずっと続いている感覚ですよ。

[西]あ、そうですか。それは凄いかもしれません。

[小]俺自身の中でも、答えが全部出ているわけではないのですよ。水であったり、坂路であったり、いろいろな要素があると思っているのですが、体感したことで言えば、コズミが取りやすいということはあります。

[西]へぇ、そうですか。

[小]例えばプロヴィナージュで言えば、ゴツゴツしたところがあるのですが、栗東へ行くと解消されます。クィーンスプマンテもそういう感じはありました。

[西]輸送だけでなく、施設の利用を目的とされてるような遠征もされていますよね?

[小]しっかりしていなくても、そうですね、2ヶ月いれば、最後には目一杯坂路で追い切りができるようになると思っています。最初から坂路には入れますが、15-15くらいまで。それ以上をやると壊してしまう危険性があると思っています。最初の1ヶ月は攻められない。そのかわりに、じっくりと体力強化を図ることができる。個人的には、そう考えていて、2ヶ月後に一杯に追い切るようにしているのです。

[西]最初の遠征は、ブラックエンブレムですか。

[小]そうだね。その時のことで言うと、秋華賞の前に担当厩務員からポロっと聞いたことがあった。「実は馬が日に日に硬くなっていたので、もう少し強く乗ってもらいたかったんだ」とね。でも、調教助手は「そこまでは乗らない方が良い」と言っていたようなんだ。助手もそういう話を俺にしていないし、厩務員もしていなかったんですよ。聞いた時に「もし自信があるのなら、俺に電話してこないとダメです。否定するかもしれないが、でもそこで話をしなければダメだし、どうしてもと言えば、俺の性格もあるから、じゃあ乗りましょう、そのかわりケアをお願いしますってなったはずだ」と言ったのです。もし、言われたのにそうしなかったら俺の責任だけど、言わなかったのは厩務員の責任ということでしょう。いまでも教訓として、ミーティングでその話をしますし、活かされていますよ。

[西]そうですか。栗東に行くにも、出張費などお金の負担があると思いますが、実際にいくらぐらいかかるのですか?

[小]正確な数字は嫁さんじゃないとわからないな(笑)。ただ、最低でも10万円は余計にかかるでしょう。でも、良いことなら、やるべきだと思います。あと、「小島は何でも連れていけば良いと思ってる」と思われてるのかもしれないけれど、大きいレースを勝ちたいのなら、より良い施設ですよ。施設にそれを求めたくない気持ちも分かるし、俺自身だってそういう意地は持ってます。今年、関東馬が結果を出していることは良いことだと思いますよ。でも、同じ土俵というか、同じ施設で勝負させてほしいんですよ。

[西]なるほど。いやあ、今回は、個人的にもとても勉強になりました。ぜひまたもう一度、お話を伺わせていただければと思います。今日は本当にありがとうございました。

[小]こちらこそありがとうございました。また何かありましたら、よろしくお願いいたします。


小島先生との対談、いかがだったでしょうか。

語弊があるかもしれませんが、かける労力ということで言えば、小島茂厩舎は他の追随を許さないほど突出しています。馬をよく見ている部分はもちろん、ひとつひとつの作業、やり取りを丁寧に時間を惜しむことなく、行っていることが分かっていただけたのではないでしょうか。

そこが、大きいレースを勝つ原動力になっているんだと僕には思えるのです。今回、対談をさせていただき、人とのやり取りを大切にしていることがよく伝わってきました。

もし僕も調教師になることができたなら、そういう部分を大切にする調教師になりたいと思います。

今週の日曜日(30日)、ダービーデイにミンナノアイドルがデビューします。

ブッチャけさせていただきますが、入厩当初は大丈夫かと心配になりましたが、ここへ来てだいぶ良いのです。ここまでひとつひとつ階段を登ってきたのですが、よくここまで来ることができたなぁと思います。

デビュー戦ですから、走ってみなければ分からない面もあります。ただ、初戦としては満足して送り出すことができます。ぜひ、みなさん応援してください。

ということで、最後はいつもの通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。