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今週から高橋義博調教師との対談がスタートします!
2010.7.22

先週まで2週に渡ってお話しした見舞金については、様々な反響をいただきまして、ありがとうございました。

マニアック過ぎたかもしれないという思いがあったのですが、みなさん読んでくださったとのことで、これからもいろいろと企画していきたいと思っています。

見舞金について、みなさんから寄せられた質問のひとつに、「放牧先での事故についてはどうなのか?」というものがありました。

ズバリ、民間の牧場であったならば見舞金の対象にはなりません。あくまでJRAの施設内ということになります。

さて、今週からは「チョンマゲ先生」こと、高橋義博調教師との対談をお送りさせていただきます。

個人的には、とても面白い話をお聞きできたと思っていますし、先生の人間性もよく分かっていただけると思っています。ぜひお読みください。それでは1回目をどうぞ。

[西塚信人調教助手(以下、西)]今回は高橋義博先生をお迎えしての対談となります。先生、よろしくお願いいたします。

[高橋義博調教師(以下、高)]こちらこそよろしくお願いいたします。

[西]先日、先生には説明をさせていただきましたが、私、『サラブレモバイル』で対談をやらせていただいているのです。

[高]知りませんでした。西塚さんの隠れた一面を知りました。

[西]細々となのですが、頑張ってやらせていただいているのです。さっそくですが、読者の方々の中には、「なぜ高橋先生なのか?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、そこから話をさせてください。最初は遠藤喜松オーナーの勝負服をお借りするために、厩舎にお邪魔した時からお話をさせていただくようになったと記憶しています。

[高]はい。そうでしたね。

[西]そして、西塚厩舎を大庭(騎手)が手伝うようになって、よりお話をさせていただくようになっていたのですよね。

[高]そうだったかもしれませんね。

[西]早く言えば、『大庭を頼むのが西塚厩舎か高橋厩舎だけだった』ということなのです。大庭がどこのレースが空いていて、どこが入っているかということについて、高橋先生に聞けば分かるわけですよ。

[高]そうでしたか(笑)。


[西]あと、大庭が東京に残る時というのは、障害レースもあるのですが、「高橋厩舎の馬に乗るため」ということが少なくないのですよ。

[高]えっ、本当ですか。

[西]そうですよ。例えば、こちらが「着に来る可能性がある馬を福島でどうですか」とオファーした時に「高橋厩舎が」ということがけっこうありました。

[高]いやぁ、それは知らなかった。

[西]実は、先生に聞いてみたかったことのひとつがそこで、なぜ大庭を起用されるのですか?

[高]正直に言いますと、ウチも商売ですし、馬を預けていただいているオーナーの方々もトップジョッキーに乗っていただいた方が喜んでいただけることは分かっています。ただ、ウチは、『いちおうこの週あたりを出走できそうだな』というくらいの予定は作っていきますが、『前もってここに出走させる。そのために有名トップジョッキーを押さえておこう』という計画を立てるまでではないのです。想定が出て、こちらにしようということもあります。

[西]そこではジョッキーは決まっていませんよね?

[高]はい。そこで例えばトップジョッキーのA騎手が空いているとします。すぐに騎手の仲介者、いわゆるエージェントの方に依頼をしたとすると、『いちおう(他の馬が)いるのですけど、調整してみます。何という馬ですか?』と言われるわけですよね。ほとんどの方がすぐに返事はしません。

[西]そうですね。

[高]成績は確認すれば分かりますが、知らない馬なら、周囲のトラックマンの人たちに、まずは癖があるのか・ないのかの確認をするのです。ただ、そこで癖がなくても、運が良ければ受けてもらえますが、ダメだったりすることも少なくありません。また、一度は『はい、わかりました』と言われても、何かあると、木曜日の朝に『すいません』と言われてしまうことも珍しくないですからね。

[西]はい、はい。そうなんですよ。

[高]その気になって、馬主さんに『トップジョッキーを押さえました』と言ってしまったら、大変なことになってしまいますからね。やはりトップジョッキーに騎乗してもらえるということになれば期待をしているのに、ドタキャンとなってしまったらガッカリされるわけですよ。

[西]よく分かります。


[高]誰ということではありませんし、それはそれで仕方がないことだと思います。そこで大庭だということなのですが、ひとつは一時期、彼が減量として勝ち鞍を伸ばしていく時に、ウチの馬と相性が合った面がありました。また、目立つでしょう。だいたいにして、彼は、単勝にして何千、時には万になる穴を開けるわけですよ。四千、五千は当たり前みたいに。

[西]それはありますよね。

[高]「高橋厩舎・大庭」と揃うと、ダブルで、麻雀で言えばドラが2枚みたいなもので、高配当間違いなしということになるわけです。

[西]僕自身、一時期、大庭の騎乗を隅から隅までチェックしていたことがあって、それはそれは高橋厩舎所属馬について詳しくなりました。また、ヤツは16番人気を8着、あるいは7着とかに持ってくるんですよ。異様なまでに、持ってくるわけですよね。以前、大庭とも対談をしたのですが、その時に『セコ乗り』という話をしました。先生、お分かりになりますか?

[高]分かります。

[西]言葉は知らないですよね?

[高]言葉は知りませんが、意味は分かります。

[西]僕は、大庭に西塚厩舎の馬に乗ってもらう時に、足らないと思ったら「セコ乗りで」とオーダーしていたのです。先生は、後ろから付いていって、直線で交わすというようなオーダーをされますか?

[高]そういう指示をしたことは、まったくありません。そういう部分は、大庭が元々持っているということでしょうね。今までに一度だけこんなことを言ったことがあります。『穴馬に乗るのは上手い。穴馬というのは馬主さんにすれば(上位)人気の時よりも期待という部分では下がる。だから、二桁(着順)が続いていたのが8着、あるいは掲示板ということになれば、上手く乗ったということになる。でも、たまにでも人気馬に乗る時があるけれど、人気馬だからといって必ずしも良い結果が出るとは限らない。そこで馬主さんが納得してくれる乗り方をしないと、さらにひと段階は上がれないぞ』と。「穴の大庭」というだけではダメだと思ったのですよ。

[西]そんなことがあったのですか。

[高]去年の終わりから今年にかけて好調でしたが、冗談で『大庭を関東ベストテンに入れる会の会長になるから』と言っていたのです。そうしたら、石栗さんのところでポン、ポンと連勝したので、『会長は降りなければならないね』と言っていたのです。最近は、観ているだけで、騎乗依頼できていません。

[西]あっ、そうだったんですか。

[高]3場開催の本場で、結構な騎乗数がありますよ。土、日で十何鞍ということが珍しくありません。

[西]確かに、最近はそうですね。僕は、先生が大庭をかわいいのだろうなぁと思っていたのですよね(笑)。

[高]いや、かわいいのではなく、憧れているだけです。僕にはないものを彼は持っていますよね。

[西]具体的には、どういう部分ですか?

[高]あの『毛の生えた心臓』ですよ。

[西]アハハハ(爆笑)。

[高]具体的には避けますが(笑)、いろいろな出来事がありました。僕だったらとても平然としていられないことなのに、まったく動じないですからね。

[西]それは間違いありません。厩舎装鞍だというのに平気で忘れて、『あっ、そうでした』なんて言うこともありましたからね。

[高]僕にはない部分なので、毛の生えた心臓は憧れですね。

[西]でも、普段、一緒に仕事をしている時は、そういう部分で腹が立ったりすることもあるんじゃないですか?

[高]ありますよ。

[西]やっぱり(笑)。

[高]攻め馬を頼んでいて、一度だけ『もう乗らなくていいから』と言ったことがありました。嶋田先生のところに所属している時に、彼から始末書を取ったことがあります。

[西]理由は?

[高]出遅れ(遅刻)です。『お前、どうするんだ』って話しましたね。

[西]先生のところは、大庭以外にも、騎手の人たちが調教を手伝っていらっしゃいますよね。嘉藤貴行騎手をはじめ、簑島(騎手)や中谷(騎手)といったメンバーが乗っていますが、狙いはどこにあるのですか?

[高]やはり上手ですよ。細かく言えば、競馬と調教では違うのです。競馬は技術以外の才能の部分が大きかったりしますよね。

[西]騎手の方は上手ですよね。

[高]昔、僕が助手だった当時、赤帽(見習い騎手)さんが5、6人いたことがあったのです。その中に、いまのトップジョッキーの方々もいらっしゃいました。その段階で、まさかここまで上手くなるとは思わなかったのですよね。その方の師匠も、調教助手に何頭かの名前を挙げて、『これにはアイツを乗せるな』と言っていましたから。

[西]へぇ。どんな感じだったのですか。

[高]ひと言で言えば、簡単に持っていかれてしまうわけですよ。そういう姿を見ながら、我々調教助手は、誰が(騎手として)上手くなるのだろう、という目で見ていました。当時の予想は、その後の結果で振り返ると、当たっていませんね。騎手を見る目がないです。馬をみる目もありませんが、騎手を見る目はもっとないのですよ。

[西]いやぁ、そんなことはないでしょう(笑)。

[高]いえ。騎手として上手くなるのは厳しいだろうと思った方がトップジョッキーになっていて、上手だと思った人が活躍できずにステッキを置いたんですから。

[西]そういう部分で…。

[高]大庭はどうかというと、攻め馬は下手ですよ(笑)。

[西]そうですか(笑)。騎手の技術を求めて、ということなのですね?

[高]大庭は普段から50何キロということですが、やはり騎手の方は50キロから54キロですからね。5~6キロ軽い人間が騎乗すると、安全面など様々なことにおいて、若馬もそうですし、もしそうではなくても、不安な点を抱えている馬は助かります。ウチにも調教厩務員で50キロくらいのスタッフがいるのですが、『もし持っていかれても軽いから大丈夫だから』と、自分を慰めるのと同時に相手も慰めるわけですよ(笑)。

[西]そういう部分も含めてということですね。

[高]そうです。さらに上手であるなら、より助かります。

今週はここまでとさせていただきます。

話は変わりますが、ミンナノアイドルが現役競走馬を引退することとなりました。先週に発表されていたので、ご存じの方も多いと思いますが、重度の屈腱炎を発症してしまったためです。

走りそうな手応えを感じさせられていただけに、1戦での引退は本当に惜しい思いがしています。

ただ、デビューが3歳春となった面にも表れているように、一筋縄ではいかないと言いますか、弱い部分を持っていたのは間違いありませんでした。だから、一度キッチリと競馬ができたということは良かったと思いたいです。

ミンナノアイドルは繁殖牝馬として第二の人生(馬生)を始めるということで、元気に、そして父の名を後世に伝えることができるように、活躍する産駒を送り出してほしいと願っています。その産駒を手掛けることができたら、さらに嬉しいのですけどね。

個人的には、最近はミンナノアイドルの西塚と言われることもあったのですが、『サラブレモバイル』の西塚と言われるように頑張りたいと思います。

ということで、最後はいつもの通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。