体重428kgで父サンデー系の牝馬と見ると、規格外と言える勝利
文/編集部
レパードSは今年が第2回と、まだ歴史の浅い重賞だが、来年以降の馬券に役立つ面があるかもしれないので、昨年と今年(どちらも晴れの良馬場)について、まずは時計面の比較をしてみたい。
前半の4F通過タイム-5F通過タイム→勝ち時計(レースの上がり3F)を見ると、昨年が
47秒7-59秒7→1分49秒5(37秒4)、今年が
48秒2-60秒5→1分51秒8(38秒5)。
今年の方が前半のペースが遅いこともあり、勝ち時計が昨年より2秒3遅いことは仕方ないが、上がりも昨年より1秒1遅くなっていた。これだけだと単純な比較だが、
昨年より時計面では見劣りを感じてしまうのは確かだろう。
そして、昨年は①~④着がすべて4角3番手以内という、明らかな先行決着だったのに対して、今年は①着~④着の4角位置取りが8→4→2→2番手。さらに、昨年の①~④着は1~2角の時点でも4角4番手以内だったが、今年の①~③着は1~2角では4角6番手以下にいた馬たちだった。
このあたりは来年以降の教訓とするなら、
「道中のペースも勝ち時計も速い決着になると、前が残る決着となりやすい。逆に、ペースも勝ち時計も遅めになると、中団~後方を追走の馬でも4角である程度、前に取り付けば勝負になる」といった面があるのだと思われる。
今年の場合、
ミラクルレジェンドは初騎乗の
北村宏騎手がレース後に
「前半が思っていたより後ろからになってしまった」というコメントをしていたが、それでも最終的に差しが届いたのは、ペースが落ち着いて追走が楽になったことが幸いした面はあったのだろう。
こういった昨年との時計比較をしていくと、
ミラクルレジェンドは一見、恵まれた勝利という印象もしてくるだろう。しかし、決してそんな単純な話でもないように思う。むしろ、この馬には
「データ的には注目度大」といった面がいくつか見えてくるのだ。
まずは血統。
ミラクルレジェンドは父フジキセキの牝馬で、父サンデー系は先週までにJRAのダート重賞で18勝を挙げていたが、
牝馬は先週までに[0.0.1.15]だったから、今回が初勝利となる。②~③着も01年のフェブラリーSで③着のトゥザヴィクトリーだけ。今回は大きな前進だったと言えるだろう。
また、
ミラクルレジェンドは今回、1~4コーナーを11→11→8→8番手という位置取りで回っていたが、
「新潟ダ1800mを3~4角とも8番手以下で回って①着となった父サンデー系の牝馬」というのも、実はこの馬が初めてとなる。
それから、
ミラクルレジェンドの今回の馬体重は428kg。90年以降のJRAのダート重賞(先週まで)を勝った馬の体重を見ると、牝馬で450kg未満は91年のセイユウ記念のヒロタイムだけだった。ただし、この馬はアラブ。
アラブ馬を除けば、99年のユニコーンSをゴールドティアラが制した時の452kgが最少で、今回はそれを大きく更新して、
牝馬の最少体重でのダート重賞制覇となる。
こういった血統面、体重面なども加味して考えると、今回の
ミラクルレジェンドは
「規格外のパワーを見せつけた勝利」という見方もできそうで、
昨年との時計比較では見劣るとしても、それを補って余りある優秀さも示していると言えるだろう。
ミラクルレジェンドはダートに限れば[4.0.0.1]で、敗戦はスタートで躓きながら0秒1差の④着まで差して来たジャパンダートダービーだけ。ダートではまだ底を見せていなくて、
今後まだまだ伸びシロが見込めそうな3歳馬と考えられそうだ。
昨年のレパードSを勝ったトランセンドはその後、現時点ではまだ重賞2勝目を挙げられていない。先行押し切りだったトランセンドとは対象的に、差し切り勝ちの
ミラクルレジェンドが今後、どんな活躍をしていくのか。そのあたりは、レパードSという重賞の見極めのためにも、十分な注意を払っていくことにしたい。