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菊花賞を面白くするのは、この2頭かもしれない
文/編集部

今年のセントライト記念には勝者が2頭いた。そんな思いを抱かせられるようなレース展開だった。

予想通りにハナに立ったヤマニンエルブは、しかし、予想以上の速いラップを刻んだ。

1000m通過は58秒7で、その後は1200mを1分10秒4で通過、1600mを1分33秒9で通過、2000m到達時が1分58秒1だった。いずれもその距離の勝ち時計かと見間違うほどの速さだ。

単純な時計の比較をしても意味がないことを重々承知しつつ記すと、今年の皐月賞の勝ち時計は2分0秒8で、今開催の初日に行われた紫苑Sのそれは1分58秒8。それらよりも速いラップを刻み、最後にクビ差まで粘ったのだから、ヤマニンエルブの走りは驚異的だったと思う。

3連勝を飾ってセントライト記念に臨んできたヤマニンエルブは、その3連勝がいずれも緩いペースに落としての逃げ切りだった。

しかし、今回は一転してハイペースを築いて後続になし崩し的に脚を使わせて好走してみせた。サッカーボーイ×ティンバーカントリー×サドラーズウェルズという重厚な配合で、やはり相当なスタミナを有しているのだろう。

2200mの今回、最後に止まって差し込まれたように見えたので、さらに距離が延びる菊花賞ではもっと早くに捕まるんじゃないかと思うかもしれないが、逆に、3000m戦で今回のクォークスターほどの切れる脚を使える馬が出てくるのか、そちらの方の疑問もある。

ヤマニンエルブは脚質的にも体型的にも、平坦コースの方がさらに持ち味が出そうな印象があるだけに、今回のレースぶりを経て、改めて菊花賞へ向けて楽しみが広がったと言えるのではないだろうか。

それにしても、最後にクビ差だけ交わされた場面を見た時は、今回のヤマニンエルブは、8回まで無得点に抑えたのに味方も得点を入れられず、自責点ゼロながら勝利を掴めなかったピッチャーみたいだな、と思ったものだ。

すごいかわいい子との合コンをセッティングできて、いざ合コンをしたら別の男に取られたようなものか、とも思ったが、それだと勝利したクォークスターがごっつぁんゴールを決めたように受け取られかねないので、それは違うなと思いました(笑)。

むしろ優勝したクォークスターは、驚異的なペースで逃げ粘ったヤマニンエルブとはまた違った意味で、驚異的な脚を使ったと言えるだろう。

ほぼ最後方に位置していたクォークスターは、メンバー中最速の34秒0という上がりを使ってヤマニンエルブを捕らえてみせた。

クォークスター自身、2走前のプリンシパルS33秒7の上がりで②着まで差していたのだから、34秒0の上がりを使っても驚かないのは事実だが、それを小回りの中山で記録したことに対して非常に驚いた。

中山芝の残り600m地点は3コーナー付近にあり、最後に急坂もあるため、速い上がりは計時しにくい。中山芝2000m以上の重賞で、34秒0よりも速い上がりで差し切った馬がどれだけいるかを見れば、その素晴らしさを理解しやすいだろう。

●中山芝2000m以上の重賞で、34秒0より速い上がりで優勝した馬
馬名 レース名
(上がり3F)
ディープインパクト 06年有馬記念
(33秒8)
ダイワメジャー 04年皐月賞
(33秒9)
マンハッタンカフェ 01年有馬記念
(33秒9)
ダイタクバートラム 04年ステイヤーズS
(33秒9)
ディープインパクト 05年皐月賞
(34秒0)
ダンツジャッジ 04年AJCC
(34秒0)
マチカネキンノホシ 00年AJCC
(34秒0)

のべ7頭がいるわけだが、このうち4コーナー5番手以下の馬に限ると、3頭しかいない(01年有馬記念マンハッタンカフェ05年皐月賞06年有馬記念ディープインパクト)。今回のクォークスターは、ここに名を連ねることになったということだ。

驚異的な粘り腰を見せたヤマニンエルブと、驚異的な末脚を発揮したクォークスター。どちらも過去にあまり例のないような走りだったからこそ、道中で先頭とほぼ最後方を走っていた2頭が同タイムでゴールする結末となったのだろう。

クォークスターはもう少し先行力を身につけたいようだが、外野から見ていると、前方と後方に類い希な能力を持つ馬がいると、レースがより面白く感じられる。

春のクラシックには縁のなかったこの2頭だが、三冠最後の菊花賞を面白くするのは、セントライト記念で連対した2頭なのでは?という気もしてくる。