今週からは伊藤工真騎手との対談です!
2010.9.30
今週でスーパー未勝利も終わり、いよいよ2歳馬たちの戦いが本格化していくことになりますが、先週末にアグネスフライトの牡馬が入厩してきました。
入厩してきた新馬を判断する個人的なひとつの目安として、トモが体の下に入り、前肢が伸びて走るという一連の動きがスムーズにできるかどうかということがあるのですよね。
これができていない馬には、いくらトレーニングを行ったとしても、スムーズに走ることができないのですから、効果的ではないですよね。
分かりづらい話かもしれませんが、これは、これまでの僕の少ない経験の中では、かなりの確率で当たっています。
今回入厩してきたアグネスフライトの牡馬は、まだトモに緩さを感じさせるものの、それができているので、個人的には可能性を感じるのですよ。
また機会を見つけて、このようなお話をさせていただこうと思います。
さて、今週からは伊藤工真騎手との対談がスタートします。個人的には、とても楽しませていただきました。ぜひ、読んでみてください。それではどうぞ。
西塚信人調教助手(以下、西)今回のゲストは、伊藤工真騎手です。今日はお忙しい中、ありがとうございます。
伊藤工真騎手(以下、伊)いえ、こちらこそ、よろしくお願いいたします。
[西]まずは読者のみなさんに、我々の関係について説明しますと、競馬学校時代に僕が厩舎長を務める厩舎に伊藤君が入ってきて、僕がいる間、一緒に作業をしたのですよね。
[伊]そうでしたね。
[西]某掲示板では伊藤工務店などという愛称で呼ばれていますが、初対面の時に好きな食べ物を聞いたら「米です」と言ったことで、『銀シャリ』と呼んでいたんだよ。いまだに俺の携帯には『伊藤銀ちゃん』と入っているからね。
[伊]本当ですか。西塚さん以外、誰も『銀シャリ』って呼ばないですよ(笑)。
[西]浸透しなかったかぁ。いやぁ、残念ですよ。
[伊]競馬学校の時は、少しは浸透していました。
[西]そういう意味では『タナパク』(田中博騎手)の方が広まったよね。いちばん最初に『タナパク』と言ったのは私、西塚なのですよ。でも、『銀シャリ』はダメだったか。
[伊](『タナパク』という言葉は)呼びやすいのでしょうね。でも、『銀シャリ』はまったくそういう感じではないじゃないですか。
[西]そう言われれば、そうだね(笑)。でも、懐かしいなぁ。銀シャリはかわいかったですよ。俺はどんな風に見えていたの?
[伊]「あぁ、この人の指示を仰ぐんだなぁ」という感覚でしたね。
[西]印象としては?
[伊]ユーモアのある人だなと思いました。
[西]そんな余所行きのコメントをしますか(笑)。ブッチャけていきましょう。
[伊]いや、でも、本当にすごくやりやすかったです。指導される時も感情的になることもなかったですし、楽しかったです。
[西]隠れてお菓子とかあげてたじゃん。
[伊]はい、もらってました。
[西]あの時は小さかったという印象もあったけど、いまはアカ抜けたよ。あの時は16歳と言っても信用されなかったんじゃない?
[伊]当時は、同期でいちばん小さかったはずです。
[西]いまはどのくらいあるの?
[伊]160cmですね。
[西]騎手としては普通だよね。特別小さいということではないよなぁ。古賀史生厩舎にアンチャンとして厩舎実習に来てからは、あまり絡みがなくなってしまったんだよね。西塚厩舎の攻め馬にはほとんど乗っていないはず。
[伊]そうですね。僕も西塚さんのところで攻め馬に乗せてもらった記憶はありません。
[西]忙しくいろいろな厩舎で乗っていたよね?
[伊]いろいろな厩舎の方々から声をかけていただけたのです。自厩舎以外では、嶋田潤先生、沢先生、あと鈴木康弘先生のところを手伝わせていただきました。
[西]最初から、遅い時間まで馬の上にいるなぁと思って見ていたんだよね。鈴木康弘先生のところは、ずっと調教に乗り続けているよね。それは凄いことだと思う。時間の調整など、いろいろな理由があって乗れなくなったりするものなのに、それをずっと乗り続けているわけだから。言うのは簡単だけど、なかなかできなかったりすることで、継続は力なりでしょう。
[伊]1年目に乗せていただいた他の先生方のところも、だんだんとお手伝いさせていただけなくなってしまっているのですよね。本当に申し訳ないと思っています。
[西]そうなんですよ。だからこそ、自厩舎以外でひとつでもいいから、攻め馬を乗り続ける厩舎はあった方が良いと思う。
[伊]僕もそう思います。
[西]西塚厩舎では攻め馬は頼まなかったけど、デビューしてから競馬には乗ってもらったよね。
[伊]ノボスイーツですね。
[西]あの時(新潟芝1000m)は「行ってほしい」って言ったんだけど、上手く乗ってくれたという印象があるのですよ(13番人気5着)。
[伊]あの馬については、ゲートで躓くと聞いていたのです。
[西]えっ、誰に? (横山)義行さん?
[伊]嘉藤さんにも言われました。
[西]貴行ね。小倉で乗ってもらった時、馬主さんが行ってほしいと言っているからと言ってお願いしたのですよ。そうしたらゲートで躓いてひっくり返ってしまったんだよね(競走中止)。でも、銀シャリの時には、スパッと出たね。
[伊]僕の時には、すんなりと出てくれました。
[西]あの時、とにかく減量で1000直にいってほしいと言われて、減量なら銀シャリということで、オーナーに言ったのですよ。そうしたら、「伊藤騎手って誰?」と言われたので、「三浦の同期ですから乗れますよ」とか、わけのわからない理由を並べた記憶がある(笑)。
[伊]ありがとうございます。
[西]いえ、こちらこそ着に来ていただき、ありがとうございました。1年目だから知らない馬主さんもいるわけですよ。その時は、「三浦の次に乗れる新人ですから」とも言ったけど、新人はふたりしかいないからね(笑)。もちろん、ユーモアが分かってくれる馬主さんだからですよ。
[伊]そのように応援していただいているからこそ、乗せていただけるのです。本当にありがとうございます。
[西]馬主さんは喜んでいたよ。「やはり減量は効果がある」って喜んでいたからね。1000直は難しいかなと思ったんだけど、メンバーも良かった。500万下の1000直は、レースによって、全然違ってくるよね。
[伊]時計も、レースによって全然違ったりしますからね。
[西]あの当時は、まだ『冬の時代』だったよね。
[伊]そうです。あの頃は、土・日のどちらかがお休みということがありました。
[西]でも、乗鞍が増えると、余裕が生まれたりもするでしょう?
[伊]そうですね。経験させていただけるということで、余裕ではないのですが、実戦でしか知り得ないことが分かるようになります。
今週はここまでとさせていただきます。
先週、ノリさん(横山典騎手)が落馬負傷するというアクシデントに見舞われました。ノリさんと特別に親しくさせていただいているわけではありませんが、落馬と聞く度にヒヤッとしますし、改めて競馬は危険と隣り合わせであることを実感し、身が引き締まります。
新聞などで、勝ち馬の名前を確認すると同時に、必ずアクシデントがなかったかを確認するのですが、本当に、毎週、何事もなく無事に終わってほしいと思っています。
あっ、それと、田辺君と思われる方からメールが届きました。「次の対談は田辺君でお願いしま~~~~~~す」ではありません(笑)。
最近ハマっているというツイッターばかりやっていないで、連絡をください。
ということで、最後はいつも通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。