「しぶとい」テスコボーイの血が、高松宮記念でも活きる?
文/編集部(T)
このレースを制した
ダッシャーゴーゴーは、93&94年の
スプリンターズSを連覇した
サクラバクシンオーの産駒。レースが終わってまず思ったのは、
「サクラバクシンオーというのは、本当にしぶとい種牡馬だなあ」ということだった。
89年生まれの
サクラバクシンオーは今年22歳を迎え、種牡馬としては
大ベテランの域に達している。07年生まれの
ダッシャーゴーゴーは
サクラバクシンオーにとって12世代目の産駒で、08年生まれで13世代目となる現3歳には
朝日杯FSを制した
グランプリボスがいる。
サクラバクシンオー産駒は、98年生まれの
ショウナンカンプが02年の
高松宮記念を制したが、それから実に10世代を経て、08年生まれの
グランプリボスがふたつめの
平地G1勝ちを収めたことになる。
「しぶとい」と思ったのは、そういう理由だ。
ダッシャーゴーゴーが今後G1を勝つことができるかどうかはまだ分からないが、もし勝つことができたら、のちに
「サクラバクシンオーは、種牡馬として二度目の充実期を迎えていた」といわれることになるかもしれない。
実際は
サクラバクシンオーだけでなく、その祖父
テスコボーイから連なる系統がそういう傾向を持っているのだろうか。
テスコボーイ産駒で種牡馬として成功を収めた
トウショウボーイ(73年生)と
サクラユタカオー(82年生)の間には、
9世代のギャップがある。また、
サクラユタカオーの代表産駒である
サクラバクシンオー(89年生)と
エアジハード(95年生)には
6世代のギャップがある。
何年も続けて牡馬の
トップホースを出すのではなく、1頭を出してからしばらくして次の
トップホースを出すのは、
この系統に共通する傾向なのかもしれない。
「ノーザンテーストは三度成長する」ならぬ、
「テスコボーイ系種牡馬は二度充実期が来る」という感じか。
以前、
柏木集保氏にかつての名種牡馬に関するお話を伺った際、
「テスコボーイというのは、本当に凄い種牡馬なんだよ。テスコボーイ~サクラユタカオー~サクラバクシンオー~ショウナンカンプと、日本で4代にわたって種牡馬を出している系統なんて、他にあまりないでしょう」とおっしゃっていたのが印象に残っている。
今後はサンデーサイレンスがそういう存在になっていくのかもしれないが、
テスコボーイの系統も、この
「しぶとさ」を活かして、日本競馬に残っていくはずだし、そうあってほしいと思う。
話をこのレースに戻すと、
ダッシャーゴーゴーは昨年の
セントウルSに続いて、これが重賞2勝目。
OPでの3勝はすべて坂のあるコースで挙げていて、今年の
高松宮記念が
セントウルSと同じ阪神芝1200mで開催されるのは
大歓迎だと思われる。
坂のある中山芝1200mで、同じく絶好の舞台だったはずの昨年の
スプリンターズSは、香港馬
ウルトラファンタジーのハナ差2位に入線したものの、直線の
斜行で④着に降着となっている。
チャンスを逃した後に絶好の
チャンスが再び巡ってくるあたり、この馬もある意味
「しぶとい」馬だ。
レース後に
川田騎手は
「スプリンターズSは申し訳ないことになってしまいましたから、次は馬と関係者のためにも良い結果を残したい」と語っていたが、この絶好の
リベンジの機会を活かせるだろうか。
一方、2番人気の
キンシャサノキセキは、スタートでの
出遅れを最後まで挽回できなかった印象。それでも直線では良い脚で伸びてきたが、②着まで押し上げるのが精一杯だった。これが
力負けではないだろう。
1番人気
レッドスパーダは、先行策から正攻法の競馬をしたが③着。これまでの4勝はすべてマイル戦で、
芝1200mは今回が初めてとあっては、この結果も致し方なしか。どちらもこの経験を活かして、本番では修正をしてくるはずだ。
このレースで
高松宮記念の前哨戦がほぼ終わったが、今年のスプリント路線は混戦模様という印象を受ける。そう言ってしまうと、
どんぐりの背比べのようなイメージを抱かせてしまうかもしれないが、
ダッシャーゴーゴーを含む上位馬は、かなりハイレベルなのではないかと個人的には思う。
ニューヒーローが誕生するのか、ディフェンディングチャンピオンの
キンシャサノキセキが王座を守るのか。本番が楽しみだ。