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ロベルト系らしい上昇ぶり、手綱捌きに脱帽させられた
文/編集部(W)

向正面を走っている馬群を眺めていると、先頭を行くサンビームから徐々に後方各馬が映し出される。その隊列を何気なく見ている過程で、「良い位置にいるなぁ」と感じたのが、単勝1.7倍の断然1番人気だったレッドデイヴィスの内、好位のラチ沿いを追走する武豊騎手騎乗のクレスコグランドだった。

レースの1000m通過は60秒6。その後は6F目が13秒2、7F目が13秒1とペースダウンし、再びペースアップして残り4Fは12秒3-11秒2-11秒3-11秒8と速いラップが並ぶ。前半は淡々と流れ、その後にひと呼吸置き、最後に残ったスタミナを使っての決め手勝負という、わりとタフな展開だったように思う。

そう考えると、道中は勝ち馬とほぼ同じ位置にいながら⑩着に敗れたレッドデイヴィスは、2200mという距離が敗因のひとつとして浮かんできたし、16kgという大幅な馬体減が影響した部分もあったのかもしれない、と思っていた。

ところが、5月8日(日)のJRA発表によると、レッドデイヴィスは残念ながら右第1指骨剥離骨折が判明し、休養期間は未定とのことで、これではあの不本意な結果もやむを得なかった感じ。レッドデイヴィスについては早期復帰を願うばかり。

一方、勝ったクレスコグランド、そのクレスコグランドを勝利へと導いた武豊騎手は見事だった。

クレスコグランドは今年1月のデビューから②①①①着。馬体重は新馬戦516kgで、今回は過去最少馬体重となる490kgだったが、馬体が減りながら成績が上がっていったから、タフさが長所のひとつと言えるロベルト系らしく、叩かれつつ良化していたと判断できそう。

クレスコグランドを見ていて思わず、ダービー前に西の最終兵器と呼ばれたこともあった、同じロベルト系シルクジャスティス(父ブライアンズタイム)を思い出してしまった(同馬は2歳10月のデビューだったが、3歳1月から3歳5月の期間で7戦して②③①③①①着で、ダービー直前に重賞の京都4歳特別を制した)。

いずれにしても、ここ2ヵ月間で4戦というタフなローテーションをこなし、その中で3連勝で重賞制覇という素晴らしい結果を出したクレスコグランドは見事である。

そして、武豊騎手クレスコグランド京都新聞杯以前だと、自己1位の上がりは新馬戦で計時した34秒5だったが、今回は好位のインでじっくりと脚を温存させ、テン乗りという状況の中、自己1位を更新する33秒9の上がりを引き出してみせた。

しかも、直線に向いたところで、ダノンフェニックスルイーザシアターの間を突こうとする素振りを見せたが、その選択は取らず、ユニバーサルバンクのさらに外に持ち出し、一瞬置かれかけたが、そこからスムーズに加速して差し切り

直線で内を突いていたら、ダノンフェニックスルイーザシアターユニバーサルバンク壁になった可能性もありそうで、また、外に持ち出す時に一瞬置かれたように、クレスコグランドは少しズブさがある印象なので、直線半ばで前が壁になって一旦減速すると、馬群を抜け出せなかった可能性もあったように思う。

おそらく、瞬間的にそういったリスクをすべて察知し、距離ロスを計算してもこちらが正解だろうという選択をした上での進路取りだったと思われ、最後はクビの上げ下げでもきっちりとハナ差先着させてしまうのだから、この手綱捌きは見事としか言いようがない

クレスコグランド賞金を加算したことで、父タニノギムレットが制したダービーの舞台へ駒を進めることになりそうだが、いずれにしても、クレスコグランドロベルト系らしい上昇ぶり、武豊騎手の手綱捌きに脱帽させられた京都新聞杯だった。

ちなみに、京都新聞杯は08年メイショウクオリア、09年ベストメンバー、10年ゲシュタルトと、マンハッタンカフェ産駒3連覇中だった。今年は同産駒の出走がなくて残念に思っていたが、クレスコグランドはおじがマンハッタンカフェなので、個人的には変則4連覇ということで認定しようかと思っています(笑)。