非サンデーのアーネストリーの勝利は喜ぶべきことだと思いたい
文/安福良直、写真/川井博
「ブエナビスタVS最強4歳世代」がテーマだったはずの
宝塚記念だが、勝ったのはそのどちらでもない6歳馬
アーネストリー。6番人気と
低評価だったが、内容は文句なし。前半1000mが
58秒7というハイペースの中を、2番手追走から堂々と押し切ってしかも
レコード勝ち。これはもう
「強い!」のひと言。
低評価にしてごめんなさい、と言うしかありませんな。
ちなみに、
宝塚記念では、
先に抜け出した馬を後から追いかけてきた馬が交わしてゴール、というシーンが多いレースだ。それが見事に決まったのが、
アーネストリーの父
グラスワンダーが勝った
1999年。父は
宝塚記念の
セオリー通りとも言える勝利だったが、息子は
セオリーの逆を行ったことになり、この点では父を超えたかな?
ちなみに、
グラスワンダーが交わした相手が
スペシャルウィークで、今回はその娘
ブエナビスタが後ろから来たが届かず②着。まさか、
このように歴史が繰り返されるとは……。
JRAのテレビCMでは、
サイレンススズカが勝った
1998年を取り上げていたが、1年違っていましたね。
もっとも、
サイレンススズカは
「前に行く馬でも強ければ問題なし」という
メッセージにもなっていたのだけれど。ま、
CMから裏読みするのは難しい、ということでしょうか。
ところで、個人的には今回の
宝塚記念は
「ブエナビスタVS最強4歳世代」というより
「サンデーサイレンス系VSサンデーの血を持っていない馬」の対決の方が気になっていて、
非サンデーのアーネストリーが勝ったのは、喜ぶべきことだと思いたい。
今年はディープインパクト産駒が登場してサンデー系の強さがさらに際立つようになり、
ダービーなどは出走全馬がサンデーの孫、という状況。サンデーが偉大なのはわかるが、ここまでサンデーの血が強くなりすぎると将来が
不安になるが、ここで
アーネストリーが勝ってくれたのは大きい。
しかも、③着
エイシンフラッシュ、⑤着
ルーラーシップと、掲示板に非サンデー馬が3頭も入った。
久しぶりに、非サンデー馬の活躍が目立ったG1と言えるだろう。
宝塚記念が初G1制覇だった馬はその後G1は勝てない、というジンクスもあるが、
アーネストリーにはなんとかもうひとつ
G1を勝ってもらって、人気種牡馬になってもらいたいところだ。秋には
凱旋門賞に挑戦する可能性もあるようだし、サンデー系の馬よりもこちらを応援しようかな。
さて、また②着に敗れたが、
ブエナビスタは相変わらずの強さを見せつけた。先行馬にあれだけ強い競馬をされてしまうとどうしようもないが、
打倒すべき4歳勢はすべて差し切った。このところ
勝利の女神に見放されている感じではあるが、あの末脚を見る限り、
闘志はまったく衰えていない。
ウオッカと同じように、
負けが続いていても強い相手に挑み続けて最後は勝つ、というシーンを期待していいと思う。
ところで、前評判が高かった4歳勢だが、残念ながら見どころが少なかった。③着
エイシンフラッシュと④着
ローズキングダムは、さすがはG1馬と言える立ち回りの上手さを見せたものの、外から来た
ブエナビスタに差されたのは
残念。
宝塚記念では差しが決まりやすいと言ってもね。
前売りでは
ブエナビスタを凌ぐ人気だった
ルーラーシップは、早々と
ブエナに差されて
圏外に去ってしまう有り様。
キングカメハメハ×エアグルーヴという血統は非サンデー系の
エースと呼ぶにふさわしく、将来は
リーディングサイアー候補まちがいなしと思っていただけに、今日の
負けはイタイ。
G2、
G3ではメチャメチャ強いのに、
G1では
4戦未勝利。次の
G1は背水の陣と思って戦うしかない。もっとも、レース前の
アーネストリーも、
G2では強いが
G1ではいまひとつ、というイメージがあっただけに、
ルーラーシップもまだ
挽回可能なはずだ。
最後に、いま気づいたのだが(というのが遅いけど)、
宝塚記念はこの3年、
グラスワンダー、
スペシャルウィーク、
ステイゴールドの3頭の産駒ばかりが
①&②着に来ている。
ステイゴールドは、前述のCMで
サイレンススズカが勝ったときの②着馬だから、なんだかんだ言っても
宝塚記念は血統が重要。
来年も
宝塚記念で活躍した馬の子を狙ってみよう。となると、早くもディープ産駒の時代が来ちゃうのか!?