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『日刊競馬』のトラックマン・黒津伸一さんを迎えての対談がスタートします!
2011.6.30

先週、日曜日の函館1レース(3歳未勝利戦)でピュアマインドが勝ち、我が尾関厩舎にとって5勝目を挙げることができました。

もちろん勝ったのですから嬉しいんですよ。ただ、どうしても滞在して競馬をしていると、存在として遠く感じてしまうところがあったりもするんですよね。

また同じ日の中山2レース(3歳未勝利戦)に、田辺とのコンビでノボスカイブルーが出走していて(5着)、あちらもこちらもという感じで、『はい、次』という感じでした(笑)。

そのノボスカイブルーについては、以前にもお話をしましたが、個人的には入厩してきた当初から、能力を感じさせられてきた存在です。勝ったトウカイチャームにはかなわなかったかもしれませんが、2着以降は勝ちに行ったかどうかという部分など、それほどの差はないと感じます。

悔しいですよね。田辺も精一杯乗ってくれたのですが、やはり負ければ悔しいですよ。しかも、負けた馬の方が印象に残ったりもするんですよね。

もうこの時期ですから、それこそ高校野球の地区予選の心境です。負けたら後がないという状況になってきていますので、何とか残り少ないチャンスのなかで勝てるように、全力を尽くします。

さて、今週からは『日刊競馬』のトラックマンである黒津伸一さんをお迎えしての対談がスタートします。トラックマンの実情など、いろいろ面白い話を聞くことができたと思いますので、みなさんぜひ読んでみてください。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)今回は、『日刊競馬』の記者であり、現在はBS11に変更となった競馬中継の「勝ち馬検討社」でお馴染みの黒津伸一さんです。

黒津伸一氏(以下、黒)よろしくお願いします。


[西]この対談もお陰様で4年近く経ちまして、調教師や騎手、あるいは装蹄師や獣医さんなどに登場していただいてきたのですが、トラックマンは今回が初めてになります。

[黒]それがよりによって僕ですか。

[西]僕のリクエストなのですよ。黒津さんなら、ブッチャけトークができるだろうと思ったものですから。

[黒]よく分からないけど、よろしくお願いいたします。写真があるなら、もっと身綺麗にしてくるんでしたね。

[西]いや、普段通りが一番ですよ。黒津さんは専門紙である『日刊競馬』のトラックマンとして活躍されていますが、専門紙は今回の震災による影響も大きかったと聞いています。実際はどうだったのでしょうか。

[黒]関東圏での競馬は2ヶ月近くなかったですよね。正直、えらいことになったなぁと思いました。

[西]被害を受けただけでなく、競馬が中止となって、競馬新聞を売ることさえできない状況になり、専門紙が倒産してしまうんじゃないかという噂さえ流れましたよね。

[黒]経営規模にもよるのでしょうが、ウチがいちばん波風が少なかったようです。他のところでは、倒産して……という噂はありました。


[西]やはり、そういう話があったんですか。

[黒]でも、激甚災害に対して給付金が出て持ちこたえることができたという話を聞きました。

[西]へぇ、そういう給付金が出たんだ。

[黒]個人的には出ないと思っていたのですが、支給されたと聞きました。たぶん、どこの会社も申請したということなのでしょう。

[西]そうだったんですね。申し訳ないんですけれど、僕は競馬場で生まれ育っているもので、競馬新聞を買うという感覚がまったくないのですよね。新聞は家に届いているものなんだと思っていて(笑)。

[黒]夕方になると胡散臭いオジサンたちが来る感じですか(笑)。

[西]そんなもので、よく分かっていない部分があるのですが、僕が幼い頃は、競馬新聞がいちばん詳しいと思っていました。それが、ある時からスポーツ新聞の情報量が充実してきた感じを受けたんですよね。

[黒]そう思う読者の方々が増えたから、専門紙の部数が減少したわけですよ。

[西]そうですよね。


[黒]いちばん最初は東京スポーツだったかな。全レースの馬柱を載せて、飛躍的に部数が伸びたはずですよ。

[西]それまでは、スポーツ新聞、いわゆる日刊紙に馬柱が載るということはなかったわけですよね。

[黒]いまは和解していると思いますが、以前から、専門紙の情報を転用するということがよく事件になっていたのです。日刊紙は新聞を刷る時間が遅いのに対して、我々専門紙は早いわけですよ。昔の出馬確定だと金曜日に確定して、出た瞬間に新聞が刷れる態勢でした。そうでなければダメなのですが、日刊紙は、遅い新聞なら翌朝まで大丈夫なわけです。うがった見方をすれば、駅に行ってすべての専門紙を買ってきて、時計やコメントを転用することができてしまうことになるのです。

[西]実際、問題になったのですか?

[黒]ある社が問題にしたことがありました。日刊紙は1社で4~5人のスタッフが取材しているケースが多いはずなのです。それで300頭近くの馬について、すべてのコメントを取材することは現実的にほぼ不可能、ということで指摘したようです。

[西]確かに、不可能に近そうですよね。

[黒]実は、ウチもある日刊紙に転用されていたことがあったんですよ。

[西]えっ、マジですか!?

[黒]薄々、転用されていることは分かっていたのですが、丸っきり同じコメントが載るなど、あまりにも酷かったのです。そこで、ある時に存在しない助手の名前でコメントを載せたのです。

[西]例えば、いるはずのない「土田厩舎の西塚助手」という感じですね。

[黒]そう。そのままウチの新聞がそのコメントを載せたところ、ある日刊紙にそのまま掲載されたのです。

[西]専門紙では、それぞれの厩舎の担当者がいますので、助手の名前が間違うことは、故意じゃない限り、可能性として低いですからね。それにしても、300頭近く、あるいはそれ以上の出走馬たちすべてを取材する労力というのは膨大ですよね。

[黒]綺麗ごとを言うわけではありませんが、我々の人数でも、担当と言われる厩舎をすべて網羅するのは難しいのが現実です。他社と協力し合う部分もありますよね。

[西]僕らも取材を受けていて、専門紙なら7社ですから7人の方にバラバラに来られても、時間的に厳しいものがありますよ。まとめて聞いてもらって、あとで共有してもらった方が良かったりします。

[黒]現実的に、例えば担当が同じだったりすると、A厩舎の話を聞いて教えるかわりに、B厩舎の話を教えてもらうということはあります。

[西]黒津さんは、担当厩舎というのがいくつあるのですか?

[黒]時期にもよりますが、14から15厩舎です。

[西]えっ!? そんなにあるんですか。

[黒]ほとんどの専門紙が同じ感じだと思いますよ。

[西]そのなかでも、強い・弱いというのもあるようですよね。例えば、A厩舎のことはB記者に聞けばすべて分かっているというような関係がある。

[黒]綺麗ごとではなくて、本来は担当厩舎のすべてを網羅するくらい仕事をしなければならないのですが、そうは言っても、現実として難しいですよ。どうしても時間的な制約がありますからね。

[西]取材を許される時間が限られてますからね。

[黒]実際、水曜日の午後に厩舎回りをしています。7つくらい回るのですが、その中で行くのを待っていてくれる厩舎もあれば、そうじゃない厩舎もあるのです。じゃあ、何を優先するのかということになりますよね。午後3時に車両規制が解除され、入門が許されます。そこから2時間半、5時30分くらいまでには終わらせなければなりません。そうしないと、厩舎のスタッフたちの多くは帰ってしまいますから。

[西]我々もいつまでもいるわけにはいきませんからね(笑)。

[黒]その2時間30分の間に、いかに時間を上手に使って、効率良く、なおかつ良い話を聞いて、ソツなく仕事を終えるというのは、結構至難の業ですよ。実際、『これは上手くいったな』というのは、1年に1~2回ある程度でしょうね。

[西]2時間半が勝負ということですよね。でも、その時間は調教師をはじめ、我々スタッフも仕事をしているわけですから、スムーズにいかないこともあるでしょう。

[黒]手が空いている人を見つけるようにしますよ。付き合いの深い厩舎なら、誰がどの馬を、あるいはその時間に何をやっているかというのが分かりますから、例えば、『今日この馬、誰が乗ったの? 助手、それとも乗り役?』というように聞いて、乗った本人に取材をするわけですよ。なるべくそうやるようにしていますが、それでも1厩舎に対してどんなに頑張っても30分は費やさなければなりません。だから厳しいのですよ。

[西]馬の話だけ、というわけにはいきませんからね。前の週の競馬の話や『暑いね、寒いね』という世間話などもしながら、軽く揉んで解してからですからね(笑)。

[黒]保険の外交委員の方々と同じですよ。

[西]いきなり『調子どうなの?』と聞かれたら、こちらも面食らうはずですよ。

[黒]でも、それが『最近どう?』とか聞くと、そちらの話が長くなってしまったりするわけですよ(笑)。

[西]長々と続いたりしますよね(笑)。

[黒]でも、それが失敗とは思いません。今日は、ついていなかったなぁと思いますけどね(笑)。

[西]ハハハハ(笑)。なかなか思うようにはいきませんよね。

今週はここまでとさせていただきます。

いやぁ、暑いですねぇ。まだ梅雨は明けていませんが、一気に真夏かと思うほどです。早くもバテ気味の方がいらっしゃるようですが、馬にもジワジワと影響が出始めてきているようです。

一般的には目の周囲が黒ずむとか、牡馬なら生殖器が膨張してしまうなどということが夏負けの症状と言われています。それについては、また機会を見つけて獣医さんの解説付きでお話をしたいと思いますが、ただ、それを見分けるのは簡単じゃありません。

夏負けの症状を見せていたからといって、それが即、能力発揮に影響をするとは言い切れなかったりするのですよ。1~2回は耐えてしまって、好走するということは経験としてあります。

また、それこそ冒頭で話したように、この時期の未勝利だと後があまりありませんので、ブッチャけ、多少夏負けの症状があったとしても、出走させるしかない状況でもあるわけですよ。

そこで耐えてしまって好走すると、次も何とか凌いでくれるんじゃないかという感覚になったりもしますよね。そんなに甘くないですし、分かっているのですが、どうしても後がない状況になりますと、そういう雰囲気にもなるわけですよ。

いやぁ、本当に暑いです。僕も馬に乗っていてクラッとすることもありますので、みなさんも熱中症などにお気を付けください。

ということで、最後はいつも通り『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。