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武士沢騎手にプライベートな面とファンサービスについて伺いました
2011.8.25

先週、対談に出ていただいている武士沢騎手が、我が尾関厩舎の管理馬であるヴュルデバンダムとのコンビで、日曜日の新潟5レース(新馬戦、芝1800メートル)を勝ってくれました。

個人的には、調教での動きが良く、素質を感じていたので、人気がないなあと思いながら、レースを見ていました。取材を受けた時にも「良いですよ」と話していたのですが……。今度からは、ここでもそういう話をさせていただくようにしたいと思います。

そのヴュルデバンダムは、新潟2歳ステークスに向けて、新潟に残って調整が進められることとなりました。

2歳馬ということで、ジレンマというか、ポイントとなるのが、デビューして間もない2歳の夏に中1週で新潟までの輸送をするか、それとも、滞在しての調整にするかということです。滞在ということになると、ウッドチップや坂路というコースの選択肢がなく、ダートか芝コースの調整になります。

滞在するかしないかという判断はとても大きなポイントだと個人的には思っていますが、実はその手前にも細かい選択をいろいろとしています。表にはあまり出ない細かい選択を行い、レースを迎えているわけですが、そのようなことをひとつひとつ、細かいところまでしっかりと見極めながらやっていくことでしか、勝つことに近づくことができないと、最近は痛感しているんですよね。

今回、ウチの先生は滞在としたわけですが、良い結果を生んでくれると信じています。ここへきて厩舎の調子も上がってきていますので、これからもひとつ、ひとつ積み重ねながら頑張っていきたいと思います。

それでは、今週で最終回を迎える武士沢さんとの対談をお送りします。どうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)プライベートの話も聞きたいのですが、実は村田さん(村田一誠騎手)と対談した際、掲載はしなかったのですが、結婚されたのは村田さんのお陰だという話が出たんですが?

武士沢友治騎手(以下、武)一誠(笑)。確かに知り合ったきっかけは一誠ですが、お世話にはなっていません。

[西]うははは(笑)。村田さんは「俺のお陰だ」と豪語していましたけど。

[武]いえ、あくまできっかけだけです。

[西]ブッチゃけた話、結婚してレッドゾーンの幅が狭くなったということはないのですか?

[武]まったくないですよ。あくまで自分自身と馬との関係ですから。あるかなとも思っていたのですが、あくまで馬との対話のなかでの感覚なので、ありませんね。


[西]結婚して良かったことは?

[武]家族のために頑張ろうと思えるようになったことですね。

[西]でも、結婚してから出かけなくなりましたよね?


[武]確かに出かけなくなったかな(笑)。

[西]以前は、ほぼ皆勤賞というペースで出かけていましたし、空いていることがない武士沢さんで知られていましたからね(笑)。

[武]出かけていなかったら、不安になっていたくらいですからね。

[西]うははは(笑)。水曜日の夜に出かけていなかったら不安になっていましたか。

[武]ただ、家に誰かが居れば帰るんですよ。独身の時は、帰っても誰もいませんでしたからね。

[西]読者の方々にお伝えしておきますが、独身時代の武士沢さんを水曜日の夜に押さえるのは、トップジョッキーの方々に一番乗りをお願いするよりも大変でした。そのくらい出かけていましたよ。でも、武士沢さんから誘うということはほとんどありませんでしたよね?

[武]予定を入れるのではなく、誘われているうちに満タンになってしまうという感じでしたからね。あとは、田中さん(田中勝春騎手)からゲリラ的に呼び出しがあったりしましたから(笑)。

[西]うははは(笑)。勝春さんからの呼び出しは、たとえゲリラ的でも断れないですよね。

[武]どうしてもという時にはお断りさせていただいた時もありましたが、できる限りご一緒させていただきました。

[西]でも、結婚すると、周囲の人たちが気を遣うようになりませんか?

[武]それはありますよ。そうなると、家族でという感じになっていくのですよね。

[西]分かります。もうこうなったらブッチゃけさせていただきますが、僕は毎週、ノビーズの練習に行っているのですが、嫁さんに『本当に練習に行っているのか?』と言われてしまっているのですよ。

[武]うははは(笑)。信用ないですねえ。誤解がないように言っておきますが、僕はそんなことはありませんから。

[西]またまた。

[武]本当ですから。信用されていますし、うちは円満です(笑)。

[西]では、そうしておきましょう(笑)。プライベートの話はこれくらいにして、最後に真剣な話もしましょう。僕自身は「5年後の競馬」ということをひとつのテーマとしているのですが、武士沢さんはその点についてどう感じていらっしゃいますか? 確か前回の対談の時にも「危機感を感じている」とおっしゃっていましたが。

[武]あの時よりも、もっと感じていますよ。本当にこのままではダメになると思っていたところに、今回の大震災もありましたから。

[西]実は、西田さん(西田雄一郎騎手)に出ていただいた時に、ファンサービスについて話をしていただいたのですよね。

[武]我々騎手たちも、ファンサービス委員の方々を先頭に、ファンの方々にできることを可能な限り、という思いでいるのですが、何か協力的じゃないと言いますか、思うようにやれていない面があります。

[西]そういう面があるのですね。西田さんも段取りの悪さをおっしゃっていました。

[武]実は先日も、JRAに対して、さすがに「いい加減にしてほしい」と言ったんですよ。被災地の方々が競馬場に来られて、イベントを行うので出席してほしい、ということだったのですが、その話をその週の木曜日に言われたのです。

[西]えっ!? その週の木曜日ということは3日前ですか?

[武]そうですよ。3日前に決まった話ではなく、もう前から決まっているのに、話をしてくるのが3日前ですよ。もちろん、予定がないなら、喜んで出席させていただきますよ。でも、予定が入ってしまっていては、3日前ではどうすることもできません。

[西]そうですよね。

[武]それが今回だけじゃないのです。以前から何度もある話ですから。出席できる人が出席すれば良いという話ではありません。もし、出席できる人がひとりもいなかったらどうするのですか。そういう可能性だってあるわけですから。

[西]段取りが悪いというか……もはや仕事じゃないですね。

[武]もしそこで出席しなければ、騎手たちは協力的じゃないということになりますからね。声をかけたりして、協力しようとしていますよ。でも、3日前に言われたのでは限界があります。

[西]そうですよね。

[武]今回は予定がなかったので、参加させていただきましたが、相変わらず3日前に言ってくる現実に腹が立ちましたし、危機感の無さを痛感させられました。

[西]JRAは危機感がないと言われてしまっても、仕方がないですよ。

[武]些細なことかもしれませんが、自分自身では時間が許す限り、リクエストがあればサインには応えさせていただいています。それは本当にわずかなことかもしれません。でも、その一方で、イベントを3日前に伝えられる現実に直面すると、ファンサービスをするのがまるで当たり前と思われているような感覚を覚えずにはいられません。

[西]一丸となって頑張っていかなければ、本当に競馬が終わってしまいますよ。

[武]本当にそういう危機感を感じていますよ。

[西]もっと、いろいろできると思うんですよね。ファンの方々にも喜んでもらえて、騎手の方々も気持ち良く参加してもらえるやり方があるはずですよ。タレントさんを呼ぶことも大切でしょうが、競馬の顔であるはずの騎手の方々がいるわけです。しかも、協力してくれるわけですから、絶対にもっとできることがあるはずですよ。

[武]そう思います。

[西]生意気と言われるかもしれませんが、JRAは何を目指してどう行動するのか、そういうことがまったく示されていませんし、感じられませんよね。

[武]我々も、競馬がどうなっていくのだろうかと不安を感じていますよ。毎週の競馬を、毎日の調教を、一生懸命に頑張るのは当たり前なのですが、やはりどのような方向性に向かうとするのか、示してもらわないと困ります。

[西]極端な言い方をすれば、ブラッドスポーツとして目指していくのか、それとも興業、つまりはエンターテインメントというポジションで頑張っていくのかを選択する時期に来ていると思うのです。しかし、それさえも示されていないわけですよ。日本の競馬というのは、元来、馬券の売り上げで支えられてきたということは忘れてはならないと思いますよ。

[武]本当に危機感を持って、対応していかないと競馬の存続が危ぶまれる時代が来てしまうと思います。

[西]いろいろな面で、抜本的に変えていく必要があるんだと思います。いやぁ、今回も武士沢さんと良い話ができて良かったです。これ以上話すと、またミリタリーネタに突入していきそうなので、今回はこのあたりで終わりにさせていただきたいと思います。

[武]えぇ~、ミリタリーネタ、話しましょうよ。どうですか、戦闘機についてとか。あるいは潜水艦の話とか。いろいろあるんだけどなぁ。

[西]いやぁ、もういいですから。明日、3時なので帰りますよ(笑)。

[武]なんだぁ、残念(笑)。

[西]今日は本当にありがとうございました。またぜひ、今度は5年後の競馬についてというテーマだけでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

[武]わかりました。ありがとうございました。


いかがだったでしょうか。武士沢さんとの対談は2回目となりましたが、個人的には結婚したからというよりも、フリーになったことで変わったと感じました。決して悪い意味ではなくて、雰囲気が変わったと感じるんです。

師匠は絶対的という話をされていましたが、どこかで中野渡厩舎を背負って、助けていかなければならないという責任感を感じていたのかもしれないと感じました。

ひょっとすると、僕自身についても、西塚厩舎の時といまでは変わったと感じる人たちがいるのかもしれません。個人的には、変わったとは思っていませんが、人は環境によって変わるという部分が、良い悪いは別にして、あるということなのかもしれません。

あともうひとつ、ファンサービスに関して、僕自身が常々思っていることなのですが、それをやることに対して批判を受けるケースがあり、それに対して違和感を覚えたりするんですよね。

ファンサービスに積極的に取り組むと、「本分を忘れて」というような言い方をされることがあり、少し違うかもしれませんが、僕や松岡(松岡騎手)であれば、「騎手が、助手が、バンドなんかをやって」というような批判めいた声が少なからずあるのです。

僕たち助手は目立たないのでそれほどではありませんが、騎手の人たちは負けたりすると、『あんなことをやっているからだ』というような言われ方もするのですよね。

この前の西田さん(西田雄一郎騎手)もそうでしたし、今回の武士沢さんの話を聞いて、ファンサービスについて、単純に面倒だからやらないということではないことがよく分かりました。目に見えない部分も含めて、少なからずいろいろな問題があるということなのです。

話を聞いている限り、武士沢さん自身もファンサービスについては参加する意思があるようですので、機会があればぜひお誘いしたいと思いますし、ぜひ参加してもらいたいと思います。

ということで、最後はいつもの通り、『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうかよろしくお願いいたします』。