来年以降はもう10kg以上の馬体増は気にしない!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史
最近、禁煙した影響で体に余計な
お肉が付いたので、ダイエット目的で早朝にランニングをするようになった。1回の
「追い切り」でだいたい1万歩くらい走り、合計するとだいたい50本くらい追い切った。
「追い切り」とはランニングのことだが、
競馬好きとしてはそう言いたいだけ。
その過程では足首を痛めて半月ほど
「追い切り」ができない時もあったが、
ケガを乗り越えて数多く
「追い切り」をこなした結果、
4kg減という形になって実を結んだ。妊娠中で体重が増加することを気にかける
妻は、ダイエットに励む
夫に対して
冷ややかな視線をぶつけてきますけど(笑)。
なぜそんな話をしたかと言うと、
神戸新聞杯は
オルフェーヴルの馬体重に注目していたから。90年以降の
神戸新聞杯を振り返ると、
馬体重が10kg以上増えていた馬は[1.5.4.40](勝率2.0%)となっていた。
4ヵ月ぶりとなる
オルフェーヴルはおそらく、馬体増で出てくるはずで、
ダービーは
デビュー戦(448kg)より軽い444kgだったから、
成長分を加味すれば10kg以上増えてくるケースも十分に考えられる。なんて思っていたら、発表された馬体重が
16kg増で460kg。これは果たして勝ち切れるのか。
その一方、90年以降の
神戸新聞杯だと、
ダービーで連対していて単勝1倍台に推された1番人気馬は[3.2.1.1](勝率42.9%)となっている。およそ2頭に1頭は勝つ計算が成り立つじゃないか。
勝率2.0%と42.9%の戦い。
オルフェーヴルは①着と見る自分、いや②着以下だと主張する自分、両者が
押し問答を繰り広げた末、
オルフェーヴルは3連単の①着に固定し、②着や③着にはマークせず。
ではなぜ、
オルフェーヴルを3連単の①着に固定したかというと、昨年の
神戸新聞杯で、
22kg増(462kg)で勝利した
ローズキングダムを②&③着付けにした3連単で勝負して
涙を呑んだから。
[1.5.4.40]という成績のうち、唯一の勝ち馬は何を隠そう、昨年の
ローズキングダムである。
「2年連続で10kg以上増の馬が勝つとは思えないぞ~」と、頭の中の
外野君が野次を飛ばしてきたが、
馬肥ゆる秋、
成長期にある3歳馬。減っているより増えているほうがいいだろうと、
16kg増を
前向きに受け止めることにした。結果、強い
オルフェーヴルがそこにいた。
スマートロビンが引っ張る展開だったが、1000m通過は昨年よりもさらに0秒4遅い
63秒5の超スローペース。5F目(13秒4)と6F目(13秒7)には13秒台のラップが並んだ。
その中、
オルフェーヴルは中団より少し前目の5番手で追走する。レース後の
池添騎手のインタビューによれば、道中で少しハミを噛んだところもあったようだが、折り合いを欠くような場面は見られず。
勝負所では外目から手応え良く進出し、この上がってくる時の脚が素早いこと。スペーペースで他馬も余力があったと思われるが、
オルフェーヴルをマークするような形で進んでいた
ウインバリアシオン以下をあっさりと置き去りにし、出走馬中で唯一、
32秒台の上がり(32秒8)をマークして突き抜けた。
スマートロビン絡みの3連単は持っていなかったので、一瞬、
フレールジャックと
スマートロビンの③着争いの行方が気になったが、それよりも直線は
オルフェーヴルの強さに呆気にとられた。
春より凄みを増した印象で、これが二冠馬の貫禄というものか。
90年以降の
神戸新聞杯において、単勝1倍台の1番人気に推された馬と成績を列挙すると、
ビワハヤヒデ(93年
①着)、
フジノマッケンオー(94年④着)、
タヤスツヨシ(95年⑤着)、
ビッグバイアモン(96年⑤着)、
キングヘイロー(98年③着)、
エアシャカール(00年③着)、
エアエミネム(01年
①着)、
キングカメハメハ(04年
①着)、
ディープインパクト(05年
①着)、
メイショウサムソン(06年②着)、
エイシンフラッシュ(10年②着)。
オルフェーヴルは②着
ウインバリアシオンに2馬身半差をつけたが、これは05年の
神戸新聞杯で
ディープインパクトが②着
シックスセンスにつけた着差と同じ。上記の勝ち馬のうち、②着以下に2馬身差以上をつけたのはその2頭だけ。
池添騎手はインタビューで
「しっかりと内容も結果も求めるつもりで乗ろうと思っていた」とも話していたが、
ディープインパクトに続く、史上7頭目の
牡馬クラシック三冠制覇を目指す
オルフェーヴルにとって、
今回の内容はその偉業をグッと引き寄せるものだったのではないだろうか。
来年以降の神戸新聞杯ではもう、10kg以上の馬体増は気にしないことに決めた。そして
妻には、
「少しくらい体重が増えたっていいじゃないか、産婦人科の先生から言われている許容範囲の体重なら。オルフェーヴルは16kg増でも強かったんだぞ」と、
競馬好きの
無茶苦茶な論理を冗談ぽくぶつけてみよう(笑)。
それにしても、
オルフェーヴルが三冠を達成すると、
池江泰寿調教師は
親子二代で三冠制覇という偉業を達成することになる(05年に無敗で三冠馬に輝いた
ディープインパクトは父である
池江泰郎元調教師の管理馬)。しかも、
オルフェーヴルの父
ステイゴールドも母父
メジロマックイーンも
池江泰郎元調教師の管理馬だったという点もすごい。
三冠達成なら
ギネス級の記録なのでは?