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グランデッツァは良血馬が活躍する、近年の黄金パターンの象徴
文/編集部(T)

「今回はグランデッツァで仕方ない」

レース前、何人かの知り合いに今回の札幌2歳Sについて聞いたところ、異口同音にこの言葉が返ってきた。キャリアの浅い2歳戦では穴馬券しか買わない人間ですらそうだったので、グランデッツァの人気ぶりに少し驚いた。

自分も何年か本誌のPOG取材を担当してきたので、関係者のコメント取材者の評価などを元に、何となく“走りそうな2歳馬”を嗅ぎ分けることができるようになった。もちろん外れることの方が多いし、馬を見る目はないので、すべて人任せですが(笑)。

しかし、今年はPOG取材を担当していないので、そのあたりの情報に疎かったか……と、改めてグランデッツァについて振り返ってみた。

関係者のコメントは、「能力は素晴らしいものがある」「アグネスタキオンの最高傑作かも」など、半姉が今年の桜花賞マルセリーナということを抜きにしても、素晴らしいものが並んでいる。当然、周囲の評価も最高だった。

前走を見ても、出遅れて前に行ったために掛かり気味になりながらも、②着馬に8馬身差をつけて圧勝している。

このレースの勝ち時計の1分50秒9は稍重で記録されたものでありながら、今年の札幌芝1800mの2歳戦では最速。当然ながら、札幌2歳S出走馬の持ちタイムでも最速だった。

ここまでは、「負けるところが想像できない」感じで、穴党がこぞって脱帽するのも仕方がない。しかし、レースでは何が起こるか分からない……という目で見ていた。

ところが、今回のレース内容もまた脱帽ものだった。

今回はスタートを決めて、スムーズに外目の3番手を確保。3~4コーナーでは持ったままで進出し、外からマイネルロブストが上がってきたが、直線で仕掛けられるとあっさりとこれを突き放し、②着ゴールドシップの追撃をかわしてゴール。鞍上の秋山騎手は、最後は手綱を緩めるほどで、着差以上の完勝だった。

②~④着馬は中団から後方にいた馬が占める展開で、正攻法で完勝した価値は高いと思われる。今回も馬場は稍重だったが、勝ち時計の1分50秒8は、05年の札幌2歳S勝ち馬アドマイヤムーン(良馬場で1分50秒4)に0秒4差だった。

レースぶり、タイムの両面を踏まえても、今後に大きく展望が開ける勝利だったといえそう。そういえば、グランデッツァ以前に前述の穴党を脱帽させたのは、あのディープインパクト。そこまでの域に達することができるか、今後を楽しみにしたい。

ところで、ドリームジャーニーの全弟オルフェーヴルなどもそうだが、近年の2~3歳戦線(POG戦線とも言い換えられる)は、“○○の下”“○○の子”といった、いわゆる良血馬がよく活躍している。

かつては「指名人気馬の成績はイマイチ」と言われてしまっていたサラブレ本誌のPOGでも、昨年のオルフェーヴルレーヴディソール、今年のグランデッツァも指名人気馬だ。

では、良血馬が活躍しやすくなったのはなぜだろうか。育成技術調教技術の向上にその理由を求める人もいれば、サンデーサイレンスの導入以降、血統の良い繁殖牝馬がサンデーサイレンスやその子孫の血を得て日本に適合しやすくなったことを挙げる人もいて、いろいろな分析がある。

良血繁殖牝馬とサンデー系種牡馬との融合の話は、今回にも当てはまる。グランデッツァの母マルバイユは、吉田照哉氏の所有でイタリアで重賞2勝、フランスではG1アスタルテ賞を制し、合計で11勝を挙げている。

このアスタルテ賞では、ムーランドロンシャン賞などを勝っていたネブラスカトルネード武豊騎手騎乗のルンバロッカ(ちなみにこの馬も吉田照哉氏所有で、のちに日本に輸入され、今年のすみれS勝ち馬ロッカヴェラーノを出している)などを下しており、価値の高い勝利だった。

そのマルバイユが日本に来て、ディープインパクトを配合されてマルセリーナアグネスタキオンを配合されてグランデッツァを出したというのは、ある意味象徴的な出来事かもしれない。

マルバイユのように、海外の活躍牝馬が日本に来て、サンデー系の血を得た産駒が活躍するパターンは、今後もますます増えていくだろう。POGでは、どの良血馬を指名するかでますます頭を悩ませることになりそうだ。

いずれにしても、取材して記事を掲載する側としては、指名人気馬が活躍する=取材がうまくいったということになるので、非常に嬉しいもの。今後もこの傾向が続けばありがたいと思っている(笑)。