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今週は呼吸器系の病気について話をしたいと思います
2011.11.17

単勝オッズが1倍台で、たくさんの方々から応援していただき、僕たちも楽しみにしていたモンストールでしたが、4着という結果となってしまいました。

自分から前を捕まえに行く形で、間隔が開いたことも含めて頑張っていたと思いますが、手綱を取った柴田善臣騎手、そしてうちの先生がレース後にコメントしていたように、息遣いに変化があり、呼吸器系に気になるところがあったということでした。

次走以降については、まだ先生から聞いてはいませんが、高い能力を兼ね備えた存在ですので、先を目指して頑張っていきたいと思います。

それでというわけではありませんが、今回は呼吸器系の病気について、マニアックにならない程度にお話をさせていただきたいと思います。

呼吸器と聞くと、喉や気管支というイメージを持つと思いますが、馬の場合、普通の風邪である感冒や輸送熱も呼吸器系の病気に分類されます。

輸送熱は、長時間、あるいは疲労時に輸送することで、熱を発するなど感冒と同じ症状を示すのですが、最近では馬運車なかにいる菌などが喉や気管支に影響を与えて輸送熱を発症することも報告されています。

他では、鼻出血で、肺から出血する症状(運動誘発性肺出血)なども、呼吸器系という扱いになるそうです。

たくさんある症状のなかで、一般ファンの方々がもっとも耳にするのは、ノド鳴りと言われる症状でしょう。

普段、調教に乗って「少し息遣いが悪いな」と感じることがあるのですが、その時はノド鳴りを疑った方が良いようです。

もっとも顕著な症状として「ヒュー、ヒュー」という音が聞こえるとされているのですが、「息遣いが悪い」、「咳をする」、「息の入りが悪い」、あとこれは僕も経験があるのですが、「ゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロ」など物凄い音がするケースもあります。これらすべてにおいて、ノド鳴りを疑うべきということなのです。

一般に言われるノド鳴りというのは、喉にある反回神経の麻痺や呼吸器の感染症によって、披裂軟骨が完全に開かず、気道が狭くなってしまうことです。

重症例においては競走能力発揮に影響を及ぼすとされ、手術によって改善されるケースもあると言われています。

この手術というのは、披裂軟骨を固定することで気道を確保するというのが一般的されています。ただ、固定されたものの、それが元に戻ってしまうこともあるようで、完治が難しいと言われています。

一方、ノド鳴りだからと言って、能力減退、あるいは走らなくなってしまうかというと、そうではありません。さらに、音だけでは判断できない面もありますので、とても難しかったりするのです。

実際、西塚厩舎の時に携わっていたエフテーストライクは物凄い音が聞こえました。「ヒュー、ヒュー」とかなり大きい音がして、かなり重症のノド鳴りだろうと思いました。

その状態で結果が出ていましたので、敢えて検査しなかったのですが、ある時に検査をしてみようということになってスコープを入れたところ、ノド鳴りの症状は確認されたものの、症状としては披裂軟骨の麻痺というよりは動きが弱いという感じで、とても軽度だったので、手術をするまでではないという結果でした。

エフテーストライク以外でも、音がする、あるいは気になるケースでありながら、喉の周辺が荒れていただけということがありました。

もちろん、その逆もあるのでしょう。何か息が気になるなぁと思っていたら、かなり症状の重いノド鳴りだったという話も実際に聞きます。乗った時の感覚と、スコープを入れた映像は、必ずしも一致しませんし、もっと言えば同じということが少なかったりします。

もうひとつ言えば、競馬と調教でまったく違うことも珍しくありません。症状が重い馬の場合、直線でピタッと止まってしまうなど、能力発揮に重大な影響を及ぼすのですが、調教ではそうならないこともあるのです。

西塚厩舎時代に、唯一、ノド鳴りを手術した馬がいたのですが、まさにそのような状況でした。調教では息遣いが悪い程度で、とてもノド鳴りとは思えないのに、競馬では直線でピタッと止まってしまうのです。

追い切りと競馬は違うんだと痛感させられましたし、追い切りだけでは分からないことがたくさんあるんだと教えられました。

話は少し逸れますが、ノド鳴りを手術するとなると、多くのケースでは全身麻酔が施されます。僕たちはその影響も考えなければなりません。術前よりもむしろ能力が発揮されなくなる可能性もありますから。

そのような理由もあり、症状が確認できたからといって即手術ということではなく、程度によって対応を変えなければならないのです。

ノド鳴りについては、ある日突然ということも珍しくありません。ある朝、「あれ、何か息遣いが違うな」と感じさせられ、それがやがてノド鳴りと判明するわけです。

僕にも経験がありますが、息遣いで言えば、まず、太いのかという意識が働きますし、咳をしていれば感冒を疑ってしまいます。判断も難しいですし、吸入療法など効果があるとされているものの、予防についてはこれといった例は報告されていません。

もちろん、感冒などから炎症を引き起こすことがノド鳴りに発展する可能性もあるとされ、早期に薬を投与することでノド鳴りまで進行させずに済んだというケースもあるそうです。

早期発見、早期治療が有効ということではあるのでしょう。実際には、乗っている感覚だけではなかなか疑うことさえできなかったりするのですが、少しでも気になったら診察を受けた方が良いということなのでしょう。

話が上手くまとまらなかったかもしれません。また、毎度のことながら長々とすみません。

来週からは、騎手の番組を管理するエージェントもされている『競馬エイト』のトラックマン・高尾幸司さんをお迎えしての対談をお送りします。

ということで、最後はいつも通り『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします』。