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騎手のエージェントを担当する魅力、大変さとは?
2011.12.01

先週も触れましたが、松岡(騎手)がケガを負って、手術を受けたということで、先週の金曜日にお見舞いに行ってきました。手術の後は痛々しいものの、基本的には元気ということで、まずはひと安心です。

復帰はあくまで回復次第ということで、状態と相談をしながら復帰を目指すことになりそうです。ご心配されていた方々も多いと思いますが、どうぞご安心を。

松岡と話してきたのは、競馬と思わせておいて、実はまったくと言って良いほど競馬の話には触れていません。いつもそうなのですが、ほぼ音楽の話でした。

お見舞いにギターなど音楽雑誌を差し入れさせていただいたこともあり、次はどのギターかということで盛り上がってしまいました。

まだ詳細については決まっていませんが、年末にライヴの計画をしています。正式に決まったらお知らせさせていただきたいと思っておりますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。

今週は、『競馬エイト』のトラックマンである高尾幸司さんとの対談の2回目になります。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)「エージェント」と呼ばれる騎手たちの番組、つまり騎乗馬を管理したり、仲介したりする人たちがいて、三浦(皇成騎手)を担当しているのが高尾さんになるわけですが、エージェントは個人個人で契約しているのですか?

高尾幸司氏(以下、高)ほとんどそうだと思います。

[西]ルールとか、規則とか、資格とかはあるのでしょうか?

[高]いまの段階では、あくまで騎手と個人で契約して、JRAに届け出るということだけです。

[西]なるほど。高尾さんの場合は、きっかけみたいなものはあったのでしょうか?

[高]あるパーティーの席で、皇成とウチの上司との会話の中で、コラムを始めるという話で合意したらしいのです。その後、僕がたまたま会社にいた時に、上司から「コラムの確認を取ってこい」と言われて、翌日から美浦トレセンだったので「聞いてきます」と言って、話をしたのが最初でした。それで本人からOKが出たのですが、師匠である河野先生の許可をもらわなければならないだろうということになって、上司たちと一緒にうかがったのです。

[西](河野)先生によく反対されませんでしたね。

[高]最初は「まだ早い」と言われました。ただ、皇成も「高尾さんがやってくれるのならやりたいです」と言ったりして、結局やることになったのです。そこから基本的には毎週美浦で、あとは皇成が行くところへ付いて行くという生活が始まったわけです。

[西]イギリスに遠征した時も一緒だったのですか?

[高]運転手をしていましたよ(笑)。


[西]あっ、そうだったんですね。

[高]ふたりだけで競馬場に行く日も珍しくありませんでした。そうやっていくなかで、それまで番組を担当されていた方が体調を崩されたことがあり、皇成から「番組をやってほしい」と言われたのです。

[西]三浦とは付き合いが長いのですね。

[高]でも、元々はよく知らなかったのですよね。個人的には、脚光を浴びる人にはあまり興味がないものですから…。皇成はご存じのようにデビューした当時から勝ち星を伸ばしていましたが、実際、初めて話をしたのは、デビューした年の12月頃だったと記憶しています。

[西]あっ、そんな感じなのですか。それこそデビュー前から、番記者的な存在だったのかと思いました。


[高]番組を担当するようになったのはもっと遅くて、今年からですからね。

[西]なるほど。実際に僕もたくさんのエージェントの方とやり取りをしていますが、当たり前ですけど、中間に挟まれるのは大変じゃありませんか?

[高]大変は大変です。でも、やり甲斐もありますよ。

[西]お互いにドタキャンとかもあるでしょうから、大変だろうと思いますよ。

[高]個人的には、極力、波風を立てないようにと心掛けています。ただ、やはり騎手は勝つ馬に乗りたいですからね。

[西]2歳とかは大変でしょう。ブッチャケてしまいますが、勝つ予定じゃなかった馬が勝ったりすると、先に入っていた馬との兼ね合いとかも難しいはずですよ。急に関西へ行かなければならないということになると、騎乗馬の確保だけじゃなく、関東の騎乗をキャンセルしなければならないわけですからね。

[高]まだ、そこまでの事態になったことはありません。ただ、最近あったのが、関西の重賞に乗りに行く予定だったのですが、20番目で2頭回避しなければ出走できないという状況だったのです。1週前の水曜日の時点で動きがないので、東京で騎乗することになり、そこから騎乗馬を集めたのです。何とか集めることができましたが、先の先まで読んで、それぞれの対応を想定しておかなければならないのですよね。

[西]それでもイレギュラーが起きるんですよね(笑)。

[高]そうなんですよ。だから、単純に空いているから依頼を受けるということはできませんよね。折り返しで来るかもしれない、あるいは勝ち上がってきた馬が来るかもしれないと、ありとあらゆるケースを想定しなければならないのですよ。

[西]みなさん簡単に思うかもしれませんが、それが大変なんですよね。

[高]難しさはあります。例えば、1ヵ月先の騎乗依頼が来たとします。その時、以前から乗っていた他の馬がそこに使う可能性がありますので、「返事を待っていただけますか」と聞きます。それで、待っていただければいいのですが、「いや、早く決めてほしい」と言われてしまえば、他にも探していただくしかないのが現実です。

[西]何人も騎手を抱えている方だと、「じゃあ、○○で」と他の騎手にしたりできますよね。

[高]僕は皇成ひとりなので、それはしていません。

[西]エージェントをやっていて、いちばん大変なシーンというのはどんな時ですか?

[高]そう言われると考えてしまいますが……先に頼まれていた馬を断って、良い馬に乗るという状況ですかね。ジョッキーにより良い馬を乗せるのが仕事なのですが、そこはどうしても断り方を考えなければなりません。

[西]「良い馬の依頼が来たから乗りません」じゃ、いくらなんでも通用しませんからね。怒られますし、次からもういいやとなってしまいかねないでしょう。

[高]そうですね。でも、それが、他の人たちからすると、簡単に思われたりするんですよ。

[西]そうですか。でも、その大変さは分かりますよ。西塚厩舎の時、例えばあるジョッキーを頼んでいたのに、オーナーサイドからチェンジという指令が出るわけですよ。もちろん、そこで僕も頑張るのですが、最後に寄り切られるケースがあって、それで謝る時はもの凄く気を遣いましたから。

[高]何度経験しても、慣れないかもしれません(苦笑)。

[西]そういう部分では、日刊紙と専門紙の話ではありませんが、普段の付き合いが大切だったりするのでしょうね。

[高]それは痛感します。

[西]あり得ない話ですが、三浦の番組を高尾さん以外にもうひとり担当していたとします。高尾さんとは普段からこうして酒を飲んだりしていてよく知っていて、「申し訳ないのですが、強い馬が入ってしまったのです。一緒に騎手を探しますので、何とかお願いします」と言われれば、仕方がないということになるでしょうね。でも、それがよく知らない人となると、そうはいかなかったりすると思います。

[高]あと、そこで、「他の騎手でこういう方々がいて、依頼させていただきます」と準備しておくのは最低条件だと思いますし、実際、そうしたほうがOKをもらいやすいです。

[西]なるほど。よく分かります。同じような経験がありますよ。関西のレースで、あるトップジョッキーのエージェントが断ってきたのです。より走る馬に乗りたいというのは騎手として当然なのですから、仕方がありません。でも、それなら代わりの騎手を一緒に探してほしいと言ったことがありました。結局、探してきてくれて、オーナーサイドも納得してくれたので良かったです。そういう人間関係のなかで成り立っていくべき役割なのでしょうね。

[高]そう思います。

今週はここまでとさせていただきます。

PN.トマトさんをはじめ読者の方から、来年からエージェントにルールができることについて質問をいただきました。

3人プラス1人の見習い騎手までしか担当が認められなくなるということで、現場の我々にとってはどうなのか?ということなのですが、ブッチャけさせていただきますと、担当者のエージェントのサジ加減で騎乗馬(者)が決められるのは、やはり気分を害されます。

ある騎手に対して、騎乗依頼をした時に、走る・走らないということだけでなく、人間関係という部分などで乗ってほしい、いや乗るべきケースというのがあるのです。

しかも、本人がそれを分かっているにも関わらず、エージェントが違う馬を選ばせるというケースがあるのです。

エージェントにすれば、より勝てる馬に乗せたいし、それが仕事なのも分かりますが、走る馬ばかりを選んで乗ることが必ずしも騎手のためだとは言い切れない部分もあるはずです。少なくとも、そういう部分で気分を害されると感じることは、正直言ってありますよ。

あとは、何人担当するかを決めることで、ある程度の公正性が保たれるということなのでしょう。イメージとしては分かりますが、実際に八百長を組むことは不可能だと思いますし、現場としては想像さえもしないはずです。少なくとも僕自身は、無理だと思っています。

もし公正性を言うのであれば、エージェントの人は馬券を購入できないとした方が良いように思います。みなさんはどう思われますか? ご意見があれば、お寄せください。

ということで、最後はいつも通り『あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします』。