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我が尾関厩舎では追い切り後に乳酸値を測定する試みをしています
2012.2.9

先々週は4勝を挙げることができましたが、先週は最高が③着という結果となりました。土曜日には競馬場に行っていたんですが……。やはり、良い時ばかりではないですね。

出走馬が7、11、12レースにいまして、厩務員さんが2人で対応することとなったのですが、こうなると、もの凄く忙しくなり、結構キツいです。しかも、馬房とパドックが遠い東京ですと、一層大変なわけです。

今回は7レースのユウセンが③着に入り、検体(尿検査)の対象となったので、もう大騒ぎでした。そのために競馬場に行っていたこともあるので、自分自身、作業上は良い歯車になれたと思います。

さて、今週は調教について、お話をさせていただきたいと思います。

去年あたりから、我が尾関厩舎では追い切り、あるいは15-15という調教を行った後、乳酸値を測定する試みをしてきました。乳酸値を計測することで、調教によってどれだけの負荷がかかっているのかを把握するのです。

実際、坂路で52秒台、あるいはウッドチップで68秒台というように強い調教を行うと、当然と言いますか、自然の摂理として乳酸値が跳ね上がります。

ただ、15-15程度の調教ですと、個体差が出てくるのですよね。どういうことかと言いますと、15-15では乳酸値がほとんど上がらない馬もいるのです。

昔を知る人たちのなかには、オープン馬にとっての普通キャンターと、普通の馬たちの普通キャンターは違うから、オープン馬たちは毎日15-15くらい乗っても問題ない、と言う人たちがいます。

経験則からそう話されていたのでしょうが、筋肉的な側面では、科学的にも証明されているということだと言えるでしょう。

脚元への負担ということではわかりませんが、心肺機能を鍛えるトレーニングについて言えば、普通キャンターとして15-15を行ったとしても、馬によってはやり過ぎではないことになります。

ウチの先生がどういう目的だったのか、実際には聞いていませんが、15-15で乳酸値が上がるか上がらないかということで言えば、能力測定のひとつの指標にはなり得ると思っています。

モンストールのように15-15を行っても乳酸値が上がらない馬もいますし、またトレーニングを積んでいくとより速いスピードで走っても乳酸値が上がらなくなっていく馬もいるのです。

もうひとつ、乳酸値を調べることで、その速度がその馬の、その状態において、オーバーワークになっているかどうかも把握できるわけです。

実は、これまで我々調教に跨る人間たちの間では、ポリトラックコースはそれほど馬に負担がかからない、もっといえば軽いのではないかと、話題になることがしばしばありました。

田辺(騎手)もポリトラックコースで好タイムが出やすいという話をしていましたが、実際、乳酸値の上がり方もそういう結果が出たのです。

分かりやすくご説明しますと、同じ半マイル(800メートル)でも、ウッドチップの15-15と、ポリトラックの15-15では、掛かる負荷が違うということです。

逆に、坂路とウッドチップとでは、そこまで大きな差は出てきませんでした。そういう側面から言えば、美浦では坂路とチップでは負荷があまり変わらないということですよね。

トレーニングということで言えば、ポリトラックで速いキャンターになってしまっても、筋肉、あるいは心肺機能の側面から言えば、オーバーワークにはならないわけで、負荷がないと感じていた我々の感覚は当たっていたのです。

そのポリトラックについて話をさせていただきますと、全天候型の馬場というセールスポイント通り、他の馬場が凍結してしまうこの時期は大人気です。

僕もポリトラックコースで乗るのですが、その感覚、あるいは一緒に走っている馬の蹄の音を聞くと、開場当初よりも硬いように思えます。

コース選択は、馬、あるいは状況によって違ってくるもので、どれが良いかと言われると正解はひとつではありません。あくまで馬それぞれ、それぞれの状況によって、調教師の元、総合的に判断していくわけです。

僕自身、ポリトラックコースは凍ることなく、雨の日であっても影響を受けないという効果は感じています。ただ、負荷という側面ではウッドチップなどと比べると、そこまでかかっておらず、最近は若干硬くなっているように感じるのです。

もうひとつお話しさせていただくと、読者のみなさんには、ぜひ追い切り時計に注意していただきたいと思っています。田辺も言っていた通り、ポリトラックは走りやすく、負荷が小さいので、どうしても良い時計が出ます。ですから、同じ67秒でも割り引いて考えていただいた方が良いでしょう。

ウッドチップとは明らかに違いますから。ポリトラックで64秒が出ていても、驚くことではありません。気をつけていただければと思います。

毎度のことながら、長くなってしまいまして、どうもすみません。

来週からは、阿部厩舎所属の谷中公一調教助手との対談をお送りさせていただきます。どうぞお楽しみに。

ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞ、よろしくお願いいたします」。