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ギュスターヴクライのレースぶりも評価すべきだろう
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


今年の阪神大賞典を見ていた人の中で、いちばん驚いていなかったのはトリンドル玲奈ちゃんじゃないかと思った。

どういうことか説明すると、トリンドルちゃん阪神大賞典当日の3月18日、フジテレビ系列の競馬中継『みんなのKEIBA』にゲスト出演していて、メインMCの優木まおみさん曰く、トリンドルちゃんが「ちゃんと見た最初のレースが阪神大賞典だった」とのことだった。

最初に見たものに違和感を感じないのは当たり前で、レース後、他の出演者が興奮気味だったのに対して、トリンドルちゃんがいちばん冷静にしているように見えたのだ。

まあでも、そんなトリンドルちゃんも、「途中から机を叩いて応援しちゃいました(笑)」と言っていたけど。初めてレースを見た人であっても、『なんだか大変なことが起こった』のは察しが付いたのだろう。

オルフェーヴルの単勝オッズは1.1倍だったから、トリンドルちゃんに限らず、おそらく多くの人が最後の直線で押し切ることを望んでいたのだろう。しかし、それは許されなかった。同い年のギュスターヴクライが立ちはだかる結果になった。

果たして、今回のオルフェーヴルのレースぶりは、褒められたものなのか、それとも苦言を呈されるものなのか。

もちろん、オルフェーヴルが勝つことを想定して馬券を買った人からすれば、「何やってんだ」と言いたくなるだろう。きちんと力を出し切って負けたのなら納得もいくだろうが、今回のレースぶりは決してそうとは言い切れない類に見えた。

しかし、休み明けの競走馬の中にはテンションが上がりやすくなるタイプがいて、今回はその悪い形が出てしまったと言える。「きちんと仕上げて、きちんと結果を出さないといけない馬」ではあるのかもしれないが、私には今回の敗戦は陣営やジョッキーのミスとも思えない。『競馬ではこういうことも起こる』としか言いようがないように思うのだ。

一方で、「いちばん強いレースをした」と、ある種、賞賛に値するような評価をする向きもあるようだが、それもどうなのだろうか。

確かに、途中でレースをやめてしまうかのような面を見せ、それでいながら再び盛り返して接戦を演じたのだから、明らかに強い。けれど、少なくとも現時点においては、それは褒め称えられるようなものとは違うと思う。レースという性質上、負けたのであれば、やはりそれは褒め称えられるべきではない。

数年後にオルフェーヴルを語る上で、今回の阪神大賞典は欠かせないレースになるのだろう。それだけのことでいい。

不良馬場をものともせずに突き抜けたダービーの時のような、超スローペースをマクるように動いて押し切った有馬記念の時のような、そういう本物の強さを今度は見せてほしいものだ。

優勝したギュスターヴクライは、出入りの激しいレースの中、終始内で折り合い、直線でも内を伸びて優勝した。レース中はオルフェーヴルに釘付けになっていたので、そのレースぶりを見逃していたが、改めてレースを見返すと、実にソツのない競馬をしていた。

オルフェーヴルのロスが大きすぎたので、ギュスターヴクライソツのない競馬は評価されにくいとも思うのだが、長距離戦においてはこれは強力な武器になる。近年は特にその傾向が強いから、忘れずに覚えておくべきだ。

『安心と信頼の天皇賞・春』なんて言われたのは過去の話で、ここ10年の同レースでは、1番人気が勝利したのはディープインパクト(06年)しかいない。スピード全盛の馬作りが主流となってからは、長距離戦の最高峰である天皇賞・春は、上位人気馬でもレース中に折り合いを欠いて敗れる馬が続出していて、「きちんと折り合える精神面」が問われるレースとなっているのだ。

その点において、ギュスターヴクライ光るものを持っている。今回の阪神大賞典では、オルフェーヴルにばかり目が行きがちだが、ギュスターヴクライのレースぶりもきちんと評価すべきだろう。

ちなみに、今回のギュスターヴクライの優勝で、ファビラスラフイン母として初の重賞ウイナーを輩出することになった

ギュスターヴクライファビラスラフインの9番仔で、それまでの兄姉は勝ち鞍をいくつも挙げているものの、重賞までは手が届いていなかった。この感じは、母ダンスパートナー&仔フェデラリストと似ていると思う。中山金杯中山記念と連勝しているフェデラリストダンスパートナーの6番仔で、その兄姉はいくつも勝利をしているが重賞タイトルはなかった。

ダンスパートナーファビラスラフインも、現役時代にはG1勝利を飾り、最優秀3歳牝馬に選出されている。ただ、母としては重賞勝ち馬に恵まれず、年を重ねていた。

現役時代の走りを覚えている馬の子どもがレースに出て、再び脚光を浴びるのはなんだか嬉しいものだ。ダンスパートナーファビラスラフインも、重賞ウイナーが出て良かったね。