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モハメド殿下の日本での“戦略”が実を結んだ勝利
文/編集部(T)、写真/森鷹史


今年のフローラSを制したのは、1番人気に推されたミッドサマーフェア前半1000mが62秒1と、ややスローペースとなったことで、前半は少し行きたがるようなそぶりを見せ、自分などは“大丈夫か?”と思う場面もあった。

しかし、テン乗りの蛯名騎手は馬群の中で折り合いに専念。直線で外に持ち出されると一気に伸びて、②着のアイスフォーリス2馬身半差をつける快勝を飾った。

ミッドサマーフェアのオーナーは、ご存知ドバイのモハメド殿下。殿下自身の名義の馬としては、96年ジャパンCシングスピールが制しているが、日本の馬主資格を取得して以降は今年の3歳世代が3世代目で、これが初めての重賞制覇となった。

殿下の日本での所有馬一覧を見ると、ひとつ気づくことがある。それは簡単に言うと、「日本で活躍した種牡馬に、海外の良質な母系をもつ馬を配合する」という戦略があるのではないか、と推測できること。

調べてみると、4月22日現在でJRAに登録された殿下の所有馬は31頭いるが、そのうち、海外繋養種牡馬の産駒は7頭と、2割強にすぎなかった。

中にはダートで3連勝しているフリートストリート(父ストリートセンス)のように、海外繋養種牡馬の父を持つ活躍馬もいるにはいるが、日本で活躍馬を出している父を持つ馬が非常に多いのだ。

その例として、ミッドサマーフェアの父はタニノギムレット。昨年殿下が来場されたことでも話題になった、ダービーに出走したデボネアはアグネスタキオン産駒。いずれも日本で十分な実績を上げている種牡馬だ。

その一方で、ミッドサマーフェアの祖母であるストームソングは、96年BCジュヴェナイルフィリーズを含め、米G1を2勝した名牝。それにキングマンボ(これも日本で活躍馬を多く出している種牡馬だ)を配合されて生まれた母ストロベリーフェアが、日本に来てミッドサマーフェアを出した。

また、前述のデボネアの母ヴェルヴェットクイーンは仏1勝馬だが、祖母ヴェルヴェットムーンは英重賞勝ち馬。その産駒にドバイワールドCを制し、日本で種牡馬となっているムーンバラッドを出しているほか、近親には欧州で活躍している馬が複数いる。

ふと気づいたのは、これはディープインパクト産駒の傾向とよく似ているのではないか、ということ。以前にも書いたが、ディープインパクト産駒は海外で活躍した馬を母に持つ馬がよく活躍している

意図しているかどうかは分からないが、これが日本で活躍馬をコンスタントに出すための“方程式”なのだろう。だとしたら、それを踏まえた戦略をとっている殿下の所有馬は、今後もかなりの活躍が期待できるのではないだろうか。

話は変わるが、今回のミッドサマーフェアのオッズを見ていた方はお気づきかもしれないが、15時前後の時点では2.9倍だった単勝オッズが、締め切りが近づくにつれて一気に下がり、最終的には2.3倍となった。

自分はWINS錦糸町でこのレースを見ていたが、このオッズを見て、隣にいたおじさんが「オッズがこんなに下がっちゃって、殿下が買ってるから仕方ないよなあ」と言っているのが聞こえてきて、吹き出しそうになってしまった(注:イスラム教徒の方は、賭け事は厳禁です)。

それはともかく、今回のミッドサマーフェア馬体重が10kg増となっていたが、やはり見る人が見ると、悪くない仕上がりだったということなのだろう。ただ、本番のオークスでは絞ってくるはずで、まだまだ上積みもありそうな感じはする。

また、ミッドサマーフェアが見せた今回のレースぶりなら、距離が延びてもさほど問題はなさそう。終い確実に伸びてくる末脚は、今回証明したようにいかにも府中向きで、ジェンティルドンナをはじめとする桜花賞組とどう戦うか。

昨年のダービーはモハメド殿下が来場されて話題となったが、所有馬のデボネアは3番人気⑫着に敗れてしまった。昨年に続いて殿下が来場されることとなれば、今年のオークスは例年以上の盛り上がりとなりそう。

いろいろな意味で、今回のレースを受けてオークスが楽しみになったといえそうだ。