フェノーメノはダービーでの好走権も手にした?
文/編集部(M)、写真/森鷹史
皐月賞で0秒7差の⑥着だった
サトノギャラントは3番人気で、その単勝オッズは6.3倍。対して1番人気の
フェノーメノは2.1倍だったから、単純な計算で言えば、
フェノーメノが皐月賞に出ていれば掲示板内があった、それくらいの強さを持った馬だと考えた人が多かったのだろう。
結果的に
フェノーメノは
青葉賞を快勝し、その実力を見せつけたわけだが、
ダービーでは掲示板内どころか、
もっと上位の争いをするのではないかと感じさせられた。それは
2分25秒7という勝ち時計を見たからでもある。
フェノーメノは序盤は中団の内でジッと構え、3~4コーナーで外に持ち出されると、外から
鋭い脚で伸びてきた。
直線半ばで
エタンダールと馬体が併せられた時は、このまま叩き合いでゴールまで行くのではないかと思わせられたが、これを退けると
フェノーメノはさらに伸び、最後は
2馬身半もの差を付けた。
エタンダールを突き放した最後の脚には、少なからず
凄みを感じた。あの最後の脚があるからこそ、
ダービーでも期待せずにいられないとも言える。
青葉賞が重賞となったのは1994年で、それ以降、
青葉賞から
ダービーに挑んだ馬は
52頭がいて、③着以内には
7頭が入っている。94年の
エアダブリン(②着)、96年の
メイショウジェニエ(③着)、02年の
シンボリクリスエス(②着)、03年の
ゼンノロブロイ(②着)、04年の
ハイアーゲーム(③着)、06年の
アドマイヤメイン(②着)、11年の
ウインバリアシオン(②着)で、このうち
メイショウジェニエ以外の6頭は
青葉賞を制してダービーに臨んだ馬だ。
メイショウジェニエは
皐月賞③着馬だから、つまり、
青葉賞組で
ダービーで好勝負するのは
勝ち馬か
皐月賞で好走していた馬ということ。
フェノーメノはこれに該当することとなった。
さらに言えば、
青葉賞を
好時計で勝利することが重要とも言え、冒頭で記したように、今回、
フェノーメノはこれをクリアした。
重賞になってからの
青葉賞の勝ち時計と、勝ち馬の
ダービーにおける着順を記すと、次の通りになる。
年 |
馬名 |
走破タイム |
ダービー |
94 |
エアダブリン |
2分28秒8 |
②着 |
95 |
サマーサスピション |
2分25秒8 |
不出走 |
96 |
マウンテンストーン |
2分27秒3 |
11着 |
97 |
トキオエクセレント |
2分29秒2 |
8着 |
98 |
タヤスアゲイン |
2分27秒6 |
8着 |
99 |
ペインテドブラック |
2分27秒4 |
7着 |
00 |
カーネギーダイアン |
2分28秒2 |
7着 |
01 |
ルゼル |
2分26秒9 |
14着 |
02 |
シンボリクリスエス |
2分26秒4 |
②着 |
03 |
ゼンノロブロイ |
2分26秒3 |
②着 |
04 |
ハイアーゲーム |
2分24秒1 |
③着 |
05 |
ダンツキッチョウ |
2分26秒9 |
13着 |
06 |
アドマイヤメイン |
2分25秒3 |
②着 |
07 |
ヒラボクロイヤル |
2分26秒3 |
16着 |
08 |
アドマイヤコマンド |
2分26秒9 |
7着 |
09 |
アプレザンレーヴ |
2分26秒2 |
5着 |
10 |
ペルーサ |
2分24秒3 |
6着 |
11 |
ウインバリアシオン |
2分28秒8 |
②着 |
12 |
フェノーメノ |
2分25秒7 |
? |
00年以降は
ダービーで③着以内に入った馬が5頭いるが、そのうち4頭は
青葉賞を
2分24秒1~2分26秒4で走っている。
青葉賞を
2分24~25秒台で勝った馬は4頭いて、その成績は、
不出走(
サマーサスピション)、
③着(
ハイアーゲーム)、
②着(
アドマイヤメイン)、
⑥着(
ペルーサ)。
フェノーメノの勝ち時計は
2分25秒7だったから、
ダービーでの好走も十分可能と言えるだろう。
青葉賞の①~②着には
ダービーへの優先出走権が与えられるが、
2分24~25秒台で制した勝ち馬には
「ダービーでの好走権が与えられる」とも言えそうで、
フェノーメノは
ダービーにおいて
皐月賞組とも伍して戦えるのではないだろうか。
何度も記しているからお気づきのこととは思うが、
青葉賞組からは
ダービーを制した馬がまだ出ていない。
フェノーメノはその点が課題となってくるのだろう。
フェノーメノとはポルトガル語で
「怪物」という意味だそうだが、その名の通りの力技で歴史を作れるだろうか。同父の「黄金の船」(
ゴールドシップ)や「世界のエース」(
ワールドエース)とどんなレースを見せてくれるのか、5月27日が楽しみだ。