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ポリトラックは一長一短という感想を持っています
2012.10.18

最近、何人かの読者の方から「ポリトラック」について質問をいただきました。「ポリトラックでの時計はそのまま判断材料として考えていいのでしょうか?」、「ポリトラックで追い切られて好タイムが出ているのに、結果が良くない馬がいます」といった内容が多いですね。

そこで今回はポリトラックについて話をさせていただこうと思いますが、まずは、そのメリットについて申し上げましょう。それは「天候に左右されない」ということですね。

ポリトラックは、雨が降っても浸透率が高く、コンディションに変化を及ぼさないとされています。実際、現場では、追い切りの日に雨が降ったために、ダート、あるいはウッドチップからポリトラックや芝に変更することが珍しくありません。

ダートや芝、あるいは坂路も含めたウッドチップコースは、雨などによって含水率が大きく変化するため、タイムも変化します。しかし、ポリトラックは、晴れていても雨が降っていても、時計そのものに大きな変化は出てこないのです。そこは、使う側としては、間違いなくメリットというか、ポリトラックコースが持つ魅力だと思います。

他には、脚元への負担軽減などが言われた時期もありましたが、正直なところ、実際に乗っていて、天候に左右されないこと以外は一長一短というのが本音ですね。

以前、乳酸値を計測した時に、同じ15-15でも、ポリトラックでは低い数値を示していました。ポリトラックは乗っていても、走りやすいですし、好タイムが出やすい。負荷ということで言えば、乗った感覚だけでなく、乳酸値からも、他のコースと比べてかかっていないことが言えると思います。

競馬に向かって、大きい負荷をかけることで、心臓を大きくするという言い方を僕たちはするのですが、心臓をより実戦モードにしていきます。そのために、より実戦に近い速度を求める追い切りを行うわけで、そういう意味では、ポリトラックだと、実戦に近い負荷は欠け難いという感覚にはなりますね。

また、運動器系の話をしますと、筋肉を使うことで組織にダメージを与え、再生を促すという面もあるのですが、それについても、ポリトラックだと求め難い側面はあるのではないでしょうか。

「ポリトラックで好タイムを出した馬が人気で消えてしまう」という内容のメールをいただきましたが、そういう面が影響している。そのような可能性も否定できないと思っています。

ポリトラックコースについては、新設された当初と比べて、馬場コンディションが変わってきている印象も受けます。

ポリトラックの素材にはオイルが含まれていて、開場当初は、引き上げてきた馬の脚がオイルまみれという状態でした。それがいまでは、ずいぶんと解消された印象を受けますし、乗っていてより浅くなった感覚も覚えます。ということは、馬にとっては、より走りやすくなっているのでしょう。

それならもっと深くすれば負荷がかかるじゃないかと思われる人もいると思いますが、開場当初は深めにしてアクシデントがあったりしたのですよね。ですから、どちらが良いとは言い切れないでしょう。

ポリトラックは、使う側としては、しっかりと使い分けることができれば、確実に効果を得られます。例えば、雨が降った時以外で言えば、パッと思い付いたことですが、牝馬で負荷を掛けずに競馬に向かいたい時などに効果は大きいはずです。

それと、新馬たちの芝への適性を見極めるという目的も果たせると考えています。この場合の“芝”は、“良馬場の芝”です。

ポリトラックでの動きは、芝の適性を見極める上でひとつの基準と現場では言われています。ポリトラックはグリップ力が良いのですが、それに対して良馬場の芝も、着地時における蹄が動く幅が近い面があるのではないのでしょうか。

今回、ポリトラックで追い切られた馬に関してメールをたくさんいただきましたが、正直なところ、ポリトラックで好タイムを出した馬のすべてが信用できないとは言い切れません。

もちろん、ポリトラックは好タイムが出やすいコースという認識を持っていますし、我々としても「ポリトラックでの時計」という見方をします。極端な言い方をすれば、同じタイプであっても、コースによって持つ意味というか、中身が違うということです。

ブッチャけて言えば、ポリトラックで65が出たとしても、それがウッドチップだったら69あたりという意識なのですよね。

ただ、繰り返しになりますが、マイナス面ばかりではありません。

例えば、僕自身のなかでは、坂路だけで競馬にいく馬たちについて、怖いという感覚を持っています。それは、坂路だけでは競走馬がつくれない、ということではなくて、坂路だから動けてしまう馬が現実的にいるからです。

坂路は周囲に壁があり、それによって“ブリンカーの役目”を果たすからという指摘もあります。また、坂路は半マイルからしか時計が計測されませんからね。

それに対して、フラット(なコース)では、様々な距離を乗ることができます。ゴールして流すところでも、その馬の息遣いを確認することができます。

坂路で52秒を楽々出す馬が、フラットだと70-40で一杯一杯になるケースもあったりするんですよ。時計だけでなく、いろいろな感覚があるものなのです。

上手く説明できなかったかもしれませんが、皆さんには様々なファクターを利用して、予想して、競馬を楽しんでいただければと思います。

来週からは小野次郎“先生”との対談がスタートします。調教師になられてからは初の対談になりますので、そのお話も伺っています。どうぞお楽しみに。

ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします」。