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コレクターアイテムがセオリー通りに快走、今後のG1戦線で注目
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


昨年以降で見ると、牡馬相手の2&3歳限定の芝重賞で上位争いをして、その後にG1で好走した馬と言えば、11年シンザン記念③着のマルセリーナ(桜花賞①着)、11年函館2歳S②着のアイムユアーズ(阪神JF②着、桜花賞③着)。そして、その代表格は今年のシンザン記念①着で牝馬三冠制覇を果たしたジェンティルドンナだろう。

それ以前だと、07年シンザン記念②着のダイワスカーレットがその後に桜花賞秋華賞牝馬二冠を達成し、同年のエリザベス女王杯と翌年(08年)の有馬記念を合わせてG1・4勝を挙げる活躍を見せている。マルセリーナやジェンティルドンナものちにG1を制していることから、クラシック前に牡馬相手にマイル重賞で好勝負した牝馬は高く評価すべき。そんなセオリーが定着しつつあるように思える。

デイリー杯2歳Sで④着と健闘を見せていたコレクターアイテムが、2番人気(6.7倍)のバリローチェ以下を引き離して2.7倍の1番人気に推された。今回のようなほぼ1勝馬同士の2歳重賞ともなると、実績よりも血統背景や新馬戦でのパフォーマンスのほうが人気を集める要因にもなりがちだが、おそらく、コレクターアイテムは前走内容が評価された格好だろう。

そのデイリー杯2歳Sの内容も、開幕週のスローペースで先行&内を通った馬が有利な展開の中、メンバー中最速の上がり33秒2を計時して直線大外一気で0秒2差まで鋭伸するというもの。「負けたけど、いちばん強い競馬」というフレーズがピッタリである。

だが、コレクターアイテムに対して一抹の不安を感じる部分があったのも確か。新馬戦は10頭立ての馬番7番、デイリー杯2歳Sは12頭立ての馬番8番で、いずれも直線で馬群の外を回る形だったのに対し、今回は18頭立ての最内枠。出遅れたりしない限り、前走のように最後方まで下がって外を回すという競馬は選択肢にないはず。左回りも関東遠征も初めてという状況で、経験のない多頭数の内枠から馬群を捌いて抜け出すという競馬が実践できるのかどうか。

結果はというと、直線で内から馬群を縫うように伸びて差し切り。馬群を抜け出しかけたところで外からアユサンが競りかけてくる形となったが、手前を替えてもうひと伸び。最後まで抜かせない根性も見せつつ、1分33秒8のコースレコードで駆け抜け、コレクターアイテム新設重賞初代女王に輝いた。レース前のこちらの不安などまったく意に介さない感じのレースぶりで、杞憂もいいところである。

内を捌く競馬ができて結果も伴ったことは、レースの幅が広がったということで、コレクターアイテムにとっては大収穫の一戦となったのではないだろうか。

なお、マルセリーナはシンザン記念③着でG1・1勝(12年11月4日時点)、シンザン記念②着のダイワスカーレットはG1・4勝、シンザン記念①着のジェンティルドンナはG1・3勝(12年11月4日時点)となっていて、その3頭を見る限り、着順とG1での実績がリンクしているようにも見える。

じゃあ、デイリー杯2歳S④着のコレクターアイテムはG1勝利に手が届かないのかというと、そう言い切れる自信はない。着順なのかレース内容なのか、何をもって“好勝負”とするかは判断が難しいところ。コレクターアイテムはその指針に影響を与えることになりそうなので、今後には目が離せない。まずは阪神JF(12月9日)の走りに注目だ。

一方、今回で「負けたけど、いちばん強い競馬」をしたのは②着のアユサンだろう。出遅れて後方からの競馬となり、直線で大外を回るロスの多い競馬ながらもメンバー中最速の上がり33秒5を計時してコレクターアイテムと半馬身差。③着ウインプリメーラ以下を3馬身ちぎっていたことも、それを証明する結果と思われる。

サンデー系×ストームバード系×ネイティヴダンサー系で、血統構成がよく似ているコレクターアイテムアユサンだが、能力面でも近いレベルにある2頭と言えるかもしれない。

ちなみに、ハーツクライ産駒(コレクターアイテム)とディープインパクト産駒(アユサン)が重賞でワンツーしたのは今回が初めてだったりする。05年有馬記念では、先に抜け出したハーツクライが、外から鋭伸してきたディープインパクトの追撃を半馬身差で凌いで優勝したが、舞台は異なるとはいえ、アルテミスSもなんとなく似たレース内容で、着差は同じ(半馬身差)だった。

記念すべき新設重賞の第1回が記念すべきワンツーとなり、しかも父たちの激闘を彷彿とさせる内容でもあったのだから、アルテミスというのは粋な計らいをする女神である。