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記憶にも記録にも残る勝ちっぷりだった
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也

自分は強い2歳馬のレースを見ると、“これは来年が楽しみだ!”とテンションが上がるのと同時に、“とにかく無事で”“順調に成長してほしい”という感情もわいてきて、胸の奥がキュッとするような、何ともいえない気持ちになる。

いい年した男の“胸キュッ”で誰が得をするのかは知りません(笑)。ただ、そんな方は多いのではないかと勝手に思っているのですが……、どうでしょうか?

それはともかく、今年の東京スポーツ杯2歳Sを制したコディーノのレースを見て、久々にそんな“胸キュッ”を感じた。

近年の東京スポーツ杯2歳Sは、出世レースとしてその地位を確立している。

96年に重賞になって以降(第1回の96年は府中3歳Sとして開催)、昨年のディープブリランテまで、勝ち馬は16頭いるが、そのうち7頭が後に平地G1を制している(ちなみに、第1回の勝ち馬ゴッドスピードは障害G1の中山大障害を制している)。

今年の勝ち馬コディーノも、そんな系譜に続く資格は十分にある、と感じさせる強さだった。だからこそ、“胸キュッ”を感じたのだろう。

コディーノは少し出負け気味のスタートを切ったが、スムーズに好位の内目につけ、折り合いをつけながらレースを運んだ。

直線入口では前がなかなか開かず横山典騎手が進路を探すような動きもみられた。ところが残り300mあたりでスペースを見つけると、そこから一気に伸びて、後方から追撃してきた同じ藤沢和厩舎所属のレッドレイヴンに1馬身4分の3差をつけてゴールした。

「見せムチを使う程度だった」横山典騎手がレース後に話したが、確かにレース映像をよく見ると、見せムチだけで一発もムチが入っていないように見える。それでいてこの反応の鋭さなのだから、力が抜けていたということなのだろう。

勝ちタイムは芝1800mのJRAレコードとなる1分46秒0。このレースにも出走していたミヤジタイガが、今年のアスター賞(中山芝1800m)で記録した1分46秒4を0秒4も更新する驚異のレコードタイムだった。

90年以降、11月の東京芝1800mで開催されたレースのうち、1分46秒を切ったのは12年ノベンバーSサトノギャラント(1分45秒8)、10年ノベンバーSレッドシューター(1分45秒7)の2回のみだった。古馬の準OPに匹敵するタイムを2歳戦で叩きだしたことになる。

このレースでも、ロードシュプリーム前半1000mを58秒4で引っ張ったこともあったとはいえ、雨が降って湿り気味の馬場で、レースの上がりも34秒5でまとめている。この時計は額面通り、むしろ額面以上に受け取っても良いかもしれない。今回のコディーノは、記憶にも記録にも残る勝ち方だったといえるだろう。

ここで勝ち馬の血統に目を向けると、母は03年京都牝馬Sなどを制して活躍したハッピーパス、その姉は93年マイルCSを制したシンコウラブリイ。それ以外にも近親にキングストレイル(05年セントライト記念など)、タイキマーシャル(97年エプソムC)など、“藤沢和厩舎ブランド”の活躍馬が並ぶ。

②着レッドレイヴン藤沢和厩舎所属。今回はコディーノに水をあけられたが、今回は大外枠も響いた感じで、それでも直線で大外から差し込んできている。母はグラスワンダーの全妹で、こちらも順調に成長してくれば楽しみな素材といえるだろう。

藤沢和厩舎牡馬クラシックが[0.2.1.23]。同厩舎にとって初となる牡馬クラシック制覇を、この2頭のどちらかがもたらすことになるだろうか。

今回の上位2頭が年内にもう一度使うのか、年内は休養にあてるのかはまだ分からないが、どちらにしても来年が非常に楽しみになったことは間違いないだろう。

欲を言えば、今年中にあと何頭か“胸キュッ”を感じる馬が現れて、来年のクラシック戦線をハイレベルで盛り上げてほしいと思う。