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オーシャンブルーは青写真が描ける立ち位置まで辿り着いた
文/編集部(W)、写真/森鷹史


5月に行われていた頃の金鯱賞は、サイレンススズカタップダンスシチーエイシンデピュティ金鯱賞宝塚記念と連勝を飾っていたりして、金鯱賞を制した馬は宝塚記念で好走が目立っていたから、個人的には「宝塚記念好走馬選抜レース」という視点で見ていた。

思い出の金鯱賞と言えば、サイレンススズカが逃げ切りで大差勝ちを収めた98年も印象深いが、タップダンスシチーが3連覇を達成した05年、ではなく、その1年前の04年。ザッツザプレンティアドマイヤグルーヴスティルインラブといったG1馬を退けてレコード勝ちしたレース内容も素晴らしかったが、この年はタップダンスシチーを管理していた佐々木調教師に取材するため、金鯱賞当日に中京競馬場を訪れていた。

8年以上も前のことなので詳細な経緯ははっきりと憶えていないのだが、確か取材の約束の時間まで余裕があったので、競馬場内の食堂でカレーうどんを食べていたら、そこにたまたま佐々木調教師がいらっしゃって。「お話を伺ってもよろしいですか?」と尋ねると、「うどん食べてからでええよ」とおっしゃって。

そう言われても、先生を待たせてのんびり食べているわけにもいかないので、急いで食べようとするのだが、カレーうどんが熱くてなかなか早く食べられないという。取材前にカレーうどんを食べるのはもうやめようと思いました(笑)。

余談はさておき、12月に移行し、新コースで行われる金鯱賞はどうなるのかと思ったら、G1馬はアーネストリーだけで、大半が3~4歳というメンバー構成。しかも、アドマイヤラクティオーシャンブルーエアソミュールダイワマッジョーレサトノギャラントは準OP勝ちしたのが近2走以内でもある。

この時期、芝・中長距離路線のトップホースはG1戦線で戦っていて、金鯱賞と同日のステイヤーズSも条件馬が混じり、別定G2とは思えないようなメンバー構成となっていたが、実績馬が手薄になるのは番組上やむを得ないのだろう。

それはそれとして、この金鯱賞は出走馬を見る限り、「有馬記念好走馬選抜レース」というよりも「来年の飛躍馬選定レース」という印象を受けたが、勝ったのはオーシャンブルー、②着はダイワマッジョーレ、③着はアドマイヤラクティで、くしくも、上記した5頭のうちの3頭が馬券圏内を占めることとなった。

ダノンバラードがハナを切るという意外な展開となったが、前半1000mは61秒6というゆったりとしたペースで進む。5~9F目のラップは11秒台で、最後の1Fが12秒0と、後半は平均して速いラップが並び、その中、直線で内を突いたオーシャンブルーダイワマッジョーレがワンツーし、直線で外を回ったアドマイヤラクティが③着に入り、結果的には直線の進路選択が明暗を分けた感じだった。

オーシャンブルーオルフェーヴルと同じ現4歳世代で、池江厩舎所属のステイゴールド産駒という点でも両者は共通している。オーシャンブルーオルフェーヴルが牡馬三冠を達成した時は休養中で、オルフェーヴル凱旋門賞で②着となった同日(10月7日)に大原S(準OP)を制してOP入りを果たした。

G1・5勝、凱旋門賞②着と輝かしい戦績を残す僚馬と比較するのはさすがに酷だが、オーシャンブルーは力をつけながら着実にステップアップしているように見えた。未勝利、500万、1000万と3連勝していたように、素質の高さは早くから示していたが、金鯱賞の馬体重は436kgで牡馬にしてはかなり小柄であり、これはデビュー戦と同じでもある。

休養を挟み、適度に出走間隔を空けながら使われているのは精神面でのフレッシュさを保つことに加え、馬体の維持と成長を考慮しつつ、という側面もあったのかもしれないが、父ステイゴールドもデビュー戦の馬体重は432kgで、引退レースとなった香港ヴァーズ430kgと、キャリアを通じて馬体重の大きな変動はなかった馬だから、オーシャンブルーも「そういうタイプ」と見れなくもない。

いずれにしても、オーシャンブルーのここまでの戦績は適性を探りつつという感じではなく、「馬の個性を見極めた上での選択の積み重ね」ということが字面を通じて読み取れる気がした。ルメール騎手の手腕にも後押しされて、重賞初制覇を果たしたオーシャンブルー。ようやく素質と成績の足並みが揃ってきた感じだ。

オーシャンブルー香港ヴァーズに予備登録を行っていながら、今年は選出されなかった模様だが、香港ヴァーズ父子制覇という青写真が描ける立ち位置まで辿り着いたのは確かだろう。キャリア50戦目で香港ヴァーズを制した父を思えば、オーシャンブルーは今回でキャリア13戦目だから、来年でも決して遅くはないはず。

この後、オーシャンブルー有馬記念参戦という可能性もあるだろうし、12月に移行した金鯱賞「有馬記念好走馬選抜レース」なのか、「来年の飛躍馬選定レース」なのか、考察する機会が与えられるかもしれない。ただ、オーシャンブルーの今後については長期的な展望が必要となりそうなので、前記した金鯱賞の位置付けは結論を急がず、大海原のような広い心で見守っていただければ幸いです(笑)。