少頭数の重賞は、紛れのある結果になりがち
文/編集部(T)、写真/森鷹史
出走馬が決まったとき、
「今回のラジオNIKKEI杯2歳Sで上位人気に推されそうなエピファネイア、キズナ、ラウンドワールドは、関係者の中でかなり評価が高いんだなあ」と感じた。
そう思った理由は、もちろん
7頭立てという少頭数。調べてみると、重賞で7頭立てとなったのは
テイエムオペラオー、
ナリタトップロードの2強が絶対視されていた
01年京都大賞典以来となる。
それ以外でも、90年以降で
7頭立て以下となった重賞は12レースあるが、それらのレースにほぼ共通するのは、
“上位人気馬がかなり強い”と考えられていた、と想像できること。
そして、ここからが肝心なのだが、それらのレースでは必ずしも上位人気馬でガチガチだった、というわけではなく、
紛れのある結果となっているレースも多い。
たとえば、前述の
01年京都大賞典では、単勝1.4倍の1番人気に推された
テイエムオペラオーを、3番人気ながら単勝10.8倍の
ステイゴールドが差し切って1位入線したが、直線で斜行して2番人気の
ナリタトップロードを落馬させたため失格。
テイエムオペラオーが繰り上がりで①着、②着に4番人気の
スエヒロコマンダーが入っている。
当時は3連系の馬券がなかったが、今は7頭立てのレースでも3連複、3連単があるので、少頭数でも考える要素が多く、馬券を楽しむことができる。
実際、今回も紛れのある結果となった。
スタートからウィリアムズ騎手騎乗で、5番人気(単勝22.0倍)の
バッドボーイがハナに立つ展開。単勝2.9倍で2番人気の
キズナは2番手、単勝1.9倍の1番人気
エピファネイアは3番手の外目につけた。
7頭立てとあってか、前半1000m通過は
66秒0の超スローペース。それだけに、直線に入っても
バッドボーイの脚色は衰えない。道中では馬群の外で折り合いに専念し、直線でも外からねじ伏せるように差し切った
エピファネイアに対し、
バッドボーイは半馬身差②着に粘り込んだ。
重賞が少頭数になるということは、
“上位人気馬が強く、ここに出しても収得賞金加算は難しい”と思われたことが理由として考えられる。特に、賞金を加算してクラシックへの出走権を確保したい2~3歳重賞では、なおさらだろう。
そして、少頭数のレースはスローになりがちで、そのため人気馬が実力通りの競馬をすることが難しくなり、しばしば人気薄の台頭を許すという、皮肉な傾向を示している。
また、馬券を買う側からの目線で見ると、少頭数になるとスローになりがちというのは分かっていても、ファン心理としては
「そうは言っても上位人気馬は強いだろう」と考えて、ますます上位人気馬に人気が集中する、という図式だ。改めて、少頭数のレースは逃げ馬に注意しなければ…と肝に銘じました(笑)。
それにしても、これほどのスローペースを3番手から差し切った
エピファネイアの強さが際立つレースでもあった。レース後の
福永騎手のコメントで、
「3番手で前に馬がいない状態で折り合えるかがテーマだった」と伝えられているが、それも難なくクリアした。
③着に敗れた
キズナにしても、このスローペースにもかかわらず折り合いはついていた。多頭数になってペースが上がれば巻き返しは必至だろう。今回上位を占めた馬については、
今後多頭数になってどのようなレースをするかという点に注意しておきたい。
また、
エピファネイアの母は、日本とアメリカの“
オークス”を制した
シーザリオ。これまでの兄姉は体質の問題などもあって大成できなかったが、半兄
トゥエルフスナイトは1戦1勝で引退しており、半姉
ヴァイオラは不出走引退ということで、
これまでの産駒の成績は[4.0.0.0]と負けたことがない。
珍記録の部類に入るとは思うが、この連勝記録が
エピファネイアによって、どこまで伸ばされるだろうか?