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丸田騎手は他人の話を素直に聞くことができるんです
2012.12.20

先週、コスモシャンハイが中京で500万円下を勝利し、我が尾関厩舎の今年34勝目を挙げることができました。

500万円下というのは、3場開催となると本場に鞍数が少なくなってしまい、3場へとなるケースがとても多いんですよね。今回も、ダート1800mを使うなら中京、となった部分もあるのです。

コスモシャンハイについては、個人的に、松岡(騎手)に「走ると思う」と進言しましたし、ここまで松岡が手綱を取ってきていたこともあるので、正直なところ、松岡で勝ちたいという思いはあります。もちろん、これは、今回騎乗していただいた(柴田)大知騎手云々ということではなく。

でも、勝てて良かったです。大知騎手も上手に乗ってくれたと思いますし、本当に良かったです。

さて、今週は丸田騎手との対談が最終回を迎えます。それではどうぞ。

西塚信人調教助手(以下、西)丸田は(田中)勝春さんと同じく、北海道の出身だよね?

丸田恭介騎手(以下、丸)そうです。

[西]丸田はどこ?

[丸]旭川です。

[西]ラーメンが美味しいよね。

[丸]我が家に余裕がなかったので、外食とかに行くことがなかったんですよね。僕たちは競馬学校にお金を支払っている世代なんですが、厩舎実習の時に実家に帰ったら、お祖父さんやお祖母さんが楽しみにしていた家庭菜園の一部が隣の看板屋さんの駐車場になっていました。「ああ、俺が競馬学校へ行くことができるのは、このお陰なんだ」と感じたことを覚えています。

[西]そんなことがあったんだ。頑張ろうという気になるよね。

[丸]極端な言い方をすれば、活躍できなくてもそれはそれだと思うんです。でも、絶対に、自分自身ができることだけは全部やるという気持ちだけは変わっていません。もうここまで頑張ってもダメだったんだと思って引退するのは仕方がないと思うのですが、まだ何かやれたことがあったんじゃないかと思って辞めることだけは絶対に嫌なんです。いつもそう思って、毎日やっています。

[西]丸田、大人だね。

[丸]叔母が頑張り屋で、いつもいつも「甘ったれるな。よく考えろ」と厳しかったんですよ。祖父母と母はとてもやさしかったのですが、叔母だけは別でした。でも、本人も仕事でもの凄い実績を残していましたし、感謝しています。


[西]丸田は人に恵まれているんだなあ。丸田と聞くと、思い出すことがあるよ。中京で、ジョッキールームでひとりで泣いていたんですよ。ボロボロ、ボロボロ涙を零しながらね。

[丸]あっ、泣いていました。(騎乗馬が)故障してしまって…。

[西]当時は田辺(騎手)も3場で乗っていて、競馬場では田辺と一緒にいることが多かったんだよね。それで、田辺も早いレースで終了していたから「一緒に帰ろう」となったんだけど、見たら丸田がひとりでボロボロ泣いてた。覚えている?

[丸]よく覚えています。いまでもタテガミを持っていますし、馬名も覚えています。

[西]あっ、そうなんだ。

[丸]いまはお陰様で、数多く乗せていただけているので、行けないこともあるんですが、二度とこういう事故が起きないようにと、息を引き取った馬に手を合わせて、タテガミをいただいてくるんです。

[西]そうだったんだ。

[丸]あの時、僕は絶好調だと思って乗っていたんですよね。

[西]でも、それほど人気ではなかったよね?

[丸]着順は悪かったのですが、追い切りの動きがもの凄く良かったですし、良い印象を受けたんですよね。

[西]なるほど。

[丸]僕のなかで、競馬に乗るにあたって、その馬の良いところをなるべく見つけて、結果につなげようという思いがあるんです。だから、それまでの成績とかはそんなに気にしなかったりするんですよね。あの時も、追い切りの動きも良かったですし、良い部分を感じさせられていたんです。しかも、歩様も悪くありませんでした。だから、強気に攻めたことでそうなってしまったのかもしれない、という思いが残りました。

[西]ひとりで泣いていたんだよ。

[丸]いまでも悲しい気持ちになりますよ。

[西]そこで田辺が「いつまでも泣いてんじゃねえよ」と声を掛けてね。いかにも言いそうでしょう?(笑)

[丸]想像できます(笑)。

[西]あの時、丸田は純粋なんだなぁと思ったんだ。田辺さんの場合は、そういう部分を見せないというか、割り切れているというか、丸田とは違った姿を見せるんだよね。


[丸]それが強味であるとも思うんですよね。気持ちの整理を付けることができるのはとても大切なことだと思います。

[西]なるほど、そういうことがあったんだなあ。そう言えば、いまふと思ったんだけど、最近は丸田に限ったことではなく、馬の故障が以前と比べて減ってきているように思えない?

[丸]レース中に転倒してしまうというようなケースは減ったかもしれません。ただ、競馬場や時期によっては、ありますよね。乗っていても、馬場が固い時などは胸が痛みます。

[西]そういう時はあるよね。

[丸]馬場造園課の方々も懸命に対応してくれていますし、ダートは砂や条件が変わっていないのに、固くなってしまうんですよね。

[西]ダートでもあるんだ。

[丸]ありますよ。使われることで路盤が固くなっていくんでしょうね。ローカル開催は固くなっていくのがよく分かります。滞在して、調教でも使用するため、最初は時計がかかるんですよ。でも、徐々に砂が消耗してしまうからでしょう、徐々に時計も速くなっていってしまうんです。

[西]砂圧調整をしているよね?

[丸]していますが、砂が消耗してしまい、細かくなっていきますので、雨が降れば流れやすくなりますし、クッション性が失われていくんです。

[西]なるほどね。

[丸]馬場保全委員を仰せつかりまして、いろいろな話を聞くようになったお陰で、理解することができるようになりました。

[西]なるほど。そういう役目を担って、何か感じたことはある?

[丸]馬場保全委員やファンサービス委員などに参加させていただくようになって、それぞれの職員の方々の努力があることを知りました。勝ちたい、勝つためにという意識で競馬だけに集中してきましたが、こういうバックアップがあるから競馬ができているのだと認識させられています。

[西]そういう状況下で、売り上げは下げ止まっていないんだよね。

[丸]そうですね。売り上げが下げ止まらず、賞金さえ減額されている状況には、不安を感じます。ファンの方々に、より良い競馬、サービスを提供することで、もっともっとやれると思うんですけど。

[西]いまだからこそ、縮小ではなく、売り上げ回復を目指すべきなんじゃないかと思うんですよ。

[丸]縮小に向かえば、行く末が見えてしまうわけですからね。購買意欲をかきたてる何かが大切だとは思います。

[西]いやぁ、ありがとう。本当に貴重な話をたくさん聞かせてもらいました。

[丸]いえ、こちらこそありがとうございました。こういう話で大丈夫なんですか?

[西]もちろん大丈夫です。読者の方々からの反応が届いたら、また見せますよ。本当にありがとうございました。

[丸]こちらこそありがとうございました。


いかがでしたでしょうか。

丸田騎手は自分のなかでいろいろ考えて、理論を持っているんですよね。普段、検量室や馬の上などで話をする内容がそのまま対談となり、個人的には良かったと思っています。

丸田騎手は、こちらの話をよく聞くことも特徴だと感じています。他人の話を素直に聞くことができるんですよね。だからこそ、ここまで伸びてくることができているんじゃないかと思うんです。

素直に他人の話を聞くことができる。それでいながら自分自身もしっかりと持っている。自分自身に対して貪欲ということなのでしょうが、なかなかできるものないと思います。

成功していくと、自分自身の経験による考え方に固執する傾向が出やすいものですが、丸田騎手にはこのまま頑張っていってもらいたいと思いますし、今後も頑張ってくれるでしょう。

今年も最終週ということで、1年は本当に早いですね。今年の総括は、来週にしたいと思います。

ということで、最後はいつも通り「あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。どうぞよろしくお願いいたします」。