東京新聞杯は、今後もG1への登竜門であり続けるはず
文/編集部(T)、写真/米山邦雄
1~2月といえば、3歳戦線では
きさらぎ賞、
共同通信杯、牝馬限定戦では
クイーンCなど、クラシック戦線を今後賑わすであろう馬の
登竜門的なレースが多く開催される時期。
それは古馬も同じで、
東京新聞杯はその後にG1戦線で活躍していった馬が好走してきている。
実際、過去10年の
東京新聞杯で馬券圏内に入った馬のうち、
後にG1を勝った馬は5頭もいる(05年
ハットトリック、06年
オレハマッテルゼ、07年
スズカフェニックス、08年
ローレルゲレイロ、10年
エーシンフォワード)。それ以外にも、G1で入着もしくは重賞を勝った馬も多い。
登竜門的なレースとなる理由として、
別定重量の規程が考えられる。
東京新聞杯はいわゆる
“賞金別定”といわれるレースで、
基本的に斤量は56kg(牝馬は2kg減)で、JRAによると
『収得賞金3000万円超過馬は、超過額2000万円ごとに1kg増える』ことになっている。収得賞金が5000~6999万円だと57kg、7000~8999万円だと58kg……という感じだ。
要するに、
それまでの実績(重賞連対、OP特別勝ちなど)がすべて積み重なって負担重量になるルールなので、それまでの
実績馬が活躍しづらい設定になっているわけだ(このあたりは、競馬ゲームをプレイされる方が詳しいかもしれませんね)。
金曜の通称
“穴ぐさ会議”でも、この点が話題になった。今回のメンバーで斤量が57kg以上となったのは59kgの
スマイルジャック、58kgの
ガルボ、57kgの
リーチザクラウンの3頭だった。
この3頭はいずれも東京芝重賞で好走実績がある(特に
スマイルジャック、
ガルボはこのレースを勝っている)が、
この斤量でどうかということが気になったわけだ(この3頭は穴ぐさにはなりませんでした)。
そしてレースの結果、①着
クラレント、②着
ダイワマッジョーレ、③着
トライアンフマーチをはじめ、
56kgの馬が上位⑤着までを占め、
スマイルジャックは⑦着、
ガルボは⑧着、
リーチザクラウンは⑯着に敗れた。
レース前の時点で、
クラレントの収得賞金額は4200万円、
ダイワマッジョーレは3600万円、
トライアンフマーチは4625万円。いずれも
わずかの差で1kg増を免れていたゾーンだ。
勝った
クラレントはこれまで
デイリー杯2歳S、
富士Sと重賞を2勝、昨年の
NHKマイルCでも③着に入っており、
マイルの広いコースを得意としてきていた。それだけに、阪神内回り芝1400mの
阪神C⑤着→このコースというのは、
条件的にはかなり好転していたということなのだろう。
考えてみると、これまで重賞2勝、G1で③着もある馬が56kgで出られたというのは、かなり
“美味しい”存在だったと言うこともできそう。来年以降もこの別定条件が続くとしたら、そういった馬を探すのも馬券のアプローチとして有力になるかもしれない。
一方で、1番人気に推された
ドナウブルーは⑩着、3番人気
マウントシャスタは⑨着、6番人気
リアルインパクトは⑪着と、3頭出走していたディープインパクト産駒はすべて着外に敗れた。
ディープインパクト産駒は東京芝1600m以下の準OP以上で、3歳以下だと[3.4.1.6]、4歳以上だと[0.2.2.13]。
ヴィクトリアマイル、
安田記念に向けて、今回人気で敗れたこの3頭にとって気になるポイントだろう。
ちなみに、先述したような賞金別定重賞は、3歳戦、ローカルや牝馬限定戦などではそれなりに多いが、中央4場の古馬、牡牝混合重賞としては珍しい存在になっている(今年、このレース以外では
エプソムC、
京阪杯)。
エプソムC、
京阪杯はG1シーズンに開催されるので微妙な立場だが、
東京新聞杯はこの時期に開催される限り、今後もG1への
登竜門としての位置づけを保っていけるだろう。それだけに、今回上位を占めた馬の今後に注目していきたいところだ。