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3場開催の時に、人はどのようにして移動しているのか?
2013.2.21

今回は、何人かのユーザーの方からいただいた、「3場開催などで、騎手や厩舎スタッフなどが移動する時、どのようにしているのかを知りたい」という指令を遂行したいと思います。

まず騎手の方々ですが、3場なら新幹線や飛行機、美浦から中山、東京なら車が主になります。以前は東京、中山ならタクシーで移動する場合もあったようです。

厩舎スタッフの移動は、実体験で話ができます(笑)。まず、馬が輸送させる馬運車ですが、JRAで使用されているものは会社に関わらず積み込めるのは最大4頭というタイプで、運転席と馬たちのスペースの間に、人間が乗り込むスペースが存在します。

担当者たちは、そこに乗り込み一緒に競馬に向かうんですが、もの凄く狭いんです。

美浦所属馬ならば東京、中山、関西所属馬ならば阪神、京都への移動だと、4頭それぞれに1名で計4名乗り込むこともあったりします。時間的には、美浦から東京、中山ならば2、3時間というところですね。

ただ、それ以上の距離ですと、かなり窮屈になってしまいますので、基本的には2名ないし3名というケースがほとんどです。

長距離だと、北海道のように滞在することになりますので、2頭を1人の担当者が連れていくことになります。4頭で2人、あるいは3頭で2人という状況になることが多いんです。

僕自身が一番の長距離を経験したのは、西塚厩舎時代に札幌まで行ったときです。

夕方に美浦を出発、そこから青森まで走りまして、明け方にフェリーに乗り込み、北海道に渡り、午後から夕方にかけて札幌に到着しました。所要時間は、道路状況にもよりますが、おおよそ20時間くらいです。

途中で何度か休憩時間が設けられていて、それぞれのルートによって決まっています。札幌のときは、最初に磐越道から東北道に入ったサービスエリアで休憩だったはずです。何台か連なっていくときには、サービスエリアに馬運車が並ぶという光景がみられます。

京都や阪神ですと、朝4時に出発します。都内を通過して、浜名湖付近で休憩、朝食という感じですね。

京都、阪神はそれほど差がありませんし、行きに関しては時間的にも渋滞に巻き込まれません。8時間程度、夕方前に到着します。

札幌の場合ですと、夕方ですので食事を済ませ、各自がそれぞれ用を足します。最近では、馬運車が禁煙となりましたので、喫煙も済ませることになります。

では、馬運車のなかで何をしているか、気になる方もいらっしゃるでしょう。


漫画や週刊誌は置いてあります。あとは各自音楽を聞いたり、寝たり。最近では携帯でインターネットをしたりなど、各自がそれぞれ好きなことをして過ごしています。

それ以外に、電車や飛行機で移動するケースもあります。以前もお話をさせていただきましたが、小倉に寝台列車で向かったこともありました。

担当者が怪我をしてしまい、追い切りを行うために最終の新幹線で行けるところまで向かい、そこから寝台列車に乗り換えて小倉に朝6時に到着し、追い切りを行ったんですよ。

それと、調教助手ですと、福島、新潟、京都、阪神、それと中京に始発の新幹線で向かうケースもあります。美浦から行く場合、電車で向かうと始発に乗ることができませんので、車で東京駅まで向かうんです。

前日から泊まりで行ければ良いのですが、3時からひと鞍乗ってから行けるので、人員の有効活用という側面もあるんですよ。

ブッチャけさせていただいますと、阪神、京都に行くときも、4時から2頭攻め馬をして行ったりもするんです。キツイのはキツイですよ。

でも、新幹線で移動できるのは楽です。仮眠も取れますからね。それが東京、中山ですと、車になりますので、いつ事故が起きても不思議ではないと我々の間では言われています。

特に、8レースぐらいに終わって帰るときの眠さと言ったら、それはそれはヤバイです。

最終レースであれば休憩時間がどこかにあるんですが、8レースあたりですと、攻め馬をして競馬場に着いて、すぐに装鞍をして競馬ですので、休む時間がないんですよ。

少し話は逸れますが、滞在となると馬具類などをかなり持っていかなければなりませんし、さらには日常品が加わっていきますので、まさに引っ越し状態になります。

いまはそれでも滞在そのものが減りましたのでそれほどでもありませんが、昔を知る人に聞くとキャラバン状態になっていたといいます。

当時は函館よりも札幌が先に開催されていましたので、ダービーを札幌で観たり、札幌から函館、そして秋の福島に滞在して、美浦に少しだけ居て、すぐに中京に滞在されていた人もいるんですよ。

以前、対談に出ていただいた斉藤隆介調教助手が「マグロ船の乗組員さんみたい」という話が出ていましたが、同じような感じで、何ヶ月も出張が続きっぱなしだったようです。

こんな感じで、人間も疲れる輸送ですが、馬も疲れると思いますよ。

今開催中の小倉は、美浦からは距離的に遠いですよね。これは僕の感覚ではありますが、冬限定という前提で小倉に輸送して好走する馬がいます。

でも、そこで権利を取っても、次が利かないんですよ。いわゆる一走入魂的な感覚があります。

余談になりますが、同じくらいの時間がかかる札幌や函館になると、小倉と違って一走入魂が利かないんです。

理由については明確ではなありませんが、都市伝説的には「フェリーじゃないか」といわれています。

小倉と北海道では、輸送時間で言えばほぼ同じのはずですし、距離で言えば函館の方が近いはずです。なのに、なぜか一走入魂が利かないんです。じゃあ、両者の違いというと、フェリーしかないからなんですね。

ところで、最近は西高東低といわれていますが、特に関東馬が劣勢とされるのが小倉です。

圧倒的な距離の差をはじめ、栗東で調整できる関西馬に対して滞在でしか調整できない関東馬など、いくつもの理由が挙げられています。

苦戦の理由はいろいろだと思いますが、人員のことで言えば、2ヶ月連続で、しかも札幌と函館で入れ替えができる北海道に対して、冬の小倉は1ヶ月、そして何より入れ替えが利かず、1厩舎に対して2馬房が基本となります。

そうなると、担当者のみで遠征することになるんですが、現状で2頭に対して調教助手も同行するのは現実的に厳しいです。持ち乗りが担当ならば問題ありませんが、同行するのが厩務員さんならば騎手の方を頼むことになります。

そのことが関東馬の劣勢に影響しているかどうかはわかりません。ですが、苦戦の理由に人員システムが影響している面もあるかもしれません。

輸送を制するものが競馬を制すとまで言われるように、いま競馬は輸送とは切っても切れない関係となっています。高速道路、そして馬運車の近代化など、輸送を取り巻く環境も良くなっています。

首都高速の山手トンネルができために、状況によっては距離的に遠い東京の方が中山よりも時間がかからないこともあるんですよ。

それによって出発時間が変更になるなど、良い効果も出ています。我々調教助手も調教に乗ってから競馬に向かうことが増えているように、移動が当たり前になってきています。

馬が動くということは、我々携わる人間も移動しているということなんですね。

ということで、最後はいつも通り、あなたのワンクリックがこのコーナーの存続を決めるのです。質問、疑問などもどしどしお送り下さい。どうぞ、よろしくお願いいたします。