ポイントは“速い上がり”と中山実績だった
文/編集部(T)、写真/川井博
レース中盤、
シルポートが大逃げを打っていく展開に、
「今年もか」と思いながらレースを見ていた。
そして、レース後の感想も、
「今年もか」だった。
レース中の
「今年もか」は、もちろん
シルポートの
大逃げ。昨年はゴール寸前で
フェデラリストが交わした(
シルポートは②着)が、今年も
“大逃げを打ったシルポートを交わせるか”が、レースのポイントとなった。
もうひとつの
「今年もか」は、
ナカヤマナイトが勝利したこと。すなわち、今年も
中山を得意とする馬が勝利したことだった。
出走馬の中で、中山芝で勝ち鞍があったのは9頭。そのうち連対率が50%を超えていた馬は6頭(
カリバーン、スマイルジャック、ダイワファルコン、ダノンバラード、タッチミーノット、ナカヤマナイト)いた。
今回、結果的に③着に粘り込んだ
シルポートを交わして連対した2頭(①着
ナカヤマナイト、②着
ダイワファルコン)の名前も、もちろんこの中に入っている。
では、なぜこの2頭が
シルポートを交わせたのか。その理由を探る上でのひとつの指標として、この6頭の
中山芝における最速上がりタイムを見ると、以下のようになる。
カリバーン(34秒4)
スマイルジャック(33秒6)ダイワファルコン(33秒6)ダノンバラード(36秒0)
タッチミーノット(34秒4)
ナカヤマナイト(33秒9)一目瞭然で、
33秒台の上がりを使っているのは3頭。さらに今回のレースにおける3頭の位置取りを見ると、
ナカヤマナイトは4角3番手、
ダイワファルコンは4角2番手にいたが、
スマイルジャックは4角5番手にいた。
もうひとつのポイントとして、今回は
開幕週だったことが挙げられる。仮に末脚が互角だとしたら、より前にいた馬にチャンスが大きくなる条件だったということなのだろう。
また、前述した
“中山を得意とする馬が勝った”というのは、単なるイメージだけではない。過去10年の
中山記念の勝ち馬について、
レース前の時点での中山成績を見ると以下のようになる(カッコ内は連対率)。
12年フェデラリスト[3.0.0.0](100.0%)
11年ヴィクトワールピサ[3.0.0.0](100.0%)
10年トーセンクラウン[3.4.1.4](58.3%)
09年カンパニー[2.1.0.1](75.0%)
08年カンパニー[1.1.0.1](66.7%)
07年ローエングリン[3.1.1.2](57.1%)
06年バランスオブゲーム[2.2.0.2](66.7%)
05年バランスオブゲーム[1.2.0.2](60.0%)
04年サクラプレジデント[0.3.0.0](100.0%)
03年ローエングリン[2.1.0.1](75.0%)
過去10年の勝ち馬は、
いずれも50%より高い連対率で、04年
サクラプレジデントを除くといずれも
中山芝で勝ち鞍があった。
ナカヤマナイトはレース前の時点で中山芝が
[3.2.0.1](83.3%)、
ダイワファルコンも
[5.3.1.5](57.1%)で、もちろんこの条件を満たしていた。
これだけ長い間続いているのだから、
来年以降もこの傾向が続いてもなんら不思議はない。
最近は中山を得意とする馬が中山重賞に集まる傾向があるので、どこまで妙味があるか分からないが、来年まで覚えておいて損はないのではないだろうか。
と、ここまで書いてきたが、
ナカヤマナイトはこれまでの戦績を見る限り、別に中山専用というわけではない。もちろん
中山を得意としていることは戦績が示す通りだが、
東京でも[2.1.0.3]で、着外に敗れたレースでも皐月賞⑤着、ダービー④着など、G1でも好戦している。
昨年の
有馬記念では⑦着に敗れたが、
ナカヤマナイトはまだ5歳。まだまだ巻き返しは可能だろう。特に
、過去に[5.2.1.0]と馬券圏外のない芝1600~1800mに出てきたら、それがどこのG1であっても(海外でも!?)
全力で買いに行きたいと思っている(笑)。