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毎日杯優勝馬キズナに似合う舞台といえば東京競馬場
文/浅田知広、写真/森鷹史


皐月賞まで中2週。そこへ向けた最後のステップレースとして位置づけられ……ているはずの毎日杯である。しかし過去を振り返ると、このレースからの最後の皐月賞好走馬は、99年①着のテイエムオペラオーになってしまう。

近年の流れとしては本番まで中2週は短すぎ、有力どころはもっと余裕を持って出走権を獲ったり、賞金を加算しているという面も確かにある。ただ、桜花賞へ向けたフラワーCからはそこそこ好走馬が出ており、前週に同場でアネモネSという指定オープンがあるのも、阪神の若葉S毎日杯と同じ。しかし、理由は定かではないものの「皐月賞へ向けて」などという性格はほとんど持っていない毎日杯だ。

では「毎日杯といえば?」と考えて、頭に浮かぶのは東京競馬場だ。少々古い話で恐縮だが、今ならNHKマイルCに相当するニュージーランドT4歳Sを88年に勝ったオグリキャップNHKマイルCの創設年に優勝したタイキフォーチュン。さらにはクロフネキングカメハメハディープスカイダノンシャンティ。中にはダービーまでぶち抜いた毎日杯優勝馬も見られるが、このレースが現在の内回りにあたる2000mで行われていた時代から、皐月賞後の東京開催に繋がっていくレースである。

そんな視点から、広いコースで不利なく走れば……、とピュアソルジャー(10番人気⑨着)から買っていた、当方の馬券はさておき。前走、小回り中山の弥生賞で惜しい競馬になってしまったキズナが、単勝1.5倍の支持に応えてしっかりとその力を見せてくれた今年の毎日杯だった。

直線半ば、好位からガイヤースヴェルトが抜け出し、後続との差は2馬身、3馬身。他の先行勢はもちろん中団からも脚を伸ばす馬は見当たらず、もし初芝でいきなりの重賞制覇、しかも圧勝となれば、一気に打倒ロゴタイプの筆頭格にでも躍り出ようか、という場面だった。

しかし、中団よりもさらに後ろから、猛然と襲いかかったのがキズナだった。いや、襲いかかるというと、馬体を併せてきっちりと差し切り勝ちといったイメージ。1頭だけ違う競馬をして馬場の中央を堂々と駆け抜けていった、という方が正しいだろうか。

②着ガイヤースヴェルトが、③着バッドボーイにつけた着差は3馬身半。同じ競馬をした組の中では文句ナシの完勝だった。そのさらに3馬身前で、違う競馬をしたキズナがゴール板を通過していた、という一戦だ。

レースは前半4F-5Fが46秒6-58秒6と、この毎日杯としては速い流れ。展開が厳しくなればなるほど、ゴールでの着差がつきやすいという影響もあるだろう。ただ、そんなことや、相手関係だけでは片付けられない衝撃をファンに与える勝ちっぷりだったのも間違いない。

このレースが外回り1800mになった07年以降、1000m通過が最速だったのは08年の59秒0。そのレースで、後続に2馬身半の差をつけて完勝を飾ったのが、後にNHKマイルC日本ダービーを連勝することになるディープスカイだった。

さて、今年のキズナはこの後どうするのか、と思ったら、皐月賞NHKマイルCではなく、京都新聞杯からダービーを目指すとのことだ。皐月賞に進んでも、馬群がばらければ弥生賞とは違った結果が考えられたが、もちろん、この馬に似合う舞台、そして毎日杯優勝馬が力を発揮してきた舞台といえば東京競馬場だ。

毎日杯組の先輩・ディープスカイキングカメハメハ、さらには父ディープインパクト、そして従兄弟のナリタブライアンも、ダービーでは馬場の中央を駆け抜けていた。その予行演習とも思える競馬をここで見せたキズナ。約2ヶ月後の府中では、いったいどんな走りを見せてくれるのだろうか。