悪条件を克服して2連勝したホウライアキコは精神的にタフだった
文/編集部(W)、写真/森鷹史
台風15号の影響で開催が危ぶまれた31日(土)の小倉競馬だったが、同日の午前3時に温帯低気圧に変わり、なんとか通常通りに行われることとなった。
ただ、高速馬場の小倉とはいえ、かなりの
雨量が予想されたことから、函館までとはいかないまでも、それなりに時計がかかる馬場になるだろうと思っていたのだが、土曜日の
小倉11R・北九州短距離S(準OP、芝1200m)は
1分7秒5で決着した。
重馬場でもこれだけ速い時計が計時されるのかと驚いた。同日の
函館10R・羊ヶ丘特別(1000万、芝1200m)は不良馬場ながら
1分14秒4。クラスや馬場状態が違うとはいえ、同じ芝1200mで約7秒も差があるとは。同じ芝とは到底思えない。
それはさておき、これでは
小倉2歳Sもそれなりに速い時計での決着になるのかなと思ったら、1日(日)も雨が降って稍重から重馬場に悪化し、
小倉8R(500万、芝1200m)は
1分9秒5で決着。良いか悪いかはさておき、時計的には道悪らしい道悪になったと思って迎えた
小倉2歳S。
出走馬を見渡すと、道悪芝の経験があるのは
ラブリープラネットと
カシノタロンの2頭だけ。ただ、2頭も稍重までしか経験がなく、重馬場まで悪化した馬場となると、もはや全馬にとって
未知の領域である。
そんな中、馬券の発売が始まってからほぼ1番人気と2番人気をキープしていたのが
ベルカントと
ホウライアキコだった。
ベルカントは
1分8秒4、
ホウライアキコは
1分7秒8(レコード)の好時計で
新馬戦を圧勝していたことが逆に、重馬場だと
パフォーマンスの低下に繋がるのではないか。
人気が人気だけに、馬場が悪化すればするほどそんな
不安を感じる部分もあったが、結果は
ホウライアキコが①着、
ベルカントが②着。さらに言えば、3番人気の
ラブリープラネットが③着で、上位人気3頭が馬券圏内を占めることに。
皆さん、目が肥えすぎではないでしょうか(笑)。
レースは、
ベルカントが外からジワッとハナに立ち、
ホウライアキコは好位のインに控える。
ホウライアキコの直後のラチ沿いに
ラブリープラネット。3頭は4コーナーまで内、内を通っていたが、直線で外目に持ち出した
ベルカント・
武豊騎手に対し、
ホウライアキコ・
和田騎手はそのまま内目へ。
ラブリープラネット・
福永騎手はインを突く。
逃げ込みを図る
ベルカントを直線半ばで交わした
ホウライアキコ。最後は
ベルカントが盛り返すような脚を見せたが、
ホウライアキコが1馬身1/4差をつけて2連勝のゴールに飛び込んだ。勝ち時計は
1分8秒8で、重馬場とすれば上々ではないだろうか。
④着
ダンツブロードも内、内を通って伸びてきた馬で、開催12日目ながら外を回っては厳しい馬場だったようだが、馬券圏内に入った馬の鞍上を見ると、
小倉2歳Sで勝利経験があるのはダテではないということか、コース通りもさすがと思わせるものだった。
それにしても、
『メインレースの考え方』でも指摘したし、レース後の勝利騎手インタビューで
和田騎手も話していたが、
ホウライアキコは
怖がりな面があるようで、内枠で先手を奪えず、揉まれた時には大敗もあり得るかもしれないと思っていたが、とんだ見当違いだったようだ。
前日の
札幌2歳Sで不良馬場を克服して①&②着に好走していた
レッドリヴェールと
マイネグレヴィルも根性がある牝馬だなと思ったが、控える競馬も道悪もクリアしてみせた
ホウライアキコも精神的にはタフだったということだろう。お見逸れしました。
小倉2歳Sと同日の
函館10R・すずらん賞(OP特別、函館芝1200m)では同じヨハネスブルグ産駒の
フクノドリームが重馬場を克服して逃げ切りで6馬身差の圧勝を飾っていた。
台風は過ぎ去っても
ヨハネスブルグ産駒旋風はまだまだ続きそうで、
ホウライアキコはその牽引役としても注目を集めそうだ。