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追い切りは時計ではないが、ダートは時計がモノを言う!
2013.9.26
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中谷雄太騎手…以下[中]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]話は変わるのですが、雄太さんは地方競馬の馬券を購入されるために大井競馬場に行かれたりしますよね?

[中]時々ですけどね。

[西]情報によると、当たっているらしいじゃないですか(笑)。

[中]儲かってます、と言えるほどは当たっていません(笑)。

[西]何を基準に買っているのですか?

[中]パドックだけです。

[西]やはり、そうなんだ。

[中]負けるときは情報かな(笑)。

[西]なるほど(笑)。

[中]騎手だけでなく厩舎関係者たち皆そうなんだけど、勝てると思っている馬について悪くは言わないし、勝算もあるわけですよ。もちろんそのときに他のメンバーも見ているはずです。ただひとつ、その日の自分の馬の状態は知らないわけですよ。前日までは抜群だったとしても、夜中に腰に違和感を感じるようになってしまったかもしれないわけです。それを騎手は知りません。だからこそ、パドックを見て、その日の状態を確認するわけですよ。成績を見て、1秒も2秒も違う場合は力の差があるわけですけど、0秒何というのは展開ひとつだと思います。もし自分が乗っていたら、『どうやったらひっくり返せるか』と考えます。

[西]持ち時計というのはあると思いますけど。

[中]1000mで言えば、持ち時計が58秒と59秒という2頭だったら、58秒の馬が断然有利ですよ。

[西]それが1700mだったら?

[中]馬場状態と展開の影響もあるでしょうが、例えばハナを切る馬が1分46秒0で走れるとします。近2走で46秒0、あるいは46秒2、3だったとして、それに対して、中団から進める馬で47秒でしか走れない馬は、ほぼお手上げ状態ですよ。余程のハイペースになるか、あるいはグチャグチャな流れになるとか、何かがないと無理です。

[西]未勝利、500万円だったらかなわないよね。

[中]そうだね。時計はその馬が持っているスピードを表しますからね。

[西]でも、それはダートの話で。芝だと競馬場、あるいはコンディションによって変わってしまう。マイルで1分32秒台とか、そのクラスではあり得ないという状況になったりしますよね。

[中]芝はどうしても状態に影響を受けますからね。

[西]あと、このコーナーでも何回かお話をさせていただいていることなのですが、追い切りの時計はアテになりませんよね。

[中]それは間違いないでしょう。例えば、新馬でテンションが高め、それほど追い切りをやらなくても仕上がってしまう馬がいたら、時計を出さずに競馬に向かう可能性が高いわけですよ。でも能力があれば、それでも勝てるはずです。

[西]新馬戦は特に時計が人気を左右したりしますからね。

[中]時計じゃないですよね。新馬戦は将来の未勝利馬とG1馬、オープン馬が一緒に走るレースですから、パドックでその差が出ているという人もいますよね。時計で言えば、ポリトラックで63秒程度のタイムは、極端な言い方をすればどの馬でも出ます。

[西]ダートの馬場状態、特に道悪というのはどうみるのですか?

[中]前残りになりやすいでしょうね。ある程度のペースで行っても、前が止まらないわけですよ。

[西]中谷さんの名言として、“追い切りは時計じゃないが、ダートは時計”ということですね(笑)。

[中]レースにおけるダートの持ち時計はひとつの規準になりますよ。1秒違うのは大きい。あと、地方競馬では何度も同じ馬同士が対戦するケースが多いわけですが、負け続けている相手には普通は勝てないものです。ハ行していたりとか、何も異変がなくて、普段通りだったら勝ち続けている馬が負けるということは可能性としては極めて低いですよ。あとは騎手がミスをしたりというような、何か原因があったときは別ですけど。

[西]中谷さんは騎手も見るのですか?

[中]見ないですよ。俺と横山典弘さんでは違いますけどね(笑)。

[西]ははは。

[中]そこの差というのは経験値の差だと思うんですよ。レース数、人気馬、さらにはG1と乗り続けてきているわけで、どんな状況でも冷静に対応できるし、予測もできます。それに対して、1年間で1番人気が10回もあれば良いという状況ですからね。気にしないようにと思いますし、普段通りにとも思うのですが、でもやはり勝ちたいという意識でもあるわけですよ。

[西]そうなるとめくってはいけないカードをめくってしまうわけですね(笑)。

[中]そこで大事に乗り過ぎて勝てなくなってしまったりするわけですよ。普通に乗れば、勝てているのに、そこで落としてしまったりするわけですよね。それが技術ということなのかなぁ。

[西]なるほどなぁ。今度どうですか。中谷騎手と西塚助手と行く大井競馬ツアーというのは(笑)。

[中]良いですねぇ(笑)。

[西]2人で能書きを話してさ。

[中]考えたことはありますよ。

[西]このコーナーの読者限定で(笑)。ちょっと考えますよ。地方で思い出した。雄太、ヤジはどう? 地方だと厳しい声があったりするよね。

[中]あまりないかな。あっ、でも1度川崎で『中谷、お前川崎のコーナー曲がれんのかぁ』と野次られたことがありました。『曲がれるよ!』と思いましたけどね。

[西]うははは。

[中]ところが、その日騎乗していた馬がハミ受けの難しい馬で、危なく膨らんでしまうところだったんですよ(笑)。

[西]JRAではどうなの?

[中]これが『中谷、ありがとう』という声があるんですよ。

[西]うははは。マジですか。

[中]大穴を的中させたんでしょうね。えっ、これを買っているんだと思わせられますよ(笑)。あと、東京に(田中)勝春さんの批評家さんがいて、いつも『勝春、しっかりやれよ』と繰り返しているんですよ。完全に酔っぱらっていらっしゃるんですけどね。

[西]ブッチャけちゃいますけど、酔っぱらって『おい、しっかり乗れよ』と叫んでいるお客さんに憧れる部分もあるんですよね。

[中]それは騎手をやっていないからですよ。例えば、大井で当時大井所属の内田さんが乗って人気で負けたとき、馬券を購入していても、レースを見てミスがあったわけではなかったら、この人が乗っても勝てなかっただから今日は誰が乗っても勝てなかった。仕方がないと思えるわけですよ。そこで『内田、下手くそ』とか言う野次を聞くと、『買ったのはあなたですよね』と言いたくなります(笑)。

[西]1度で良いんだけど。

[中]でも、騎手をやった人間には、馬鹿とかというような言葉は言えないですよ。わかってしまうから。まあ、ファンの方ですからね。ある程度は良いと思いますが、死ねとかはやはり止めてもらいたいですよ。

[西]その危険性がありますからね。楽しい時間は早いもので、私事ながら明日早いもので。すいません。

[中]えっ、もう終わり?(笑)

[西]すいませんね。最後にこのコーナーのテーマでもある、5年後の競馬界についてなのですが。

[中]それを僕が言うんですか?(笑)

[西]お願いいたしますよ(笑)。

[中]騎手をはじめ、調教師さんやスタッフの方々を取り巻く環境、立ち位置が劇的に変化しているのは間違いないでしょうね。

[西]いまの体制ではなくなってしまうということですか?

[中]すべての面でも変化していくと思います。ただ、進む方向によっては夢がなくなってしまうことになってしまいます。いまでも、外国人騎手がパッと来て、乗り替わりになってしまうのが当たり前になっていますよね。ずっと、その馬に携わってきて、一生懸命にやってきているわけです。それは仕方がないことだと言われるかもしれませんが、やはり夢というか、希望がなくなってしまうのもまた事実ですよね。競馬という産業にとって、騎手を目指そうという子供たちに魅力的な世界に見えるかどうかということは大切ではないのでしょうか。

[西]イメージとしては、プロ野球選手ならば格好いいスポーツカーに乗って、テレビに出て、そしてホームランを打つという姿に憧れるわけですよね。

[中]武豊騎手をみて、騎手になりたいと思ったんですよ。外国人騎手をみて、そう思うかというと、少し違う気がします。

[西]相撲がそうだとい指摘がありますよね。

[中]関係あると思いますよね。プロ野球選手だって、助っ人選手よりも、やはり日本人選手に憧れたりしましたからね。パッと言われて、クロマティやバースというよりも、掛布、あるいは桑田、清原と言う人は多いと思います。

[西]そうかもしれませんね。

[中]産業として、入ってくる人たちに魅力があるかどうかということは必要不可欠。騎手ばかりでなく、調教師を目指す人たちにとって、魅力があるかどうか。5年後の競馬界ということについて言えば、その部分についてはどんどん減っていってしまう可能性が高いように思えます。

[西]競馬って面白いんですよね。それがもっと多くの人に伝わってほしいんですけど。

[中]騎手はもちろん、調教師、スタッフ、そして馬主さんがG1制覇を目指して頑張っていくわけですが、結果ばかりでなく、その過程も競馬の魅力だったりするわけですよ。そういう部分がなくなってしまうことも、競馬にとってはマイナスになっていくようには思います。

[西]この前大竹先生と対談したときにも、個性的というか代名詞のある馬がいなくなったという話をしたんですよ。

[中]キャッチコピーではなく、代名詞というか、ファンから呼び名が広まるような存在であるということが大事だと思います。

[西]なるほど。あと、最後に復帰後に向けてひと言お願いいたします。

[中]リハビリをしていて、心が折れそうになることもあります。でも、復帰すると決めた以上は頑張ります。乗り役って良いなぁ、やっぱり乗り役でいたいと思う気持ちが原動力です。その気持ちが絶えるまでは頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。


[西]またぜひよろしくお願いいたします。

※次回から、西塚助手が皆さんからの質問にお答えするコーナーを予定しています。西塚助手への「指令」も募集中。質問、素朴な疑問を、上部リンクからお送り下さい!