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この後、どんな形で「もうひと伸び」を見せてくれるのか
文/浅田知広、写真/森鷹史


マイルCSへ向けた前哨戦・スワンS。第1回のマイルCSが行われた84年からこの芝1400mで行われるようになり、その年の優勝馬は歴史に名を残す短距離馬・ニホンピロウイナーだった。

その後も97年のタイキシャトルを筆頭に数多くの名馬が勝利を収め、94年にはスプリント王・サクラバクシンオー対マイル女王・ノースフライトという、芝1400mの舞台でこそ、という勝負も見られた。

近年はマイルCSへ向けた路線が多様化し、このレースが「最有力前哨戦」とまでは言えなくなっているが、スプリンター対マイラーという対決の構図は以前のまま。過去10年では前走1200m組が5勝前走1600m以上の組が5勝と互角の勝負が繰り広げられている。

しかし、今年はメンバーを見て「あれっ?」と思った方も多いはず。多頭数の目立つ古馬短距離重賞ながら、今年のスワンSは01年以来となる13頭立て。それも「どうやってもこの馬には勝てない」といった抜けた存在がいたわけではなく、どういうわけか揃わなかった、という感もある13頭だ。

そしてもうひとつ。今年は穴になりそうなスプリンターが見当たらなかったことも、例年との違いとして挙げられた。昨年②着だったテイエムオオタカは、春後半から1200mで5連続③着以内を記録しながら、距離が延びて6番人気という評価。

それ以前にも、勝ち馬でいえばギャラントアローダイタクヤマトなど。もちろん凡走した馬も数多いが、なんだかんだと距離が嫌われて人気を落としたスプリンターがいたものだ。

しかし、今年は前走1200m組がわずか4頭で、人気薄になったのは距離不安以外が理由と思われるサンカルロ。やや混戦模様ではあっても、13頭に落ち着いた頭数もあって、今ひとつ穴馬購買意欲をそそられないレースという印象だった。

ところが。そんなときこそ荒れるのが競馬というもので、終わってみれば8→4→10番人気で3連単は42万馬券。そして、ここにいたではないか、スプリンター。いや、戦績はスプリンターのものではないが、少なくとも「スピード馬」ではあるコパノリチャードの逃げ切り勝ちだ。

春には1600mでアーリントンCを制したコパノリチャードだが、そのレース序盤は行きたがるのをなんとか抑え込んでの2番手追走。また、NHKマイルCでは直線残り100mあたりまで2番手で逃げ粘るなど、確かに距離短縮が向きそうな印象はあった。

もし今回が1200mなら逆にペースの問題もあろうが、ここは1400m戦。テイエムオオタカとのハナ争いさえ制してしまえば、後はまったくのマイペース、前半35秒3-46秒8である。

そんな流れで迎えた4コーナーの手応えも、素晴らしいことこの上なし。そして直線、1番人気で距離不安もないはずのマジンプロスパーを楽々と突き放すと、2000mの重賞連対実績を持つダイワマッジョーレサダムパテックの差し脚も余裕を持って封じ、堂々の逃げ切り勝ちとなった。

これで1400mはデビュー戦とあわせ2戦2勝、そして京都は3戦3勝となったコパノリチャードスワンSの数字を足してしまうと8番人気はあまりに低評価すぎたように思えるが、今回で多くのファンには知れ渡ってしまっただろうか。

とはいえ、次走に予想されるマイルCSは、ポートアイランドS⑯着大敗を喫した1600mの距離になる。折り合い面の不安が語られることになりそうで、いきなり人気の一角を占めることにはならないだろう。

しかし、マイルCSマイルCSで、引き続き「この距離どうなの?」という馬が穴を出す例も少なからず見られるレースだ。無敗の京都で、再びそのスピードを活かして父ダイワメジャーとの父子制覇というシーンもあるのかどうか。なにせ、まだまだ多くの可能性を秘めた3歳馬である。

1400mのスワンSを制した3歳馬7頭には、後のG1優勝馬が3頭②着馬1頭、そして③着馬が2頭と、計6頭がG1で好走を見せてきた。そのG1好走がマイル戦なのか、それともさらに距離を短縮してスプリント戦になるのか。

気性面もさることながら、皐月賞馬の父・ダイワメジャーが古馬になってもうひと伸びを見せた血統からも、このコパノリチャードどんな形で「もうひと伸び」を見せてくれるのかが楽しみだ。