絶好位に付けた時点で勝負あった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
武蔵野Sのレース前日、
安藤勝己元ジョッキーが自身のTwitterで、
ベルシャザールについて言及していた。その内容は、
1600mは短いだろうが、今回のメンバーでは素質はだいぶ上。先行して自分の流れに持ち込めれば、崩れることはないだろう、というものだった。
安藤勝己元ジョッキーは
ベルシャザールに騎乗して[1.1.1.2]という成績を残しており、これまでもしばしばTwitterで同馬のことをつぶやいていた。
ベルシャザールは
スプリングS②着や
ダービー③着の好走歴があり、ダート転向後は[2.1.1.0]と崩れていなかった。しかし、芝でもダートでも、過去の③着以内は
4角5番手以内にいた時で、唯一のマイル戦だった5走前の
ダービー卿CTでは後方追走となって⑮着に大敗していた。
1600mという距離でも前目に付けられるのか。やはり、そこがポイントだったと思う。
今回の
武蔵野Sでは、確たる逃げ馬が不在だったが、それほどスローにはならなかった。
グラッツィアがハナを切り、前半3Fは
34秒7で入った。近3年が35秒台だったことを考えれば、比較的
流れたと言える。
このペースでも、
ベルシャザールは5番手に付けた。好スタートを決めると、ハナにも立てそうなスピードを見せ、
先行馬を見る絶好の位置に付けた。この時点で勝負あったという印象だった。
レース後、
安藤勝己元ジョッキーは
「反応鈍くてヒヤッとした」とつぶやいていたが、確かに直線に入って前がゴチャつく感じになり、他馬よりも仕掛けは遅れた。それでも、最後は内からきれいに差し切り、3/4馬身差という着差以上に強い内容を見せた。
ベルシャザールは、当初は11月20日の
浦和記念への出走を検討していたようだが、賞金の関係で同レースへの出走が困難になり、矛先を
武蔵野Sへ移したようだ。距離適性を考慮すれば、
1800m以上の方が良いとの判断があったのだろうが、今回のレース結果で
新境地が開かれたとも言えるだろう。来年の
フェブラリーSだって、まったく問題なく走れそうだ。
もちろん、来年の
フェブラリーSより先に中距離のG1やJpn1が控えていて、そこでの期待も高くなることだろう。
ベルシャザールはダートでの3勝を左回りで挙げているが、芝での2勝は右回りで、
ホープフルS(中山芝2000m)①着や
スプリングS(阪神芝1800m)②着の好走歴もある。
急坂も問題なさそうで、コース形態に成績を左右される馬ではないだろう。
オルフェーヴルとも接戦を演じたことのある馬で、ダートなら溜めても切れる脚を使えそうな雰囲気があるが、なにせやったことがないので(ダートでは4角で6番手以下になったことがない)、今後も
位置取りがカギになってくるのかもしれない。
ちなみに、
キングカメハメハ産駒は昨年の
JCダートで
ホッコータルマエが③着となっているが、同レースでは、
ホッコータルマエと
ゴールデンチケット(09年)の
③着が最高着順で、まだ連対馬は出ていない([0.0.2.7])。
過去13回の
JCダートの歴史の中で、父ミスプロ系の馬は4勝をマークしているものの、これはいずれも
関東圏で行われていた頃の話。阪神ダート1800mで施行されるようになってからは、
父ミスプロ系の馬は[0.1.3.23]という成績が残されている。
キングカメハメハ産駒は、
ホッコータルマエ、
ベルシャザール、
ナイスミーチュー、
グランドシチーといった面子が揃っているが、果たして、
最後のJCダートで勝ち馬を送り出せるだろうか。
ホッコータルマエと
ベルシャザールが5番手以内に付けるレースをできれば、簡単には止まらないと想像されるが……。
安藤勝己元ジョッキーは、今回のレース後、
「あの競馬、勝ち方してくれれば、JCダートも楽しめる」とつぶやいている。
みやこSを押し切った
ブライトラインも元お手馬で、Twitterでよくつぶやかれているから、
JCダート前にどんなつぶやきが聞けるか、それも楽しみになりそうだ。