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“福島の荒れ馬場”は今は昔…今回のレコードタイムの価値は高い
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


レースが終わった後、勝ったダイワファルコンが叩き出した“1分57秒3”という勝ちタイムに驚いた方は多いのではないだろうか。

“福島記念、あるいは秋の福島といえば?”と聞かれて、皆さんが思い浮かべるのはどんなことだろうか。「馬券が荒れる」という印象を持っている方も多いだろうが、自分などはまず「荒れ馬場」を思い浮かべる。

どちらにしても“荒れ”に関係する、というのは余談。以前の秋の福島記念といえば、荒れた馬場で土を蹴散らしながら逃げ馬がハナに立ち、最後の直線は極限の持久力勝負……というイメージだった。

ところが、かつて“福島記念名物”だった荒れ馬場はすっかり影を潜めた感がある。その証拠に、07年以降に福島芝2000mで開催された福島記念の勝ちタイムは以下の通りとなる(カッコ内は勝ち馬、12年のみ稍重で、それ以外は良馬場)。

07年・2分0秒6(アルコセニョーラ)
08年・2分0秒1(マンハッタンスカイ)
09年・1分58秒6(サニーサンデー)
10年・1分58秒9(ダンスインザモア)
12年・1分59秒5(ダイワファルコン)

08年を境に、09年以降は2分を切っており、近年は時計が速くなっていることがわかる。これも余談だが、この傾向に自分でさえどことなく違和感を感じるのだから、もっと昔の競馬を知るファンの方はなおさらでは……という気もする。

それに輪をかけるように、昨年から秋の福島は3週のみの開催となった。それによって福島記念が開催される週の時点での使用頻度が下がったことはもちろん、開催週が短くなったことが関係するのかは定かではないが、昨年以降は芝の長さも短くなってきている

09年以降、福島記念開催時の芝コースの長さを調べてみると、すべて野芝は8~10cmだったが、洋芝の長さがかなり変わってきている。09年は12~16cm、10年は14~18cmだったのに対し、昨年は10~12cm、今年は10~14cmだった(すべてJRA発表)。

さらに、08年秋から福島で一部採用され始めた新しい芝の種類であるエクイターフが、09年からコースほぼ全面で採用された影響もあるだろう。もしかしたら、これが最大の要因なのかもしれない。

前述のように、昨年のダイワファルコン稍重の馬場ながら4角先頭から押し切って1分59秒5の勝ちタイムを記録している。今年は良馬場だったことに加え、ネコパンチが押して叩いてハナに立ち、前半1000m通過が57秒5とかなりのハイペースとなった。

3コーナーでネコパンチが後退した後も、ミキノバンジョー、さらにマイネルラクリマが入れ替わり立ち替わり先頭に立つ淀みのない展開。さらにレースの上がり3ハロンも34秒9にまとめられたことで、これだけのレコードタイムが出ることになった。

それにしても、3週目の馬場、しかも昨年より0.5kg重い57.5kgのハンデ従来のレコードを0秒5も更新するとは恐れ入った。冒頭で触れた“福島の荒れ馬場”は、今は昔ということなのだろう。

ダイワファルコンとともに昨年に続いての連覇となった川須騎手も、レース後に「自分の競馬をすれば強い」という趣旨のコメントを残している。得意とする条件では滅法強いタイプなのかもしれない。母ダイワルージュの半兄ダイワメジャーは6歳にしてマイルG1を連覇しており、血統的にも成長力が感じられるだけに、まだまだ力を発揮してきそうだ。

②着のマイネルラクリマも、3ヵ月半ぶりの出走で58kgを背負って早めに先頭に立つ内容でダイワファルコンに半馬身差だから、悲観する内容ではなかった。これで近5走が①②①③②着。3歳時のNHKマイルCでも0秒5差(⑥着)に健闘した実績があるだけに、それ以来となるG1挑戦にも期待をかけたいところ。

それに先着したダイワファルコンはもちろん、これだけのタイムで走るのは力がなければできないはず。今回の上位馬が今後G1で好走したとしても、まったく驚けないのではないだろうか。