グランプリ・トライアルで好走した馬の次走に注目したい
文/編集部(T)、写真/森鷹史
金曜の深夜、競馬ファンの友人と電話で会話する機会があり、その時に何気なく話題となったのが、翌日の重賞の予想だった。
金鯱賞は昨年から12月に移り、開幕週の開催となったが、その昨年は結果的に
4角7番手以下の馬が馬券圏内を独占する差し決着。新装後の中京は
差し有利の傾向が強いこともあり、自分は
「差し馬を軸として買うべきでは?」という意見だったが、友人の考えは違っていた。
「だって今回は『サイレンススズカメモリアル』だし。逃げ馬から買うべきでしょ」「え、開幕週だからとかそういうのではなく、それが根拠で?」とも思ったが、そこで友人が推したのは
カレンミロティック。OP緒戦の前走は⑧着に敗れたが、近走は先行して好成績を残しており、先行馬が少ない今回のメンバーなら、
行こうと思えば単騎先行が見込めるメンバー構成だった。要は、友人は
ハナに立つと思っていたわけだ。
そしてレース前、今度は自分の馬券を買う段になって、気になったのは
武豊騎手騎乗の
メイショウナルト。前走の
アルゼンチン共和国杯は初の芝2500mで⑭着に大敗したが、芝2000mは実績のある距離。
最内枠から控えて直線で抜け出す…という競馬を想像していた。確かに
「サイレンススズカメモリアルで、武豊騎手騎乗だしなあ」と思ったことは否定しない(笑)。
そんなこんなでレースがスタート。好スタートを切ってハナに立ったのは予想に反し、その
武豊騎手騎乗の
メイショウナルトだった。
「サイレンススズカの名前を冠したレースで、武豊騎手が逃げ切るレースだったか!」と、予想の過程はすっかり忘れて勝った気でいた自分だったが、
メイショウナルトは4角で失速。代わって2番手を追走していた
カレンミロティックが直線入口で先頭に立ち、後続の追撃を寄せ付けず先頭でゴールを駆け抜けた。
道中の馬群は縦長となったが、
前半1000m通過は59秒3で、それほど速いペースでもなかった。道中で2番手の
カレンミロティックが勝利、3番手の
ラブリーデイが②着に入ったことからもわかるように、結果的には
先行勢に有利な展開だったということなのだろう。
予想のプロセスはいろいろと間違っていたり正しかったりしたが(笑)、結果的には友人の勝ちとなった。それまでの過程はどうであれ、
競馬は勝てば官軍。それを改めて思い知らされたレースとなった。レース後に友人から送られてきた
『^^』とだけ書かれたメールも、甘んじて受け入れることにします。
そんな個人的な話は別にして、興味深かったのは今回の結果。前述したように、
金鯱賞が年末開催に移ったのは昨年からで、それまでは
宝塚記念の前哨戦として行われてきたが、
有馬記念の前哨戦に替わった形となった。
面白いのは、
サイレンススズカが勝利した98年以降、中京芝2000mで開催された
金鯱賞勝ち馬の次走が
宝塚記念か
有馬記念だった場合は①②⑫②③①⑦①②②着で、馬券圏外は10回中2回のみ。開催時期にかかわらず、
グランプリ・トライアルとして立派な成績を残している。
そう考えると、
カレンミロティックの次走が気になるところ。ちなみに今年は
メイショウナルトの去勢効果が話題になったが、
カレンミロティックも去勢後が[4.4.2.1]で、去勢後に成績がより安定した1頭だった。
有馬記念で馬券圏内に入ったセン馬は92年②着の
レガシーワールド以来出ていないが、そのジンクスは破られるだろうか。重賞で連続②着に好走して本格化を感じさせた
ラブリーデイ、1年5ヵ月ぶりで③着に入り、その実力を改めて証明した
ウインバリアシオンとともに、次走への期待が膨らむ
金鯱賞だった。