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「本当に良くなるのは次」までは正しかったという結果に
文/浅田知広

中央競馬の開幕を飾る名物重賞・中山金杯。今から少し前、96年から05年という10年間を切り取れば1番人気馬が7勝を挙げていたりはするのだが、レースの条件自体は、いかにも荒れそうな印象の強いG3のハンデ戦である。

それに加えて、年明け最初の重賞競走。幸先良く「ドカンと一発いいことがあると嬉しいなあ」という思いもあり、なにか荒れそうな要素はないものかと探したくなる一戦だ。

そんな波乱の期待も込めてメンバーを見渡すと、まず気になったのは、前走重賞で馬券圏内だった馬がユニバーサルバンク1頭しかいなかったことだ。

ここ5年は毎年2~4頭が出走し、5番人気以内から最低1頭は馬券に絡んでいたこのタイプ。しかし今年、ユニバーサルバンクの「重賞馬券圏内」も、距離がまったく異なるステイヤーズSの②着となれば、なにか怪しげな雰囲気も漂ってくる。

そしてもうひとつ、発表された馬体重を見て「これは!」と、さらに波乱の期待はふくらんだ。そのユニバーサルバンク(2番人気)がプラス8キロなら、1番人気のディサイファはプラス14キロで、さらに3番人気のケイアイチョウサンがプラス12キロ。ついでに4番人気のサクラアルディートも、わずかとはいえプラス2キロの馬体重である。

もともと穴党にとっては「年末年始を挟んで調整に狂いが生じるかも」という思いもある年明け初日。加えてこの中山金杯は過去10年、プラス体重馬は連対率9.4%プラス2キロでも連対率11.8%止まり。対して、増減なしは連対率19.0%、そしてマイナス体重は連対率20.7%と、プラス体重での出走は減点材料になるレースである。

増減には馬それぞれの事情があるとはいえ、ユニバーサルバンクケイアイチョウサンは過去の連対体重を超えているのだから、疑ってかかる手は大いにありそうだった。

そんな中で迎えたレースは、スタート直後にドリームヒーローサムソンズプライドが逃げ争いを演じ、その後はドリームヒーローが大逃げを打つ形に。前半1000mの通過は59秒4と極端に速いわけではなかったものの、なにやら波乱の雰囲気は感じられた。

そして直線、人気どころがひと押しを欠く中、内からスコンと抜け出してきたのは、プラス体重馬以外では最上位人気となるオーシャンブルー(5番人気・マイナス4キロ)だった。

なんといっても一昨年の有馬記念②着、そしてG2・金鯱賞優勝の実績馬。その分、最重量57.5キロを背負わされてはいたものの、トップハンデも、57.5キロも好走例は複数あるのがこのレース。加えて鞍上ベリー騎手の巧みな手綱さばきにも導かれ、ものの見事な復活劇となった。

思い返せばこのオーシャンブルー、昨年の金鯱賞当時のコメントは「本当に良くなるのは次の有馬記念」といった内容だったと記憶している。その金鯱賞で中途半端に好走せず⑩着に敗れたことで、再び有馬記念の穴候補になると思った方も多いに違いない。

ところが、その有馬記念は登録すらなく回避して、こちらに矛先を向けたことが功を奏した形。最後の「有馬記念」はさておき、「本当に良くなるのは次」までは正しかったということになる。昨春は日経賞の1戦のみ(⑨着)しか使えなかったが、今年は春競馬を盛り上げる活躍をお願いしたいところだ。

そして②着には、勝ち馬と同じくマイナス4キロだったカルドブレッサ。昨年の日経新春杯では、メンバー中最速の上がり34秒4で0秒2差の④着まで追い込んでおり、もし2年連続の出走となれば注目の存在になるだろう。

もちろん、プラス体重で敗れた人気どころ、特に大幅プラスでも③着に食い込んだディサイファや、⑤着のケイアイチョウサンあたりも、当然ながら次は巻き返しを期す一戦になる。

そしてもう1頭、③着から0秒1差の⑦着だったサムソンズプライド。大混戦になった③着争いの中で、当方の3連単が的中するにはこの馬しかいなかったのだが、レース序盤のハナ争いがなかったらもしかして……。

さて、今年はいったい何回の「たられば」を繰り返すことになるのだろうか。ともあれ、完全な差し追い込み決着の中で、粘りに粘ったこの馬の走りは次走以降へ向けてぜひ覚えておきたい。