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2頭とも凱旋門賞へ向けて視界良好といえるレースぶり
文/平松さとし、写真/川井博


凱旋門賞へ挑戦する日本馬3頭のうち2頭、すなわちゴールドシップハープスターが出走した今年の札幌記念不安定な空模様が予報されていたが、なんとか雨は降らずに済み、新装された競馬場には4万を超すファンが駆けつけた。

先出の2頭の他に皐月賞馬ロゴタイプホエールキャプチャといったG1ホース、昨年の勝ち馬トウケイヘイロー函館記念で重賞初制覇を果たしたラブイズブーシェなどを含む14頭で行なわれたレースは、予想通りトウケイヘイローが逃げた。

注目の1番人気馬ゴールドシップはスタートこそ出たものの「出そうとしたら反抗したので無理せず」(横山典騎手)離された最後方。これには須貝調教師「後ろからは予想できたがあそこまで後ろになるとは思わなかった」

一方のハープスター。小回り競馬場ということでいつもより先に行くか?とも囁かれたものの、松田博調教師「作戦を変えるようなことはない」と公言していた通り後方13番手。ゴールドシップの前ではあったものの彼女自身の位置としてはいつも通りというポジションでレースを進めた。

前半1000mは58秒4。向こう正面でハープスターの鞍上・川田騎手が後ろとの差を確かめる。

「ゴールドシップがいつ仕掛けたかは分からなかったけど、こちらはこちらで良いリズムで走れていたし、小回りコースなので3コーナーから少しずつ動かしていきました」

横山典騎手川田騎手とほぼ同じタイミングで動かしていった。重めの馬場にノメるような仕種をみせたゴールドシップを、向こう正面で早くも叱咤する素振り。すると、その直後、「良い手応えで上がっていった」(須貝師)。

3コーナー、外からハープスターが上がっていくと、さらにその外に出したゴールドシップが並びかけようとして上がって行く。スタンドの大声援に後押しされるようにエンジンのかかった2頭はその脚を衰えさせることなく、直線入り口ではトウケイヘイローロゴタイプトウカイパラダイスといった先行集団をひと呑みにしてみせた。

いかにも小回りコースを意識した手綱捌きについて、川田騎手は言った。

「レース前、(松田)先生に3コーナーあたりから少しずつ動かしていっても良いという指示をいただいていました」

思い描いた通り直線では早目に先頭に立ったハープスター。しかし、さすがはゴールドシップ。他馬が綺麗に掃除される中、王者の意地で唯一、追いすがるように上がってきた。

直線、優勝争いは完全に凱旋門賞を目指す2頭に絞られた。3番手以下は離される一方で、結果、③着ホエールキャプチャがゴールした時、そのはるか5馬身前にゴールドシップ、そしてさらにその4分の3馬身前でハープスターはゴールを切っていた。

オークスの際に落鉄をして爪を傷めたハープスターはその回復に長らく手間取った。中間は歩様の悪い時期が続いたという。しかし、完治すれば“さすが!!”というところを誇示する競馬だった。

「決して得意とは言えない小回りコースで、しかも目一杯にやったわけではないのに勝つことができました。凱旋門賞へ向けて良い結果を残せたと思います」

川田騎手はそう言ってうなづいてみせた。

また、敗れたといえゴールドシップ陣営もその表情に悲壮感は漂っていなかった。

「今日は斤量差(5kg)だけ」

開口一番そう言ったのは須貝師。続けて次のように語った。

「ハープスターは強い馬で、その相手に5kgの斤量差があってこれだけやれたのだから悲観はしていません。フランス遠征を考えて余裕残しの仕上げだったし、③着以下は突き放してみせた。よい内容の競馬だったでしょう!!」

海の向こうの大目標へ向け、北の大地で2頭はともに視界良好といえるレースをしてみせた。彼等が本当の意味で雌雄を決する舞台は10月5日、ロンシャン競馬場の2400mとなる。