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後味の悪さが残ってしまった……
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


1番人気に推されたマーティンボロは、手応え良く道中を追走したものの直線に入って前が壁になり、進路がなくなった。前を行くクランモンタナトーセンジャガーも脚が残っていて、外にはラストインパクトがいる。結局、マーティンボロは内に切れ込むように移動して行き、結果、他馬を交わし去ることができたものの、鞍上のローウィラー騎手騎乗停止処分を受けた。

【新潟11R・裁決レポート】
最後の直線コースで、13番マーティンボロが内側に斜行したため、7番アドマイヤタイシ、1番ダコール、3番メイショウナルト、9番ニューダイナスティ及び8番アロマカフェの進路が狭くなりました。
この件について、13番マーティンボロの騎手N.ローウィラーに対し、2014年9月13日(土)から2014年10月5日(日)まで23日間の騎乗停止としました。
(JRAのHPより)

パトロールビデオで確認すると、マーティンボロは詰まった局面を打開する際にアドマイヤタイシダコールを押圧し、前が開けた後にも内に寄れて、メイショウナルトニューダイナスティアロマカフェの3頭の進路を狭くしている。マーティンボロ自身に脚が残っていたから突き抜けることができたのだろうが、なんとも後味の悪いレースとなってしまった。

今回は、不利を受けた馬がその後に巻き返して着差を縮めることがなかったので、到達順位通りで確定した。現在のルールではこのような結果になるので致し方ないが……いや、本当に致し方ないんだろうか?

不利を受けた馬のジョッキーは、当然のことながら、そのことを敗因として口にしている。しかも、この新潟記念サマー2000シリーズの最終戦で、①着となったマーティンボロが10ポイントを獲得して、シリーズチャンピオンに輝いた。合計ポイントは15ポイントで、これは今回⑩着に敗れたメイショウナルトと同じだったが、「上位着順の回数が多い馬をチャンピオンにする」との規定により、優勝馬はマーティンボロになった。レース結果とサマー2000シリーズの結果のふたつを合せても、後味が悪すぎるだろう。

個人的には、2013年以降に採用されている「降着・失格のルール」は、日本人には合わないと思っている。「やり得・やられ損」がないように努めるという話だが、本当にそうなのか、1年半以上経っても疑問は解消されていない。やはり重要な局面でこそ、強引な事象が発生してしまうのではないだろうか。それは今後も起こってしまうのではないだろうか。

今後も、この降着・失格制度については、JRAを通じてレポートを行っていきたい。

①着マーティンボロ、②着クランモンタナ、③着ラストインパクトはいずれもディープインパクト産駒で、血統的にはディープインパクト産駒独壇場となったが、最後にクランモンタナマーティンボロが交わしたことには感慨深い思いがあった。グレイソヴリン系内包クランモンタナを交わしたのが、同系を持っていないマーティンボロだったからだ。

「メインレースの考え方」でも記したが、新潟記念と言えば、かつてはグレイソヴリン系内包馬の天下だった。新潟競馬場が新装となった01年以降は、07年までの7頭中6頭の優勝馬が父か母父がグレイソヴリン系で、唯一勝てなかった時(04年)にも②着に食い込んでいる。

ところが、08年以降はパッタリ連対できなくなり、替わって台頭してきたのが父サンデー系だった。08~13年の勝ち馬は6頭中4頭が父サンデー系で、敗れた2回でも②着に入っている。過去の新潟記念の勝ち馬を色付きの系統で見ると、その変遷が理解しやすいだろう。

01年以降の新潟記念勝ち馬
馬名 母父
01年 サンプレイス サンデーサイレンス トニービン
02年 トーワトレジャー トニービン Clever Trick
03年 ダービーレグノ トニービン Royal Academy
04年 スーパージーン サッカーボーイ パーシャンボーイ
05年 ヤマニンアラバスタ ゴールデンフェザント タマモクロス
06年 トップガンジョー マヤノトップガン ゴールデンフェザント
07年 ユメノシルシ フジキセキ トニービン
08年 アルコセニョーラ ステイゴールド モガンボ
09年 ホッコーパドゥシャ マヤノトップガン ヤマニンスキー
10年 ナリタクリスタル スペシャルウィーク ペンタイア
11年 ナリタクリスタル スペシャルウィーク ペンタイア
12年 トランスワープ ファルブラヴ リアルシャダイ
13年 コスモネモシン ゼンノロブロイ Singspiel
14年 マーティンボロ ディープインパクト Nureyev

地色が青色の馬がグレイソヴリン系で、桃色がサンデー系、赤色がノーザンダンサー系だ(その3系統以外は色を付けていない)。青色から桃色&赤色連合に取って替わっている様がお分かりいただけるだろう。

クランモンタナ父ディープインパクト×母父トニービンという配合なので、母父に青色を持っていたのだが、この復権をマーティンボロが阻止した構図なのだ。「メインレースの考え方」にも記した通り、やはり来年以降も、グレイソヴリン系内包馬には敬意を払いつつ、母父か母母父がノーザンダンサー系父サンデー系を軸馬に据える」のが良いのではないだろうか。

新潟記念の勝ち馬は、01年以降に限るとその次走が[1.1.1.8]という成績だ。これをクラス別に見ると、G3で[1.0.1.2]、G2で[0.1.0.2]、G1で[0.0.0.4]。G1に挑戦した4頭中3頭は天皇賞・秋だが、同レースに挑んだ3頭はいずれもふた桁着順に敗れている。

ただ、過去のその4頭と今回のマーティンボロが異なるのは、血統だ。G1に挑戦した過去の4頭はいずれもサンデーの血を持たない馬だった。マーティンボロは天下のディープインパクト産駒で、ヴィルシーナダノンシャンティらと同じ牝系でもある。血統的にはG1のメンバーの中に入っても引けを取らないと言えるだろう。

マーティンボロは、今回のレースを受けて、次走以降は慎重な騎乗がなされるのではないかと想像する。その中でも一線級を相手に差し込むことができるのか。今秋が真価を問われることになりそうだ。