過去の傾向からすると、本当に大きなアタマ差での勝利だった
文/編集部(T)、写真/森鷹史
最初から自分の話で恐縮だが、土曜夜は基本的に
“馬迷男の挑戦”の更新作業を行うことになっている。
読んでいただいている方はご存じと思うが、
“馬迷男”の傾向として、
圧倒的1番人気馬は疑ってかかる場合が多い。今回も圧倒的1番人気の
ワンアンドオンリーを相手とし、3連単の頭に
サトノアラジン、
「特選馬」の
トーセンスターダムを置いた馬券で勝負していますね。
そんな中、文中にあった
「スターマンの奇跡」というフレーズが個人的に気になった。94年、二冠を制して秋緒戦として
京都新聞杯に出走した
ナリタブライアン(単勝1.0倍)が、
スターマンの後塵を拝した
“大事件”のことだ。当時、自分はテレビ中継でこれを見ていたが、実況の
杉本清氏が一瞬絶句したことを覚えている。
土曜の昼までは
「さすがにワンアンドオンリーは負けないでしょう!」と思っていたが、このフレーズを見て
「連戦連勝だったナリタブライアンでさえ秋緒戦で敗れたのだから、不安定なところもあるワンアンドオンリーが②着に負けても不思議はないのでは?」と、情けないことにアッサリ心変わり。
ワンアンドオンリーを②着付けにして、総流しで馬単を買うことにした。
そういうわけなので、直線で外から脚を伸ばした
サウンズオブアースが頭ひとつ抜け出した(ように見えた)時は、
さぞやドヤ顔をしていたことでしょう(苦笑)。
ところが、
ワンアンドオンリーはそこからが強かった。一旦は完全に交わされたかと思わせた
サウンズオブアースに対し、ゴール前でもうひと伸び。外から
トーホウジャッカルが迫っても最後まで先頭を譲らなかった。
レース後、ニュースサイトなどでは
“ダービー馬の底力”というフレーズが多く見られた。そう思わせるだけのレースぶりだったことは確かだろう。人間の場合は
“地位が人を作る”という言葉があるが、馬の場合は
「自分はダービー馬だから頑張らなきゃ!」と考えたりはしないはず。それでも、
ダービーを勝つほどの馬は、このような苦しいレースでも勝ち切るだけの底力を持っているのは間違いのないところ。
そして、今回
“ダービー馬の底力”を発揮して勝利したことは、過去の傾向を振り返っても
本当に大きなことだったと思われる。
というのも、過去10年の
神戸新聞杯を1番人気で勝った馬は6頭。その中で
菊花賞に出走した馬は4頭(
ディープインパクト、オルフェーヴル、ゴールドシップ、エピファネイア)いて、
すべて菊花賞でも勝利しているから。
逆に、
神戸新聞杯で1番人気に推されて敗れた4頭(
メイショウサムソン、フサイチホウオー、アンライバルド、エイシンフラッシュ)は、すべて
次走で馬券圏外に敗れている。
そういったことを含め、今回の
ワンアンドオンリーが
サウンズオブアースにつけたアタマ差は、本当に大きな差だったのかもしれない。
また、②着に敗れた
サウンズオブアースも直線で大きく外に振られる場面があり、それさえなければ……と思わせる好レースだった。③着に差し込んだ
トーホウジャッカルを含め、展開次第では本番でも浮上してきて不思議はないだろう。
先週の
セントライト記念を制した
イスラボニータがどこに向かうかはまだ不透明だが、もし
菊花賞に向かえばさらに盛り上がるのは必至。もしそうなれば
ダービーで一騎打ちを演じた直線が再現されるのか、最後の一冠の行方が楽しみだ。