ミッキーアイルにとって、課題と可能性が同時に見えてきた
文/編集部(T)、写真/森鷹史
逃げ馬には、いつもゴール寸前で
「交わされるか、粘り切れるか!?」というスリルがつきまとう。皆さんの中には、
「そのスリルが楽しい」という方もいらっしゃるでしょう。自分はメンタルが豆腐並みに柔らかいので、直線ではだいたい伸びてくるし、その伸びる様子で
「あ、これは届く」や、
「これは難しいかな」と推測できる
追い込み馬の方が好きです(笑)。
ということで今回、
ミッキーアイルを買っていた人は、どのような気持ちで直線を見ていたでしょうか。直線で一旦セーフティリードをつけたかと思いきや、最後は
サンライズメジャー、
フィエロの急追を受けて②着の
サンライズメジャーに半馬身差。見た目は辛勝での勝利だった。
さらに、ここ数戦の
ミッキーアイルはスタートがあまり良くない。
アーリントンCまでは抜群のスタートを切っていたことを考えると信じがたいが、
NHKマイルC以降はスタートがひと息で、行き脚の良さでハナに立つ形になっている。
逃げ切れるかどうかでも気を揉むのに、まして
スタートに不安があるとなると、自分の精神力では耐えきれない(笑)。
「今後ミッキーアイルを馬単や3連単の頭に固定して買うことはないんだろうなあ」と、諦めているのが本音だ。
そして今回も、
ミッキーアイルのスタートはあまり良くなかった。一旦は好スタートを決めた
ベルカントにハナを譲るかと思わせたが、外からしきりに
浜中騎手が内を窺いながらジワリとハナに立つ形をとった。レース後に
浜中騎手が
「あまり他馬に近づけると力んでしまう」と語ったことでそれが裏付けられるが、結果的に
外枠が吉と出たのだろう。
と同時に、今後の課題も改めて浮き彫りになった。今回は
13頭立て馬番11番だったこともあってスタート直後に揉まれることがなかったが、
多頭数の内枠に入ったり、
外枠にダッシュの速い馬がいるケースなど、
今後は簡単にいかないこともあるだろう。
いずれにしても、以前のようなスタートダッシュが戻らなければ、意外な苦戦があっても不思議はないのではないだろうか。
ただ、課題ばかりではない。
スワンSを制した3歳馬は、昨年の
コパノリチャードに続いて2年連続。
浜中騎手騎乗で、
逃げ切りというのも2年連続となる。あまりに似ているので、昨年と今年のラップを比較すると、以下のようになった。
13年:12.3-11.3-11.7-11.5-11.2-11.1-11.714年:12.4-11.2-11.5-11.3-11.2-11.0-11.7昨年と今年で、
ラップはほとんど変わらない。今年の
前半600m通過は35秒1で、午前中に雨が降って湿り気味の馬場だったことはあるが(発表は良)、
NHKマイルCでは前半34秒6で逃げ切った
ミッキーアイルとしては、
さほど速いペースでもなかったと推測できる。
スワンSは芝1400mという距離設定もあり、年によってスプリンター寄りとマイラー寄りのレースになる。
コパノリチャードが後に
高松宮記念を制したことから、今年の
スワンSはスプリント寄りのレースで、
ミッキーアイルがスプリント戦に対応できるスピードがあると考えることも可能だろう。
現時点でディープインパクト産駒に一流スプリンターといえる馬はいないが、
ミッキーアイルがそうなっても不思議はない。
ミッキーアイルにとって課題も見えてきたが、同時に可能性も見えてきた
スワンSだったといえるのではないだろうか。