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京都得意の血統が、この舞台で花開いた
文/編集部(T)、写真/川井博


今年から、冬シーズンの重賞のフルゲート頭数が通常と同じになったため、今回の日経新春杯62回目にして最多の頭数となる18頭立てとなった。

フルゲートのハンデ戦、さらに出走馬にG1勝ち馬が1頭もいないメンバー構成の重賞ともなると、「荒れまっせ~!」と大声で主張しているようなもの(笑)。実際、1番人気に推された昨年の勝ち馬サトノノブレスの単勝オッズは最終的に4.0倍で、混戦模様となっていた。

この“4.0倍”というのが、個人的にひとつのポイントとなった。というのも、『WIN5攻略法』「過去10年の日経新春杯で、5番人気以内の馬が勝った8回はすべて1番人気馬の単勝オッズが3倍台以内だった」と示していたから。

前日最終オッズでサトノノブレスのオッズは4.3倍で、当日は一時5倍台となることもあった。この時点で「荒れる」と見て馬券を買ったのだが、レース直前の15時台になってサトノノブレスのオッズが急落。15時時点で4.8倍前後だったオッズが、最終的に4.0倍まで落ちた。自分はこの日センター試験を受けていた受験生と同じくらい、「落ちるな~!」と願っていたかもしれない。

これで上位人気馬が勝っていたら目も当てられなかったのだが、勝ったのは6番人気のアドマイヤデウス。いろいろな意味で、ギリギリデータに当てはまってくれた、とさせてください(苦笑)。

それにしても、アドマイヤデウスには驚いた。昨年の若葉Sまでは③②①③①①着と安定して上位争いしていたが、皐月賞⑨着、ダービー⑦着と、「一線級では微妙なところか……?」と思われかけていたところだった。

ただ、結果的に見ると、昨年の若葉S②着馬が今年の京都金杯を勝ったウインフルブルーム、③着馬サウンズオブアースが昨年の菊花賞②着馬。特に驚くことではなく、これらに先着していたことですでに力は示していたということなのだろう。

さらに、直線で迷いなく内を突いた岩田騎手の好騎乗も見逃せない。いずれにしても、ダービー以来7ヵ月半ぶりで見せたこの強さで、堂々と今後のG1戦線に名乗りを上げる結果となった。

アドマイヤドン産駒としても、これが初のJRA重賞制覇となった。アドマイヤデウスの近親には06年の日経新春杯勝ち馬アドマイヤフジ、京都芝2000mの現レコードホルダー・アドマイヤコスモスがいる血統で、京都が合うのだろう。祖母アドマイヤラピスも京都芝3000mの嵐山S①着、ステイヤーズS②着の実績があり、距離も融通が利きそうなので、天皇賞・春に出走してきても軽視は禁物かもしれない。

最後にひとつ。今回のスタート前、ゲート入りが終わり、赤ランプが灯った時にムーンリットレイクトモを落としてしゃがむような場面があった。そこでスタートを切られていれば、おそらく出遅れてしまっていただろうが、スターターの方は再度態勢を整えるまでワンテンポ待ち、結果ムーンリットレイクは好スタートを切ることができた

「ゲートでトモを落としたときにスタートを切られて出遅れてしまい……」というレース後のコメントを聞くことは多い。皆さんも経験があると思うが、それが馬券を買っていた馬だと、余計に納得できない思いが残るものだろう。

レースをフェアに進めるのはジョッキーや馬だけでなく、スターター、ゲート係、裁決委員などなど、競馬場のスタッフの力も欠かせないことを、再認識させてくれた出来事だったように思う。

結果的にムーンリットレイクは⑫着だったが、馬券を買っていた自分も納得です(苦笑)。