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【対談・田辺騎手④】掛かっているように見えなくても、掛かっていることもある
2015.2.3
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田辺裕信騎手…以下[田]
丸山元気騎手…以下[丸]
西塚信人調教助手…以下[西]

[田]ここで少し、スペシャルゲストである元気の話をしましょう。

[丸]えっ、別に大丈夫ですよ。ゲストというか、何も言われずに来ちゃっただけですから。

[西]まあ、そう言わずにさ(笑)。元気は今年何年目?

[丸]7年目ですね。

[西]今年の目標は?

[丸]目標ですか。去年は怪我をしてしまったので、今年は怪我しないようにしたいです。

[田]怪我したところを写真撮影してもらえよ。



[西]あっ、酷いね。怪我は本当に大変だよね。

[丸]怪我をして、改めて馬の上にいたいと思いましたよ。

[西]元気と言えば、アユサンだと思うんだけど、引退が発表されました。アユサンには教わったことがあると思いますが。

[丸]勝負の厳しさ、ということはありますね。結果を出さなければ乗り替わりとなってしまいます。だからこそ、それでも乗せて続けてくださったオーナーには本当に感謝しています。

[西]オークスは何番人気だったの?

[丸]3番人気でしたね。

[西]田辺、クラシックで上位人気ってある?

[田]ないですよ。

[丸]あのときは緊張していましたね。

[田]俺も緊張していたよ。元気がどう乗るのかってさ。心配していたんだよ。

[丸]俺も引っ掛かるんじゃないかって、心配していました。でも、いま思えば、あのような感じで無難な競馬をしては駄目なのかな、と思うんですよ。

[田]でも、あれは勝負していたって。終始内にいたんだから。

[西]掛かりそうだな、と思わせるところがあったんだね。

[田]ちょっと前から思うことなんですけど、競馬終わって引き上げてきて、自分は「いやぁ、引っ掛かった」と思っているのに、意外に気がつかれていないんだよ。

[丸]それはありますよね。

[田]引っ掛かったところは見られていないのに、詰まったとか、そういうところばかり見られていたりするんだよ。

[丸]わかります。

[田]自分では、道中噛んでしまって、脚を使っちゃったなぁと敗因を説明しているのに、直線詰まったからな、とか言われることがあるんですよ。

[西]えっ、マジ。

[丸]開かなくて、待たされたからこそ脚が溜まって伸びてきているとも言えますからね。

[西]そうだよね。でも、それが聞き入れられなかったりするんでしょ。

[田]ということで、元気はわざと詰まっているということだよな(笑)。

[丸]そんなことはありません(苦笑)。でも、以前乗せていただいた小西厩舎のオリオンザポラリスという馬がいました。

[田]あー(笑)。

[丸]あの馬で詰まったとき(13年播磨S)だけは、開いていれば勝っていたと思います。本当に抜群の手応えだったんです。

[西]あ、そうだったんだ。

[田]もみくちゃにしてたもんな(笑)。直線でみんな追っているのに、もう引っ張りまくっていた。

[丸]引っ掛かるところがあったんですが、あのレースはペースが流れてくれて折り合っていたんです。

[西]前も速いし、開くと思ったんだ。

[丸]外の方が良いと思って行ったら、内が綺麗に開いて、外が開かなかったんです。あれは開いていたら勝っていたと本当に思いました。あそこまで詰まるとは思いませんでした。

[田]暴れろよ(笑)。

[西]追っていれば勝っていた、という意識にはやはりなるんだ。

[田]いや、追っているか追っていないかというよりは、引っ張っているか、放しているか、ということですよ。

[西]なるほどね。でも、本当に引っ掛かったということはあまり言わないかも。詰まっていなかったら勝っていたかも、という方が多いね。ただ、ナンセンスだとは思う。

[田]理解してくださる先生もいらっしゃいますよ。

[西]とは言っても、それを言っても元も子もなくなってしまうよね。そんなことを言っていたら、外しか回らなくなってしまうことだってあり得るからね。

[田]それはそうですよ。

[西]田辺の十八番であるセコ乗りはそれじゃ成立しないでしょ。外を通るのは、能力が上だったり、手応えがあったりする時だったりするよね。

[田]あと、負け面を良くすると言えば良いのか、納得してもらいやすいように、外を回す人たちもいますよね。

[西]なるほど。観ている人たちに納得してもらうためということだよね。

[田]関係者だけではなく、馬券を買っているファンの人たちも「これで負けたら仕方がない」と思ってもらえるということでしょうね。

[西]わかるよ。でも、我々関係者がファンの人たちと同じ視点で観ていては駄目じゃない? 俺は駄目だと思う。

[田]駄目だと思いますよ。でも、内で詰まったから乗り替わりになっているケースもありますし、それを叩く人たちがいるのも現実なんですよね。

[丸]まあ、人それぞれ考え方が違いますからね。

[田]そうなんですよ、信ちゃん。

[西]いや、わかるよ。でも、例えば元気が内を突くとき、それは勝つためであって、外を回していたら勝てないからだよね。

[丸]そうですよ。外を回したら間に合わないか、それか外にスペースがないかですけどね。

[西]ブッチャけてしまえば、能力が抜けていれば、力が上ならば、あるいは持ったままの手応えがあるならば、外を回しているということだよね。

[田]あとは、スタートから外に持ち出すタイミングがないときですね。

[丸]みなさんが、西塚さんのような考えを持っていただければそれは良いですが、そうじゃありませんから。

[田]よし、今日は丸山元気が主役だ。

[丸]はあっ?

[田]今日、何時間も話をしてきたけど、一番まともなことを言ったよ。

[西][丸](爆笑)

[西]あと、直線で騎手たちが最後追うのをやめることがあるよね。あれも、意味があってのことじゃない? もし手応えが少しでもあるならば追うわけでしょう。ファンの人たちが言うならばまだしも、プロである関係者は言っちゃ駄目でしょう。よく(横山)ノリさんのことを言ったりする声を聞くけどさ。

[丸]絶対にノリさんは考えた上での行動ですよ。

[西]例えば歩様が悪いとか、手応えがない、あるいはそれ以上やってしまってはマイナス面しかないなど、いろいろあるはずでしょ。

[田]ちなみに、手応えがないときにステッキで叩くと、どうなるか。はい、丸山君。

[丸]それは横にヨレます。

[田]その通り。さすが丸山君(笑)。

[西]そこにはプロとしての考えがあるはずなんですよ。少し真面目な話をしましょう。

[丸]少なくとも、ノリさんのレベルの方がやめるということは何かあります。

[西]海外では、手応えがなければ追わないという意識だと言うよね。次のレースを考えたとき、ダメージが残らないためという考え方ですよ。

[田]日本の不思議なところは、ステッキで叩き過ぎたら制裁。でも、手応えがないからと言ってケツをあげたら制裁。馬に対してもタイムオーバーが適用されますからね。

[西]一体、何がしたいのかという話だよね。

[丸]矛盾を指摘されてしまうところでしょうね。

[西]そういうことだよね。元気が言うように、いろいろな意見を言う人たちがいて、そういう人たちとも上手く付き合っていかなければならないということはわかる。でも、馬のことを考えて、より良くしていくときの本質、いやもっと言えば馬そのものの本質論としては、そうじゃないと思うんだよ。だって、見ていたら全く普通だけど、本当は引っ掛かっていることってあるでしょ。でも、それは教えてもらわないとわからなかったりするわけですよ。

[田]見ただけではわからないこともありますからね。じっとして乗っているつもりでも、馬はもうハミを噛んで、力んじゃっていることはあります。

[西]そうならば、教えてもらいたいよね。聞いた上で、そこから馬へアプローチしていくべきだよ。そういうところを聞かない人は意外と多い。まあ、それでいいと思うなら、いいんだけどね。

[田]まあ、どうしても目につきやすいし、印象にも残るから、直線だけ見ている感覚が強いのかもしれませんよね。

[丸]確かに。

[田]内が開いたらブラボー! 丸山、ブラボー(笑)。

[西]でも、そこで詰まったら「何で外に出さないんだ」ということになるよね。

[田]簡単に言えば、みんな勝ちたいんですよ。何とか勝とうと思って乗っているんです。最初から外出せば勝てるというならば、みんな外に出しますよ。

[西][丸](笑)。そうですよね。

[西](小林)久晃さんが、「実際に乗っていると3Dなんだよ」って言っていたけど、見ているだけではわからないことがたくさんあるんだよね。

[田]外が開いているのは画面で見ればわかりますが、実際乗っていて最内にいると外は見えなかったりしますし、隣の馬さえ何かわからないこともあります。

[西]我々調教する側は、それぞれの馬に対して、調教とレースを結びつけて、対応していくべきだと思うんですよ。それこそ、レースを見てもう少し負荷を掛けるべきだったとか、あるいは控えるべきだったというような話が出て良いと思うんだよね。

[丸]アユサンがオークスを走った後、手塚先生はそういうコメントしていましたよ。

[田]あのときは素晴らしかったよ。あれは完全にお前が悪いのに、手塚先生が庇ってくれたんだよな。

[西][田](笑)

[丸]感謝しています。

[西]位置取り云々も大事からもしれないけど、まずは仕上げがどうだったのかと、自分自身にベクトルが向くべきだと思うんですよ。

[田]なんか、格好いいですよ(笑)。

[西]いや、でもそうじゃないか。

[田]その考えはとても良いと思いますよ。

[丸]なかなか難しいのかもしれないですけど、そうだと思います。

[西]いやぁ、とても良い話をさせていただきました。もっと続けたいのですが、時間もありますので、そろそろと思います。最後に、田辺は今年もないとは思いますが、お二人に今年の抱負をお願いします。

[田]無事これ名馬ですよ。

[丸]怪我をせず、騎乗停止にならず、1年間休むことなく、乗っていられるように、ということですよね。

[田]無事これ名馬で。ほら元気も言えよ。

[丸]言いましたよ。

[田]何だよ。今年はどこの女を口説くんだよ。

[丸]そんなこと言ってませんよ。また、そうやって言うから誤解されるんですから、やめてください(笑)。

[西]ということで、対談はここまでとしましょう。今年1年よろしくお願いしますということで、また来年もお願いします(笑)。



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