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勝者は「してやったり」の競馬、他の有力馬は見せ場なく…
文/安福良直、写真/森鷹史


今年の桜花賞は、複数の無敗馬を含む数頭の有力馬の争い、と言われていた。似たような状況が昔あったような気がすると思っていたら、思い出したのが1991年の桜花賞。24年前ですね。

このときは5戦5勝イソノルーブルが1番人気で、牡馬相手に重賞を勝ったことがあるスカーレットブーケミルフォードスルーが上位人気を占める中、勝ったのはもう1頭の全勝馬(3戦3勝だった)シスタートウショウ。そして、②着には13番人気のヤマノカサブランカが突っ込んできて、馬連も存在しなかった時代で枠連226.3倍の大波乱となった。

そのときの例にならうなら、今年も有力馬の中の1頭が勝って②着は人気薄か、と勝手に考えていたところ、結果は5番人気のレッツゴードンキが勝って、②着は7番人気クルミナル。馬単で173.7倍だから、24年前ほどではないけど今回も波乱と言っていいだろう。やはり歴史は繰り返すようだ。ただ、筆者「勝つのは1番人気じゃない方の無敗馬!」と勝手に思い込んでキャットコインに行ってしまい、馬券は惨敗。予想は半分だけ正しい程度ではダメ、ということですね。

さて、レース内容は24年前どころか、これまでの桜花賞では見られなかったほどの超スローペースになった。最初の3ハロンの通過が37秒1、そして4ハロンがなんと50秒ちょうどだ。最近の桜花賞は昔ほどハイペースにならなくなっているが、それでも最初の3ハロンで36秒以上かかったことはなく、今年のペースは異常としか言いようがない。

そして、そのスローペースをうまく味方につけたのが、勝ったレッツゴードンキ。スタートして、好ダッシュを見せたムーンエクスプレスノットフォーマルに逃げる気がないのを見るや、すかさずハナに。今回はこれがいちばんの勝因だろう。

レッツゴードンキがハナに立った瞬間は、「えっ! ハナに行っちゃっていいの?」と思ったものだが、戦績を見れば前走のチューリップ賞でも途中から先頭に立つ競馬をしているし、岩田騎手はレース前から逃げてもいいと思っていたようだ。

馬の経験と鞍上の意思がうまくかみ合ったが、阪神JF②着の実力馬にこれだけ楽に行かせてしまえば、上がり3ハロン33秒5の脚で悠々と逃げ切ってしまうのは当たり前の話。レッツゴードンキ陣営としては「してやったり」の競馬だが、他の有力馬たちはいったい何をしていたのか、と言わざるを得ない内容だった。

ちなみにレッツゴードンキの母は、関西1000万下ダート短距離の常連だったマルトク。現役時代を知っている人からすると、その娘が芝のクラシックを勝つシーンは想像しづらかったかもしれないが、マルトクは逃げ・先行で活躍していた馬でもあるので、今日のレースぶりは母が授けたものと言っていいだろう。

オークスの2400mはさすがに厳しいかもしれないが、母系には長距離得意なリアルシャダイ の血も入っているし、ハナに立っても折り合いを欠く心配がないのは大きな武器。オークスに出走してくれば軽視、というわけにはいかないだろう。

レッツゴードンキには差をつけられたが、②&③着にはディープインパクト勢クルミナルコンテッサトゥーレが入った。人気はあまりなかったけど、さすがは桜花賞4連勝中だったディープ産駒という感じか。スローペースで瞬発力勝負になったのもプラスに働いた。

それにしても、他の有力馬たちが、揃って見せ場なく凡走したのは残念としか言いようがない。クイーンズリングは最後にいい末脚を見せて④着には来たが、エンジンがかかるのが遅かった。ココロノアイは前半で折り合いを欠いていたし、キャットコインは馬体が減ってイレ込みも激しかった。3頭ともここまでの戦績を見ると、スタートがあまり上手ではなく、サッと好位につけて抜け出すという経験が十分にできていなかったのが響いた感じだ。

それ以上にガッカリさせられたのが、単勝1.6倍の断然1番人気に推されながらも惨敗したルージュバック。24年前に1番人気で敗れたイソノルーブルは、レース直前に落鉄し、イレ込んで蹄鉄を打たずに発走していたのだが、ルージュバックにはそんなアクシデントもなく凡走。不可解ではあるが、これまで多頭数の競馬を経験したことが一度もなかったことがどうやら裏目に出たようだ。

スタート直後は好位にいたのに、次から次へと来られてズルズルと下がってしまい、4コーナーでは圏外としか言いようがない位置で戦意も喪失。24年前のイソノルーブルオークスを逃げ切って雪辱を果たしたので、ルージュバックにもぜひ巻き返してほしいところだが、それには多頭数対策をどう練るかがカギになりそうだ。