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スローペースであっても、この上がりで好走したことは評価すべきでは
文/編集部(T)、写真/川井博


戦前から「今年は逃げ馬不在」と言われていた今年の京王杯SC。スローで切れ味勝負となるイメージはわいてきたが、ここまでとは……と、我々ファンだけでなく、騎乗していた騎手でさえも、そんな感想を抱いただろう。

なにしろ、前半600m通過が36秒0。これは当然ながら90年以降ではもっとも遅く、2番目に遅かった06年(オレハマッテルゼが逃げ切り勝ち)より0秒8も遅かった。

こうなってしまっては、後方待機組は苦しい。さらにスローペースのレースでありがちなことだが、馬群が団子になって進路を塞がれる馬が続出。一昨年の覇者で1番人気に推されたダイワマッジョーレは33秒3の上がりで伸びたが、内にいたことで進路がなく、不完全燃焼の一戦となってしまった

そんな中、スムーズなレースをしたと思えるのが勝ち馬のサクラゴスペルと②着のヴァンセンヌ、そして先行して③着に粘り込んだオメガヴェンデッタサクラゴスペルは直線入口ではダイワマッジョーレと同じような位置にいたが、こちらは馬群の外に持ち出せたことできれいに開いた前をスイスイと伸び、粘る先行馬たちを差し切った。

正直に言うと、自分はサクラゴスペルを軽視してしまっていた。東京芝1400mを得意としていたのは分かっていたが、12年のこのレースで⑮着に大敗していたことで「一度このレースで大敗した馬がどこまで?」ということが頭から離れなかった。

とはいえ、昨年の勝ち馬レッドスパーダもその前年の京王杯SCで⑫着に大敗していた。逆に、過去にこのレースで好走したダイワマッジョーレ(13年①着→15年⑩着)やエールブリーズ(14年③着→15年⑦着)が着順を落としているように、以前の成績が関係ないレース傾向に変わってきている可能性はありそうだ。

ただ、京王杯スプリングCでは11年①着→12年④着と着順を落としながら、安田記念では11年②着→12年①着と着順を上げたストロングリターンのケースもあるので、ここでの成績が安田記念に直結するとは限らないことは覚えておきたい。

また、展開を考えれば、もっとも強い競馬をしたのはヴァンセンヌだったかもしれない。思い切って最後方に控えたことで前の馬群を避けて直線でスムーズに外に持ち出せ、サクラゴスペルの後を追うように伸びて最後はアタマ差まで詰め寄った。

この2頭が記録した上がり3ハロンタイムは、サクラゴスペルが33秒3、ヴァンセンヌが32秒7。このコースとしては限界に近い末脚を繰り出した。

この末脚にペースの恩恵があったことは承知だが、それでもこれだけの上がりで好走したことは評価すべきではないかと思う。というのも、90年以降の京王杯SCで33秒3以内の上がりを記録して連対した馬は、以下の7頭のみとなる。

年・着順 馬名 上がり おもな戦績
99年①着 グラスワンダー 33.3 有馬記念2勝
08年①着 スーパーホーネット 33.0 安田記念②着
08年②着 キストゥヘヴン 33.2 桜花賞①着
10年②着 マルカフェニックス 32.9 スワンS①着
11年①着 ストロングリターン 33.1 安田記念①着
12年①着 サダムパテック 33.3 マイルCS①着
12年②着 レオプライム 32.8 特になし

その後1戦のみで引退したレオプライムを除くと、いずれもG1やG2で活躍した馬で、特に京王杯SC①着馬に注目すると4頭すべてがマイルG1で好走している(グラスワンダーは次走で安田記念②着)ことがわかる。

繰り返しますが(笑)、スローペースではあった。とはいえ、これだけの末脚を繰り出して好走するのは実力がなければできないことのはずサクラゴスペル自身一昨年の安田記念ロードカナロアから0秒4差⑤着に好戦した実績もある馬なので、今年出番があっても驚けないだろう。

近2年の安田記念京王杯スプリングC組が馬券に絡んでいないが、ヴァンセンヌも含め、今回の上位馬が安田記念に出てきたら、台風の目になりそうだ。