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【対談・佐藤博紀師③】JRAに参戦する地方騎手には、かなりの苦労があるはず
2015.5.19
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佐藤博紀・川崎競馬調教師…以下[佐]
西塚信人調教助手…以下[西]

[西]少し前、ある馬主さんに、「中央で除外が続くから大井に持っていく」と言われたことがあったんですよ。中央が除外で使えないならば、大井で2回使って、手当をもらった方が良いということなんです。中央の準オープンで1800m、1600mのダートを走っている馬たちって本当に強くて、層が厚いんです。そういう馬たちが移籍して、地元の重賞レースを勝ったりしていますよね。

[佐]僕もビタースウィートという馬に乗せていただきましたが、あの馬も準オープンまで行った馬でしたね。移籍して3連勝で重賞制覇(13年東京シンデレラマイル)したんですよ。

[西]それですよ、それ。いま第2、第3のビタースウィートがたくさんいるんです。中央の1000万を勝つというのは、結構大変だと思いますよ。

[佐]そうなんだぁ。そういう意味では、準オープンは層が厚いということですよね。

[西]1000万、準オープンと勝って、『よし、オープン』と思っても、これがまた意外と通用しないんですよ。そういう馬たちが地方へ移籍して、また戦うわけですからね。あ、それともうひとつ聞きたかったんですが、地方は勝たなくてもクラスが上がって行くという現象があります。これはどういうシステムなんですか?

[佐]まず例として、南関ではA、B、Cというクラス分けがされています。そしてそれぞれの年齢によっても分け方が違うんですが、5着までの獲得賞金によってクラスが分類されるんです。極端な言い方をすれば、2着ばかりを続けていると、勝っていなくても上のクラスになっていくんです。

[西]そこがよくわからないんですよ。

[佐]よく言われますよ。でも、僕たちからすると、JRAの、特に未勝利に関する出走のルールとか、最初はなんだかわかりませんでした。

[西]そういう感覚の違いはありますよね。話は変わるんですが、今回は美浦に研修に来て、毎日調教に騎乗されていますが、川崎だと何時から調教が始まるんですか?

[佐]2時半ですね。

[西]出ました(笑)。

[佐]僕だと2時には起きて、厩舎に向かっています。

[西]ぜひ、その話はお聞きしたかったんですよ。川崎はナイター開催がありますよね。それで2時に起きて、2時半から調教というわけですか。



[佐]最終に乗っていたとします。すると、21時です。そこからお風呂に入って、食事をするとほぼ12時前に就寝というリズムになります。

[西]そうなりますよね。どんなに急いでも11時くらいに寝たとして、それでも3時間ですよ。

[佐]仮眠みたいな感じですよね。ですから、川崎開催は楽です。移動がありませんので。大井のナイターの最終レースとかだと大変だったりします。夢のなかに馬が出てきたりもしましたよ。

[西]そうなんだぁ。

[佐]もちろん調教が終わった後に、仮眠する時間はありますよね。

[西]2時半から攻め馬が始まって、何時に終わるんですか?

[佐]大体、8時過ぎくらいですかね。

[西]そこから大井競馬場でナイター1レースに騎乗するとします。すると?

[佐]そのときは、12時に競馬場が用意してくれる送迎に間に合うように準備します。

[西]そうなるとどんなに寝ても3時間半くらいしか眠れないですよね。

[佐]みんなそんな感じですよ。

[西]全盛期のウチパクさんとか、そりゃ大変だったでしょうね。

[佐]調教こそ、僕みたいな中途半端な騎手ではないので頭数を抑えていたとは思いますが、土日はJRAでしたし、大変だったと思います。

[西]土日はどうなっているんですか?

[佐]いつも通りに調教して、午後はフリーなので寝ていますね。

[西]そりゃ、そこで寝だめしないとキツイですよね。騎手の方々も大変ですが、我々と同じような厩務員さんをはじめとする厩舎スタッフの方々も大変ですよね。あ、全休日ってどうなっているんですか?

[佐]川崎は地元開催の場合は、月曜日から金曜日まで開催があって、その土曜日が半休、日曜日全休となっています。そうではないときには、不定期ですね。厩務員組合が決めています。



[西]でも、川崎が休みでも大井とか他の競馬場では開催が行われていますよね。

[佐]もちろん馬を使う厩務員さんや、騎乗予定がある騎手は仕事がありますので、僕は月1日休みがあればいい、というときもありました。

[西]半端ないですよね(笑)。

[佐]年間で3日しか休みがないこともありましたよ(笑)。

[西]動きっぱなしですか。

[佐]でも、それも慣れだと思います。いま考えれば良くできたなぁという思いもありますが、ガムシャラでしたし、みんなが同じ条件ですからね。

[西]確かに、みなさん同じなんですが、それにしても凄いと思いますよ。どうですか、美浦で働いてみてどんな感覚を覚えますか?

[佐]よく時間のことを言われますが、研修させていただいて感じたことは、馬に対して強く思いを持っている人もいれば、淡白な人もいるというのは同じで、ただ馬が好きでこの仕事をやっている人たちが集まっているということは感じます。もっと言えば、向上心がある人はありますし、感じられない人は感じられないというのは、JRAとか、地方とかじゃないですね。

[西]それは僕も思います。

[佐]あとは、競馬サークルの人たちって、お酒を飲むとみんな楽しい人が多いじゃないですか。

[西]それは間違いありません(笑)。来るにあたって不安とかもあったんじゃないですか?

[佐]緊張はありましたよ。でも、実際に来てみると、本当に良くしてもらって、楽しくて、とても充実した時間を過ごさせていただいています。それこそ、『あっ、サトパクだ』と声をかけていだいて、緊張が和らぎました。他の助手さんたちにも紹介していただいて、本当に嬉しかったです。

[西]いやぁ、観ていたり、一緒になったりして、地方所属の方々がJRAで行われる指定交流レースに出走するときというのは、それこそ一世一代じゃありませんがかなり意気込んで行くという思いを感じることがあるんです。例えば、それほどうるさくない馬をスーツ姿で、2人で引いたりという光景をみかけます。それは我々がG1レースのときに、スーツを着て2人引きするのと同じ感覚なんだと思うんですよ。

[佐]やはりJRAは大舞台ですかね。僕は背筋が伸びる感覚になりましたし、いつも以上に力が入りましたよ。

[西]佐藤さんは、東京で乗っていらっしゃいましたよね。

[佐]はい。あと福島ですね。

[西]あ、福島でも乗っているんですね。と言いますか、そもそもなぜJRAではなくNARを受験されたんですか?

[佐]僕は体重が重かったんですよ。当時JRAさんは42、3kgが基準で、1年高校に行っていてラグビーをやっていたこともあり、49kgだったので断念しました。でも、NARは45kgだったので、そこまでは減量したんですよね。

[西]でも、面白いもので、入るときにはJRAの方が厳しいのに、レースでは地方騎手の方が軽い斤量のレースが多くないですか。

[佐]えっ、そうですか。

[西]交流レースで3歳牝馬が53kgというレースが結構あったはずですよ。JRAは54kgですからね。以前、田辺に騎乗依頼をしたときに、『えっ、53なの?』とボヤイていましたから(笑)。

※次回に続く

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