枠順が噛み合って見事な“敗者復活”を披露した
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
「
目黒記念」の“目黒”は、かつて存在した
目黒競馬場に由来している。それは現在の
東京競馬場の前身ともいえるもので、
ワカタカが制した第1回(1932年)と、
カブトヤマが制した第2回の
ダービーが開催されている。
目黒記念が春シーズンに移ったのは97年、
ダービーと同日の開催になったのは06年から(11年のみ
ダービー前日の開催)になる。そういった背景があるだけに、
目黒記念と
ダービーを同日開催にしたのはシャレた計らいだと思えないだろうか。
そういった背景はともかく、ダービーデーの最終レースということは、ある意味
“敗者復活戦”でもある。そして、自分は3年連続で
ダービーの
“敗者”となってしまい、
“復活”できなかったのも3年連続となってしまった(苦笑)。
そんなふがいない自分とは逆に、
ヒットザターゲットは
見事な復活劇を見せた。最内枠から中団の内に控え、直線半ばで追い出されると進路を探しながらジワジワと差を詰め、先に抜け出した
レコンダイトを内から並ぶ間もなく差し切り。ちなみに、
ヒットザターゲットは
13年目黒記念で④着に敗れており、二重の意味での
敗者復活となった。
その
ヒットザターゲットは近3走が
小倉大賞典⑫着、
中日新聞杯⑨着、
新潟大賞典⑪着と崩れていたが、個人的にはそれぞれのレースの
週中まで気になる存在ではあった。
というのも、同馬はこのレース前まで
馬番5番以内だとG1を除くと[7.2.0.4]。重賞3勝はいずれもこの条件で挙げていた。なので、週中までは
「もし内枠に入ったら狙ってやる……」と密かに思っていたのだ。
ところが、
小倉大賞典は馬番9番、
中日新聞杯は馬番13番、
新潟大賞典に至っては16頭立ての大外枠。予想に枠順を重視する方は想像いただけると思うが、
枠順が出た時の落胆といったらなかった。
それが、今回は
最内枠。今回騎乗した
小牧騎手も
「内枠が良いのは分かっていた」といった趣旨のコメントをレース後にしているので、ここは期するものがあったのだろう。
ダービーでは
ダノンメジャー騎乗で⑪着に敗れたが、こちらも見事な
敗者復活だった。
自分はというと、
“ここで買わずにいつ買う!?”という状況ではあったのだが、前述した通り馬券を外した。7歳以上の
キングカメハメハ産駒の
芝OP勝ちがまだなかったので、②&③着付けとしてしまったから。
重視すべきだったのは、ふたつ前のレースの
ダービーで、芝2200m以上の牡牝混合G1で1位入線がなかった(
ローズキングダムが
10年ジャパンCで2位入線繰り上がり勝利)
キングカメハメハ産駒の
ドゥラメンテが快勝したこと。すでに
リーディングサイアーも獲得している大種牡馬の勢いを素直に信頼すべきだったのだ。
②着の
レコンダイトはハンデ55kg、③着の
ファタモルガーナは56kgで、
ヒットザターゲットにとって
57kgは低くないハードルではあったが、それでも勝ち切ったことの価値は高いだろう。
ヒットザターゲットの次走はまだ不透明だが、97年以降の
目黒記念で、ハンデ57kg以上で勝った馬が次走で
宝塚記念に出走した時は④④③③着と安定して上位に食い込んでいる。01年
ホットシークレットは8番人気、07年
ポップロックは4番人気で、配当妙味も望めそう。
ヒットザターゲット自身も昨年の
宝塚記念で馬番4番から0秒7差④着、
天皇賞・秋が馬番2番から0秒2差⑤着に好戦している。コースにかかわらず、
枠順次第ではG1でもチャンスはありそうなので、自分は次のチャンスに
“敗者復活”を期したいと思うわけです。