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屈腱炎の見舞金制度が骨折と違う理由は、その特殊性から
2015.7.1
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以前、見舞金についてお話した時に、骨折に関して“全治”が見舞金の金額に準じているということをご説明しました。

その時に少し触れましたが、それ以外に競走馬にとって不治の病と言われる屈腱炎にも見舞金が支払われます。

ただ、骨折とは色々と違う点があって、金額や全治に関して分類されておらず、一律9ヵ月、150万円とされているのです。

“9ヵ月”と聞いて「えっ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。9ヵ月で復帰できるの?ということですよ。

屈腱炎の症状は損傷のパーセンテージで表わされますが、5%の軽度であっても、30%を超える競走生命に関わる重症など、様々な程度の差があるわけです。でも、どの馬も9ヵ月なんです。

そもそも屈腱炎は完治することが極めて難しいとされます。症状が治まって、再発しないかどうかというのが、僕自身の経験で言わせていただければ10%未満ならだいたい復帰できるし、損傷が20%程度なら半々、それ以上なら難しいように思います。

何か不思議な感じなんですが、でも骨折は完治しますし、それまでの経過も想像ができます。

それに対して屈腱炎は、競走に復帰するまでの時間の経過が予測できないですし、先程もお話したように“完治”と判断することが極めて難しいわけなんですよ。

制度面の話に戻ると、在厩日数に決まりがない骨折に対して、屈腱炎の場合は新馬ならば3ヵ月、出戻りならば6ヵ月、JRAの競走馬登録を受けた上での在厩が30日と期限があって、それに満たない場合には支払われません。同じ見舞金でもルールに違いがあるんですよね。

なぜ骨折に在厩日数などの規則がなく、屈腱炎にはあるのかと言うことですが、屈腱炎は発症した日時を特定するのが難しいからなんです。

そもそも見舞金は、“JRA施設内”という大前提があります。骨折ならば、その多くは入厩検疫の時点で発見、確認されることができますが、屈腱炎に関しては全頭エコー検査をするというのは現実的ではありませんし、なかなか発見することが難しいわけですよ。

屈腱炎の場合には入厩以前に発症していたという可能性もあるから、ある程度在厩していた馬に限る、ということなのです。

ブッチャけてしまえば、入厩する以前に発症している可能性がある馬に対しては支払われませんし、地方で競馬をしている馬たちはその段階で発症している可能性があるわけで、再登録して見舞金だけ貰って抹消することも可能だったりします。それを防ぐためのルールとなっているわけです。

話を戻すと、骨折と同じように屈腱炎も“9ヵ月”という期間を区切った診断が発表されますが、骨折と同じではないということなのです。

逆に、骨折の方は以前お話ししたように、6ヵ月と発表されていてもそこまでではなく、充分リハビリまでできてというように、“多目にみて”という感覚だったりします。

それに対し、屈腱炎については“9ヵ月”という発表をされても、9ヵ月後に復帰できるとは考えないようにしていただければと思います。

こういう見舞金は、日本独特のもので、これほどまでに手厚く保護されているのはJRAだけです。

そして、その原資は皆さんの馬券代の一部です。

馬たちが傷を癒す時間を過ごしているとき、その経費の補助として支払われる見舞金には、競馬を応援してくださっているファンの方々のお金が含まれているのです。

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