競馬の神様からの課題で、はっきり分かったこと
文/編集部(M)、写真/川井博
「メインレースの考え方」で記したことの繰り返しになるが、もう一度、00年以降の
函館記念勝ち馬をご覧いただきましょう。
【00年以降の函館記念勝ち馬】
年 |
優勝馬 |
馬番 |
前走着順 |
14年 |
ラブイズブーシェ |
3 |
② |
13年 |
トウケイヘイロー |
8 |
① |
12年 |
トランスワープ |
3 |
③ |
11年 |
キングトップガン |
4 |
① |
10年 |
マイネルスターリー |
6 |
④ |
09年 |
サクラオリオン |
16 |
③ |
08年 |
トーセンキャプテン |
4 |
④ |
07年 |
エリモハリアー |
4 |
⑪ |
06年 |
エリモハリアー |
3 |
② |
05年 |
エリモハリアー |
5 |
① |
04年 |
クラフトワーク |
6 |
⑤ |
03年 |
エアエミネム |
4 |
③ |
02年 |
ヤマニンリスペクト |
7 |
③ |
01年 |
ロードプラチナム |
10 |
⑦ |
00年 |
クラフトマンシップ |
13 |
⑧ |
※09年は札幌で施行優勝馬の
馬番と
前走着順を載せたもので、02年以降は
明らかな傾向が見て取れた。それは、
馬番8番以内の馬がよく勝っていること(02年以降の13年中12年で勝利・例外の09年は札幌開催)、それと、
前走④着以内の馬がよく勝っていること(02年以降の13年中11年で勝利)だ。
馬番8番以内で前走④着以内の馬を探せば、
とりあえず勝ち馬は簡単に見つけることができていたわけだが、今年はそのような馬がいなかった。競馬の神様に
いじわるをされた、というか、
新たな課題が提出されたわけだ。
「メインレースの考え方」では、◎を
レッドレイヴン(前走②着だが馬番13番)にして、○を
ハギノハイブリッド(前走⑩着だが馬番3番)、▲を
ダービーフィズ(前走⑥着だが馬番5番)にしたが、これは、
前走着順を重視しつつ、
枠順も考慮したもの。
玉虫色な印の付け方をして恐縮でしたが(笑)、今年の結果を受けてはっきりした。
函館記念は前走着順よりも枠順の方が重要なのだ。
競馬予想家の中には
枠順発表の前に印を打つ人もいて、そのような人たちにとっては、
函館記念は
受難のレースになるのではなかろうか。競馬新聞などを活用する人は、
その印がいつの時点で付けられたものか、考慮しながら予想に役立てるといいだろう。
函館記念の優勝馬が馬番8番以内からよく出ている(逆に言えば、馬番9番より外枠からは優勝馬が出ていない)のは、
道中でずっと外を回らされることがこたえるからだろう。
函館記念は函館開催の後半に行われ、馬場も荒れ気味になっている。
函館の芝は同じ洋芝でも
札幌より重く、終始外を回らされるのは
想像以上にタフなのだろう。
昨年は
ラブイズブーシェが外をマクるように動いて差し切ったが、同馬は
2枠3番で、前半は内で脚を溜めていた。少なくとも前半1000mぐらいは
真ん中から内目のポジションを取れる馬に有利に働くと覚えておきたい。
今年の場合は昨年以上に
速いペースで流れたことも、内枠の馬に有利に作用したのだろう。
マイネルミラノが逃げを打つであろうことは想像できたが、1000m通過
58秒6というのは想像以上だった。結果的に4角5番手以下の馬は馬券圏内に入れなかったが、これは後続の馬たちが
なし崩し的に脚を使わされたからに違いない。レースの上がり3F
36秒8が
厳しさを物語っている。
馬番8番以内の馬の中では
ハギノハイブリッドと
ダービーフィズが有力と見て、その2頭に重い印を打ったわけだが、正直なところ、
ダービーフィズはどこに適性があるのか、いまひとつ掴みきれていなかった。
小回りも悪くないような感じがしたものの、今年の2勝は
東京コースで、強くは推しきれなかった。
一方、
ハギノハイブリッドは穴ぐさ💨コメントに
「芝2000m以上では、レース上がりが33~34秒台の時が[0.0.0.6]で、35~36秒台の時が[3.2.1.1]。」と記されていた通り、
上がりのかかるコースを得意にしていることが明白だったので、攻めやすかった。それだけに4コーナーでは
勝った!と思ったんですけどねぇ。
これを書くと、
そんなことを忘れてたんかい!とツッコまれそうだが、
ダービーフィズは
マンハッタンカフェの近親で、
マンハッタンカフェと言えば3歳夏の
北海道開催で上昇気流に乗った馬だったんですよね。全姉
アプリコットフィズも3歳時に
クイーンS(札幌芝1800m)を制していて、
夏の北海道開催が得意な一族だった。すみません、
ダービーフィズがゴールした後に思い出しました(苦笑)。
ハギノハイブリッドは
レガシーオブストレングスの一族で、近親に
スティンガーや
フォーエバーマークなどがいる。
フォーエバーマークは一昨年の
キーンランドC(函館芝1200m)を制していて、その意味では今年の
函館記念は
北海道の洋芝での重賞で実績のある一族がワンツーを飾ったと言える。
函館記念の勝ち馬は次走で
札幌記念に進むケースが多いが、00年以降では、
札幌記念における
函館記念勝ち馬は[1.1.1.6]という成績だ。連対した2頭は13年①着の
トウケイヘイローと03年②着の
エアエミネムで、
トウケイヘイローは
函館記念が
ハンデ57.5kg、
エアエミネムは
ハンデ58kgだった。
同じ北海道の洋芝での
2000m重賞とはいえ、
函館と
札幌ではコース形態が異なり、適性がややズレる印象があるし、
函館記念と
札幌記念では
G3・ハンデ戦と
G2・定量戦という違いもある。
ダービーフィズは今回がハンデ54kgでもあったので、おじの
マンハッタンカフェのように夏の北海道シリーズを経て
G1の舞台に進むことができるか、次走以降が
試金石となりそうだ。