独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

歴史に名を刻む名牝となるのか、今後の活躍が大いに楽しみ
文/浅田知広、写真/森鷹史


秋華賞のメンバーを見渡して、ふと気づいたことがひとつ。桜花賞の②③着馬も、オークスの②③着馬も不在だったことだ。「G1馬不在」なら、残念ながらドゥラメンテが離脱した来週の菊花賞など、「パッと見」でわかることも多い。しかし、春二冠の②③着馬不在など、あまり気にしたことはなかった。

そんなメンバーだったら、オークス馬ミッキークイーンと、ローズSでこれを下したタッチングスピーチ。あとは桜花賞馬レッツゴードンキくらい買っておけば当たるんじゃないの、と思ったのだが。それはもう「実績通り」なわけで、その3頭で1~3番人気だった。

まあ、競馬なんてそんな簡単なものでもないだろう。そこで。「春二冠の②③着馬不在」なんて、過去にあったかと調べれば。今でいう秋華賞が、まだ4歳限定(旧表記)の「エリザベス女王杯」だった90年、その勝ち馬はキョウエイタップ4歳牝馬特別(現フローラS)の優勝馬である。もうレースも年齢表記もいろいろ変わってしまったが、今年に当てはめれば……フローラS優勝馬シングウィズジョイでいいのかどうか、これはこれで行き過ぎか(15番人気)。

しかし気づいた以上は買うしかない。予定していた馬券に加え、シングウィズジョイもちょろちょろ買って、いざ発走。なんと、そのシングウィズジョイ内田騎手が、激しく手綱をしごきまくり先頭に立ち………かけたところで、外からノットフォーマルなど3頭に楽に交わされ4番手へ後退。逃げ馬苦戦の傾向とはいえ、やっぱり穴なら逃げだろうと、一瞬は持った期待が一気にしぼんだ(ただ、4コーナーでミッキークイーンを外から交わす見せ場は作ってくれた)。

一方、ハナを奪ったノットフォーマルの前半3ハロン通過は、見た目上で33秒台(33秒8)で、画面表示の1000m通過参考タイムは57秒4と超ハイペース。人気どころでは、レッツゴードンキが序盤から掛かり気味にこの先行勢に加わって苦しい展開に。ミッキークイーンは、少々の出遅れからいったん好位まで取りついたが、道中で中団まで控えてぎりぎりセーフといったところか。そしてタッチングスピーチは、連勝したここ2戦と同様に後方待機である。

このペースでは差し馬の上位独占だろう、と思って見ていると、3コーナーからアンドリエッテがまくり上げるなど、さらに激しい展開に。中団馬群で存在感を消していたミッキークイーンは、次々と後続に交わされていき、そのまま馬券対象からも消えそうな態勢だった。

しかし直線、それでも前が詰まらなかった運もあり、そしてミッキークイーンの底力が発揮された場面でもあり。一瞬は差し切れそうに見えたアスカビレン(⑦着)やアースライズ(⑤着)も、ゴールまで勢いは続かなかった。そして最後は、クイーンズリングがじわじわと迫ったが、どうにもこうにもゴール板までの距離が足りない。オークスでも坂上の「もうひと押し」でタイトルをもぎ取ったミッキークイーンが、再び粘り強い末脚を発揮して二冠を達成した。

オークス秋華賞(旧エリザベス女王杯、その前身のビクトリアC)の二冠馬は、ミッキークイーンで5頭目になり、もちろんすでに名馬の仲間入りである(牝馬三冠馬はほかに4頭)。

その二冠馬を挙げれば、初代・74年のトウコウエルザは、古牝馬路線が整備されていない時代に、翌秋の天皇賞や76年の宝塚記念で牡馬相手に着と健闘した。そしてエリザベス女王杯が古馬に開放されてからは、97年メジロドーベル(翌年からエリザベス女王杯連覇)、06年カワカミプリンセス(次走エリザベス女王杯1位入線降着)、一昨年のメイショウマンボ(次走エリザベス女王杯①着)。いずれも後のG1で、最低でも「1位入線」は果たしている。

ここまで一度たりとも連対を外していないミッキークイーンは、エリザベス女王杯に進めば当然最有力。さらには牡馬相手のG1でも活躍が期待される。

06年からドリームジャーニーオルフェーヴル兄弟などで、多くG1を勝ち得てきた池江調教師の管理馬では、意外にも初の牝馬G1馬だったミッキークイーン。早くも2つ目のタイトルを手中にし、その1頭目からいきなり歴史に名を刻む名牝となるのか、これからの活躍が大いに楽しみだ。手始めに、厩舎の先輩ラブリーデイとの対決も見てみたいところだ。

なお、ラブリーデイ宝塚記念京都大賞典を制した川田騎手は、土曜の京都2Rで斜行して騎乗停止に。天皇賞では浜中騎手に乗り替わることが発表され、菊花賞ベルーフ浜中騎手が手綱を取る模様。その浜中騎手池江厩舎のコンビで、まずは秋ひとつ・秋華賞を制覇。同じコンビが勢いに乗って、再びG1制覇があるのか、そちらにも注目したい。