シベリアンスパーブ軸までは良かったが…
文/浅田知広、写真/森鷹史
重賞で過去の傾向を調べていると、10年前の結果なんてホントに役に立つのか、と思うことがたまにある。一方で5年や3年では
サンプル不足。ただ、データだけにこだわらず、ほかの要素も加味していけば、
新鮮なデータをうまく使える、とも言えるだろうか。
その点、
チャレンジCはこの時期に移動してきて3年目で
新鮮なデータしかなく、潔く挑めるというもの。4~9年前には
鳴尾記念が同じ芝1800mで行われていたが、こちらは別定戦で比較的平穏。ハンデ戦になった
チャレンジCの3連単は、
90万に
11万、そして
16万馬券という波乱で、まったく別のレースだ。
そこで、ざっと3年間の傾向を見てみれば、
好走馬9頭はすべてハンデ54~55キロ。
前走は1600万[1.2.0.4]連対率42.9%で、
オープン特別は連対なし。
馬番は4~11番で③着以内9頭中7頭、そして
差し馬が中心といったあたりだった。
これを目安に今年の出馬表とにらめっこすると、いるではないか、ズバリと好走条件に合致する馬が!
ハンデ54キロ、前走1600万①着の4枠7番シベリアンスパーブ。単勝11番人気(最終オッズ47.2倍)、荒れる前提で買うにはもってこいの存在だ。せっかく調べたデータなので、この馬を軸に3連複を何点か買っていざ発走である。
レースは
ゼロスが押っつけて先頭に立ち、
メイショウナルトはじわっと2番手。人気どころは軒並み待機策で、昨年②着の
フルーキー(1番人気)と、
ワールドエース(3番人気)が中団で併走し、そこからやや離れて2番人気の
ヒストリカル。我が
シベリアンスパーブも中団の一角につけていた。
800m通過47秒7、1000m59秒4はG3の1800m戦としては遅めの流れだが、一昨年は800m48秒台でも差し決着。そういうコース、レースだということだろう。そして、
シベリアンスパーブは外からじわじわと進出し、なかなか良さげな雰囲気。人気どころは、馬群をさばくのに苦労しそうな位置取りだ。
そして直線。半信半疑で見ていたものの、残り200mでなんと
シベリアンスパーブが先頭に立ったではないか。
「なんで3連単にしなかったんだ!」とコンマ数秒だけ
後悔しかけたが、その直後、内を突いて一気に伸びてきたのが
フルーキーだった。
外から
ヒストリカルも伸びてきたものの、これは
シベリアンスパーブとの②着争いを制するまで。
フルーキーは何度か詰まる場面がありつつも、内から鋭く伸びて鮮やかな差し切り勝ちとなった。ちょっと前には
浜中騎手と
池江厩舎のコンビ(
秋華賞、
天皇賞)が話題になったが、今度は先週の
チャンピオンズCに続いて、
M.デムーロ騎手と
角居厩舎である。
フルーキーは、昨年のこのレース②着以降、勝ったのは前々走の
オープン特別・ポートアイランドSだけで、重賞では④③⑤④⑤着と安定していても健闘止まり。ここ2走は先行していたが、今回は差す形に戻して距離損のない競馬で、ついに
重賞タイトルを手中にした。
これで阪神コースは
[5.1.0.1]。溜めればしっかりした末脚は使えるものの、先行勢に残られたり、決め手比べで見劣ったりする面があるが、阪神外回りが向いているのは確かなようだ。未経験の中山適性も気になるところで、自在型だけに対応できる可能性も十分にあるだろう。
また、少々馬場が渋るなど(今年の
東京新聞杯は稍重で
ヴァンセンヌからクビ+クビ差)うまく条件が整えば、
安田記念あたりでもチャンスが訪れそうだ。いずれにしても安定している分、人気先行になりがちなタイプで、①着か②~③着か、それとも買わないか、しっかり条件を見極めたい馬だ。
続く②着は、このレース過去2回、⑫着、⑦着とさっぱりだった
ヒストリカル。もっとも、阪神芝1800mは
毎日杯など
3勝(稍重~重)。3歳時の評価からすれば物足りないものの、今年はこれで
[2.2.1.1]。以前のようにアテにならない印象は、そろそろ捨てた方が良いだろう。
そして、なんとなんと③着には
シベリアンスパーブである。6歳にして重賞初挑戦と、ちょっと買いづらいタイプだが、ここはデータ通りとも言える走りで、1~2番人気が相手ながら3連複は
8180円……、だったのだか。
いや、ハンデ57キロが2頭くるとは思わなかったとか、前走オープン特別組は消したかったとか、いろいろ言い訳はあるが、とにかく
ハズレました。冒頭に触れたように、サンプルが少ないときは
「データだけにこだわらず、ほかの要素も加味していけば、新鮮なデータをうまく使える」ということを実感させられた、今年の
チャレンジCなのであった。
1、2番人気が相手で80倍もつくなら買っておけ、という程度の話かもしれないが、ともあれ、
みなさんもご注意を。